『黄泉のツガイ』――荒川弘が描く和風ダークファンタジー。この作品の魅力の核心にあるのが、個性豊かなキャラクターたちと、彼らが従える「ツガイ」の多彩な能力です。東村・影森家・西ノ村という三つの勢力が入り組み、味方が敵に、敵が味方になる展開の連続。

この記事では最新12巻までに登場した全キャラクターを勢力別に整理し、ツガイの能力・キャラクター間の関係性・声優情報・考察ポイントまで完全網羅します。

最大級のネタバレ注意!この記事には原作12巻までの重大なネタバレが含まれています。未読の方はご注意ください。

主人公とその双子

ユル(声優:小野賢章)

項目内容
年齢数え17歳(満16歳)
外見金髪・赤い瞳
田寺ミネ(東村出身)
金城ナギサ(沖縄出身)
特殊能力「封」の力(未覚醒)
ツガイ左右様(さゆうさま)

東村の山奥で狩猟をして暮らしていた少年。名前は母ナギサの出身地・沖縄の言葉で「夜」を意味するとされ、「夜と昼を別つ双子」の「夜」側。弓術の達人で身体能力は抜群、夜目が効くという特技も持ちます。妹思いで心優しいが、敵には一切の容赦がない。

「封」の力の資格者ですが、覚醒には一度死んで黄泉比良坂を訪れる必要があり、現時点では未覚醒。約400年前にも「封」を受け入れようとした者が生き返れなかった前例があるだけに、覚醒がどう描かれるかは物語最大の注目点です。

考察:左右様は本来「封」「解」の暴走を止める天敵的存在。ユル(封の資格者)と契約していること自体が「異レギュラー」と作中で明言。この謎はユルの出自、母ナギサの沖縄の血筋と関係している可能性があります。

ツガイ:左右様(さゆうさま)

項目内容
構成右(みぎ)=男性形(CV:小山力也) / 左(ひだり)=女性形(CV:本田貴子)
本尊東村入口の石像(元は岩)。双角を持つ
能力超硬度(銃弾・刃物が効かない)、血の匂いで相手を判別
歴史約1,200年前に空海(封の使い手)と連携して「手長足長」を封印
特殊性封・解の力の暴走を抑える「天敵」。資格者との契約は異例中の異例

アサ(声優:宮本侑芽)

項目内容
外見黒髪・右目に眼帯。ユルより身長が高い
特殊能力「解」の力(覚醒済み)。夜は力が弱まる
ツガイ陰陽(いんよう)「おはぎ・だいふく」
ツガイ能力太陰太極図模様の白黒2体。合体巨大化し物体を異空間に取り込む

ユルの双子の妹。名前は「朝」の意で「昼」側の双子。10年前に東村から連れ出され、一度死んで黄泉比良坂で「解」の力と契約して生還。代償として右目の視力を失いました。都会で育ったためユルとは対照的に現代社会に馴染んでおり、ガブちゃんとの友情も見どころの一つ。

ツガイの陰陽は元々影森家の襲撃者・羽村ケンイチのもの。アサの「解」の力で強制契約解除された後、アサと新たに契約しました。

番小者・田寺家

「番小者(つがいこもの)」は東村と外界をつなぐ一族。田寺家がこの役目を代々受け継いでいます。

田寺リュウ/デラ(声優:中村悠一)

田寺家の現当主。元傭兵という異色の経歴を持ち、ツガイを持たないにもかかわらず生身で高い戦闘力を発揮。ユルの保護者的存在として常に行動を共にしています。

段野ハナ(声優:島袋美由利)

デラの後輩の番小者。小柄だが筋トレマニアの武闘派で大食い、料理上手。

ツガイ名構成能力
前虎後狼(ぜんここうろう)虎鉄(とらてつ・猫)+ 二狼(じろう・犬)追跡・索敵に優れ、IT機器にも対応する万能型

田寺ケン

13歳。ロウエイとエチオピア人の母の子で、デラの異母弟。母の死をきっかけに、封印されていた凶悪ツガイ手長足長の所在を突き止めて強引に契約。伸縮自在の手足で人体を貫通し、食人行動も見せる恐ろしいツガイですが、ケンの命令をまったく聞かないという深刻な問題を抱えています。

