Fate/strange Fakeは、2026年1月よりA-1 Pictures制作でTVアニメが放送中の大注目作品ですが、その中でもひときわ異彩を放つサーヴァントがいます。それが「真アーチャー」ことアルケイデス。ギリシャ神話最大の英雄ヘラクレス――その「神を憎む側面」が具現化した存在なんです。「え、ヘラクレスなのにヘラクレスじゃないの?」と思いますよね。今回は、この複雑で魅力的なキャラクターの「正体」に焦点を当てて、じっくりお話ししていきますね。

アルケイデスという名前が意味するもの

まず押さえておきたいのが、「アルケイデス」という名前そのものです。ギリシャ神話に詳しい方ならピンとくるかもしれませんが、これはヘラクレスがゼウスの妻ヘラの名を冠する「ヘラクレス」と呼ばれる前の名前なんです。

つまり、ヘラクレスという名は「ヘラの栄光」を意味するわけですが、アルケイデスはその名を拒否している――いや、剥奪されたと言ったほうが正確でしょう。神への憎悪を抱き、神の名を冠することを否定された英雄。それがアルケイデスの正体なんです。

Fateシリーズをご覧になってきた方なら、stay nightのバーサーカーとして登場したヘラクレスを覚えていらっしゃるでしょう。あの圧倒的な存在感を持つ英雄の、まったく異なる一面がここにあります。同じ英霊でありながら、召喚される側面によってこれほど違うキャラクターになるのか――Fateシリーズの奥深さを感じさせてくれますよね。

なぜ「神を憎む側面」が現れたのか

アルケイデスが通常のヘラクレスと決定的に異なる理由、それはマスターであるバズディロット・コーデリオンの介入にあります。

バズディロットは令呪冬木の聖杯の泥を用いて、アルケイデスから神性を剥奪しました。これがどれほど異常な行為か、ちょっと考えてみてください。ギリシャ神話最大の英雄から、その神としての側面を丸ごと引き剥がしたわけです。

その結果、何が起きたか。あの有名な宝具「ゴッドハンド(十二の試練)」を失ったんです。11回の蘇生を可能にするあの鉄壁の守り。しかし、失ったものがあれば得たものもある。代わりに手に入れたのが「十二の栄光(キングス・オーダー)」という、ある意味でさらに恐ろしい宝具でした。

さらに、神性の剥奪と同時にアヴェンジャー(復讐者)の属性まで付与されています。真アーチャーのクラスでありながら復讐者の性質も持つ。神に愛され、神に翻弄され、そして今は神を憎む。この複雑な在り方こそが、アルケイデスというキャラクターの核心なんです。

ステータスとスキル――神性なき英雄の実力

神性を失ったとはいえ、アルケイデスの戦闘能力は凄まじいの一言です。ステータスを見てみましょう。

パラメータランク
筋力A
耐久B
敏捷A
魔力A
幸運B
宝具A++

筋力A、敏捷A、魔力Aという高水準のステータスに加え、宝具ランクはA++。神性を失ってなおこの性能ですから、いかに元の英霊としての格が高いかがわかりますよね。

保有スキルも非常に充実しています。

スキル名ランク備考
復讐者Aアヴェンジャー属性由来
単独行動Cアーチャークラス由来
対魔力A高い魔術耐性
歪曲A本来の在り方から歪められた証
心眼(真)B実戦で培われた戦闘直感
勇猛E本来の勇猛さが大きく減衰
戦闘続行A+瀕死でも戦い続ける執念

注目すべきは「歪曲A」というスキルです。これはまさに、本来のヘラクレスとしての在り方から歪められた存在であることを示しています。また「勇猛」がEランクまで落ちているのも象徴的で、かつての晴れやかな英雄としての誇りが、神への憎悪によって歪められていることがうかがえます。一方で「戦闘続行A+」は健在。瀕死の状態でも戦い続けるその執念は、復讐者としての覚悟の表れと言えるでしょう。

三つの宝具――失ったものと得たもの

アルケイデスの真の恐ろしさは、その宝具にあります。三つの宝具を持ち、そのどれもが強力かつ独自性に溢れています。

十二の栄光(キングス・オーダー)ランクC~A++

ゴッドハンドを失った代わりに得た宝具。ヘラクレスが成し遂げた十二の功業の証を、宝具として具現化する能力です。つまり、かつての偉業そのものが武器になるということ。これ、考えてみるとすごいことですよね。

具現化される宝具の具体例を挙げると、そのバリエーションの豊富さに驚かされます。

  • 神獣の裘 ――ネメアの化け獅子の毛皮。あらゆる攻撃を弾く防御宝具
  • 戦神の軍帯 ――アマゾネスの女王の帯。これにはヒッポリュテとの因縁が深く関わっています
  • ステュムパリデスの怪鳥 ――功業で退治した怪鳥を使役
  • 冥府の魔犬 ――あのケルベロスです。冥界の番犬を呼び出せるとは恐ろしい
  • ヒュドラの毒 ――あの九頭蛇の猛毒
  • ディオメデスの妖馬 ――人食い馬としても知られる恐るべき幻獣

