異世界駅舎の喫茶店1話
ナゴヤ行きのはずが何故か異世界トリップ
ナゴヤへ帰るために、クロガネタクミと恋人柚(ユウ)は列車に乗っていました。
柚は眠ってしまいます。
それを見たタクミも眠くなってしまい目を閉じました。
そこからタクミが覚えているのは、突然の激しい揺れに響く車輪音。
それが汽笛に変わったこと。
そして目が覚めたら大事な人が猫になってしまったこと。
タクミが目を覚ますと、ユウは何故か猫耳の美少女になっていました。
姿は違っていましたが、タクミは彼女のまとう雰囲気から彼女はユウだと確信します。
終点に着いたのでとりあえず列車を降りましたが、そこでタクミが見たモノはケモ耳に蒸気機関車でした。
現実に頭が追いつかないタクミをユウが心配そうに覗き込みます。
そこへこのハーパータウン駅の駅長と名乗る紳士がどうしたのかとタクミに声をかけてくれました。
ここはどこですか、と尋ねたタクミに駅長は名前を尋ねます。
クロガネタクミ、と名乗った後でユウに目をやるとユウは、ニャーチはニャーチなのら、と答えました。
1年後の異世界にて
それから1年が過ぎました。
タクミは駅員の制服を身にまとい、キビキビと働いていました。
駅長の計らいによってローゼス=ハーパー線の終着駅であるハーパータウン駅で働かせてもらっていたのです。
タクミは長代理を任されるまでになりました。
人間と動物の「亜人」が入り交じった絵本のようなこの世界にも馴染んできています。
今いる世界のことを、以前いた世界を150年くらい巻き戻したような世界だとタクミは感じていました。
多少クラシックな環境でも何故か言葉が通じるのと、時間の流れが以前いた世界と一緒なので案外不自由はないのです。
今日も平穏、異常なし。
駅構内を確認していたタクミの耳に、やっぱりだめだ、という誰かの声が聞こえてきました。
座り込んでいたお客を保護
タクミが声の方向に目をやると、ベンチに女の子が1人うつむいて座り込んでいました。
女の子のどんよりしたオーラに若干引きつつ、タクミはどうされましたか、と彼女に声をかけました。
驚いて逃げようとする女の子を捕まえると、女の子は泣きながら謝り始めました。
新しいお屋敷の仕事に行く途中で、前の晩に緊張で眠れなかったのがたたって寝過ごしてしまい、終着駅まで寝過ごしてしまったのです。
これって無賃乗車ですよね、と怯える彼女を料金なしで戻れますから大丈夫です、とタクミは安心させます。
しかし本日の最終列車はもう出てしまったので、戻り便に乗れるのは明日になる、と告げるタクミ。
それならお金がないからここで朝まで待たせてほしい、と女の子は頼みます。
よければ我が家の方へどうぞ、喫茶店も兼ねているので。
タクミは女の子を誘いました。
喫茶店ツバメ
ようこそ、喫茶店ツバメへ。
駅長の好意でタクミとニャーチは駅舎の2階に住まわせてもらい、そこで喫茶店ツバメを開いているのです。
女の子は2人にナトルと名乗りました。
ニャーチがナトルを部屋に案内する間に、タクミが料理を作ります。
こんな豪華なごちそうは初めて、と感激するナトル。
一口食べた彼女はそのおいしさに更に感動します。
恐縮してばかりのナトルに、店の余り物で作ったから気にしないでと声をかけるタクミ。
これが余り物だなんて、とナトルは更に驚きます。
食後、ナトルはお皿を洗っていました。
ナトルを見て、タクミは自分たちがこの世界に来た日のことを思い出していました。
駅長と話をしてとりあえず落ち着いたタクミは驚き戸惑いましたが、2人ならきっと大丈夫だと思い、この駅に置いてもらうことにしたのです。
翌朝、ナトルは無事に戻り列車に乗ることができました。
立派な料理人になるため頑張ろう、とナトルは決意を新たにしました。
異世界駅舎の喫茶店1話感想
異世界にカップルが2人でトリップする話ですが、1人だけ変容して記憶もなくなるというのは珍しいパターンな気がします。
ニャーチになってしまった柚をタクミは受け入れているようですが、寝室での様子を見るとやはり何か寂しいもの感じているのかもしれません。
元いた世界のことを共有できないのは、私だったら辛い気がしますしね。
タクミの作る料理は、本物のレストランほど凝ったメニューではないのですが十分に美味しそうでした。
毎日の晩ご飯があれだと思うと、ナトルでなくてもタクミとニャーチが羨ましいです。
今のところ異世界を受け入れて生きているタクミとニャーチですが、元の世界に戻れる可能性が出てきたときにどうするのかがとても気になります。
また、ニャーチは柚に戻れる日が来るのでしょうか?
合わせてこれからの展開に期待です。