田寺ロウエイ

田寺家の先代当主。デラとケンの父。10年前にユルの両親の脱出を手引きした後、行方不明に。

ツガイ名形態能力
マヨイガ民家の姿結界生成。田寺家代々伝承。デラへの引き継ぎが未完了のまま

考察:西ノ村跡地の調査で「天と地」の「天」に重傷を負ったにもかかわらず、西ノ村側で活動している姿が描かれている。息子たちの父がなぜ敵陣営に。二重スパイか、より大きな計画の遂行中か。なお「プリきゅん☆マミたん」のコアなファンという荒川弘らしいギャップも。

影森家

ツガイ使いの名門一族。アサを保護し、「解」と「封」の力の管理に関わる重要勢力。

影森ゴンゾウ(当主)

「御館様」と呼ばれる影森家当主。「解も封も必要ない世界」を目指していたが、12巻で御陵に殺害される。

ツガイ名能力
百鬼夜行(ひゃっきやこう)相性の悪いツガイ同士を仲介する特殊能力。無制限に複数ツガイと契約可能、物量で圧倒

影森ヒカル(長男)

人気漫画家「波久礼(はぐれ)ヒカル」。倫理観があり当主職を嫌っている。ツガイ黒白(こくびゃく)「ホワイト」と「ベタ」で構成。漫画の修正液と黒塗りから名前が来ており、物体の消去・上書き・書き換えが可能。

影森アスマ(次男)

穏やかな理想主義者。「解」と「封」の力を平和的に活用したいと考える。伯父・新郷ハヤトの乗っ取り計画に対抗。ツガイ金烏玉兎(きんうぎょくと)は蝶の「朝霧」(遠見能力)と烏の「夜桜」(気配隠蔽)。諜報・隠密行動に特化。

注目:アスマの「謎の笑み」がファン考察で話題。表面上の穏やかさの裏に、大きな秘密を抱えている可能性が指摘されています。

影森ジン(三男 / 声優:諏訪部順一)

メガネにスーツの知的な人物。ツガイ掃除屋(スカベンジャー)はチョウチンアンコウ型の「愛ちゃん(大)」と「誠くん(小)」。呑み込み・吐き出し・人間擬態が可能。

新郷ハヤト(アスマの伯父)

スーツ姿のヤクザ風。「封」の力と影森家の乗っ取りを画策し、与謝野イワンを雇い入れるが、8巻でそのイワンに殺害される皮肉な最期。ツガイ風神雷神は風と雷を操る黒白の獣。

黒谷四姉弟(影森家使用人)

乳児院出身で血のつながりはないが、影森家に拾われて「姉弟」として育った4人。全員が優秀なツガイ使い。

名前立場ツガイ名能力
黒谷ナツキ(長女)眼鏡、クールだが面倒見が良いなもみはぎ「ジジ丸+ババ丸」なまはげ型。圧倒的膂力のパワー型
黒谷フユキ(長男)長髪、ゴンゾウの側近閻魔帳「エンブレイス+ウィスパー」触れたツガイと歴代主人の全情報を暴く
黒谷ハルオ(次男)ジンの部下兎と亀「ウサちゃん+カメちゃん」俊敏な足技(兎)+ 任意の重さに変化(亀)
黒谷アキオ(三男)スキンヘッド、無痛症。西ノ村の内通者ヤマノカミ「山風+谷風」巨体パワー型、爆発装置としても使用

アキオの正体:小野ミナセの実子。赤子の頃に母に捨てられ、影森家に潜入する駒として利用されていた。母からの愛情は一切なく、ただの道具として扱われている悲しい存在です。

ガブちゃん(声優:久野美咲)