ゴッドハンドが「死なない」守りの宝具だったのに対し、十二の栄光は攻防両面で多彩な選択肢を持つ宝具。ある意味、より「英雄らしい」戦い方ができる宝具とも言えるかもしれません。

射殺す百頭(ナインライブス)ランクC~A+

Fateシリーズのファンにはおなじみの宝具ですね。様々な武器を用いて九連撃を放つ戦闘宝具です。stay nightでも言及されていたこの宝具が、アルケイデスの手では弓を主武器としながらも多彩な形で発動されます。ランクがC~A+と幅があるのは、使用する状況や武器によって威力が変動するためでしょう。

天つ風の簒奪者(リインカーネーション・パンドーラ)ランクEX

そして最も恐ろしいのがこの宝具。ランクEXという規格外の能力で、その効果は相手の宝具や神獣の権能を奪うというもの。「簒奪」という言葉がまさにぴったりで、神から与えられたものを奪い返す――神を憎むアルケイデスにこれ以上ふさわしい宝具はないでしょう。

聖杯戦争において、サーヴァントの切り札である宝具を奪われるということがどれほど致命的か。対戦相手にとっては悪夢以外の何物でもありません。

マスター・バズディロット――英雄を歪めた男

アルケイデスの正体を語る上で、マスターであるバズディロット・コーデリオンの存在は欠かせません。

バズディロットはスクラディオ・ファミリーに所属する人物で、通称「ポイズンシャーク」。この物騒なあだ名の通り、30人以上の魔術師をサイレンスピストルで殺害したという危険極まりない人物です。CVは三宅健太さんが担当されており、その低く威圧的な声が、このキャラクターの冷酷さを見事に表現しています。

このバズディロットが令呪と聖杯の泥を使ってヘラクレスの神性を剥奪し、アルケイデスという「歪められた英雄」を生み出した。マスターとサーヴァントの関係としてはかなり異質で、そこには信頼というよりも利用と支配の関係が見え隠れします。しかし、だからこそ物語としての緊張感が生まれているんですよね。

ヒッポリュテとの因縁――十二の功業が残した傷

アルケイデスの物語をさらに深くしているのが、ヒッポリュテとの因縁です。

十二の功業の一つ「ヒッポリュテの帯」の奪取。この功業において、ヘラクレスはアマゾネスの女王ヒッポリュテを殺したとされています。宝具「十二の栄光」で具現化される「戦神の軍帯」は、まさにこの功業の証。

英雄の偉業として語り継がれる功業の裏には、こうした犠牲があった。神を憎むアルケイデスにとって、この因縁はどのような意味を持つのか。ギリシャ神話の英雄譚が持つ光と影を、Fate/strange Fakeは見事に物語に織り込んでいます。

声優・西前忠久の演技について

アルケイデスの声を担当するのは西前忠久さんです。神への憎悪を内に秘めながらも、かつて英雄であった矜持をどこかに残す――そんな複雑なキャラクターを、声の演技で表現するのは並大抵のことではありません。

通常のヘラクレスとは異なる、冷たく研ぎ澄まされた声。しかし時折垣間見える激情。アルケイデスというキャラクターの二面性を、西前さんの演技がしっかりと支えています。TVアニメで実際に動き、声がつくことで、このキャラクターの魅力がさらに引き出されているのは間違いありません。

「正体」が示すもの――ヘラクレスの影

最後に、アルケイデスの「正体」が物語全体の中で何を意味しているのか、少し考えてみましょう。

ヘラクレスといえば、Fateシリーズでも屈指の人気を誇る英霊です。stay nightでのバーサーカーとしての姿は、多くのファンの心に刻まれています。あの、理性を失いながらもイリヤを守ろうとする姿に胸を打たれた方も多いのではないでしょうか。

アルケイデスは、そんなヘラクレスの「もう一つの可能性」です。もし神への感謝ではなく憎悪が勝っていたら。もし神性を奪われ、復讐者として立ち上がったら。英雄の光の部分ではなく、影の部分が表に出たらどうなるか――その答えがアルケイデスなんです。

しかし、だからといってアルケイデスが単なる「悪役」かというと、そうとも言い切れません。十二の功業を成し遂げた力は本物であり、その戦闘能力は正真正銘のギリシャ最大の英雄のもの。歪められてなお失われない英雄としての本質。そこに、このキャラクターの深い魅力があるのだと思います。

2026年1月から放送中のTVアニメ(A-1 Pictures制作)で、アルケイデスがどのように描かれていくのか。原作ファンも、ここからFateの世界に触れる方も、ぜひこの「神を憎む英雄」の物語を楽しんでいただきたいです。きっと、英雄とは何か、正義とは何かについて、新しい視点を与えてくれるはずですから。