項目内容
本名不明(戸籍なし)
外見三つ編み金髪の小柄な少女。ユルより年上だが幼い外見
信念殺しに躊躇がないが、子どもは絶対に傷つけない
ツガイガブリエル(CV:村瀬歩)。上顎と下顎で一対、無数の目を持つ
ツガイ正式名ジョー・ウィリアムフレデリック・ガブリエルI世 / カーク・ダグラス・ウオルドグレイヴ・ガブリエルII世
ツガイ能力巨大化して人間を丸呑み。手榴弾にも耐える歯

1巻では東村襲撃メンバーとしてアザミの母を殺害する衝撃的な初登場。しかしその後アサとの友情を育んでいく姿は読者から絶大な人気を得ています。

考察:本名・出自ともに不明。無戸籍の背景に何があるのか。外見が『鋼の錬金術師』のエドワード・エルリックに似ているとファンの間で話題。荒川弘のセルフオマージュか、あるいは設定上の意味があるのか。

東村関係者

ヤマハ(ヤマハおばぁ)

東村の長老。実年齢400歳以上で本人も正確な年齢を忘れている。11巻で明かされた真実は衝撃的でした。

元々は西ノ村出身。双子の姉・小野ミナセと共に「神懸かり(カムガカリ)」として生まれたが、封の力を降ろせず冷遇される。ミナセの封の力で寿命を封じられ、400年以上老婆の姿のまま東村の長老として君臨してきました。

考察:西ノ村出身なのに400年間東村の長を務めた真意は何か。「封と解が揃った双子が生まれれば良い」と番小者制度を維持してきたとされるが、その裏にはまだ語られていない目的がある可能性が高い。

キョウカ

東村の女性。一見ダンジとキリの「母親」だが、実はザシキワラシの使役者。山崩れで夫と2人の子を失い、ロウエイからツガイを託されました。他の村民と異なりユルとアサを心から案じる良心的な人物で、「村は滅びるべき」と考えている点が東村の闇を際立たせています。

キリ(偽アサ)とダンジ

キョウカのツガイザシキワラシの女児・男児の化身。キリはヤマハの命で10年間アサに擬態して座敷牢で「おつとめ」を演じ続けました。名前の由来は東村の山に咲く桐の花。8巻でユルに本名と過去を明かし、「家族になりたい」という夢を共有する場面は本作屈指の名シーンです。

ダンジはユルの親友に成りすまして守護していた存在。影から触手を出す能力・変身能力を持ちます。1巻からダンジに影がないことが描かれていた伏線は荒川弘の真骨頂。

東村紫明(ひがしむら しめい)

約400年前の東村の殿様。左右様の先代の主。慶長出羽合戦で功を焦り命令違反を犯し、「解」の力を得た双子を死なせて狂乱。双子でない者まで殺しまわった末に、東村の狩人に山狩りで殺されました。現在の東村の歪んだ構造の原点となった人物です。

西ノ村勢力

約400年前に滅んだとされた西ノ村。しかし生き残りが密かに組織を維持し暗躍していました。

御陵(みささぎ)

西ノ村のリーダー格。刺青を持つ中年男性で、中華料理店「西家(にしや)」を経営。

ツガイ名構成能力
天と地(てんとち)天=視認不可の遥か上空 / 地=地中に潜む天はミサイル級の一撃、地は足元から爆発。防御ほぼ不可能

12巻で影森本家に単身侵攻し、当主ゴンゾウを殺害。百鬼夜行の無制限多重契約をもってしても天と地の前に敗れるという、圧倒的な実力の持ち主です。

与謝野イワン

物語全体で最も存在感のある敵キャラクター。飄々とした青年で後頭部にお団子。「夜道のチカン」の異名を持つ凄腕の剣士。元々は新郷ハヤトの傭兵だが、実は西ノ村からの刺客で紛争激化の密命を帯びていました。

ツガイ名構成能力
マガツヒ大凶(太刀型)+ 小凶(脇差型)小凶:斬った空間同士を入れ替え / 大凶:精気吸収で身体能力強化

イワンの考察ポイント(3つの謎):

1. 左右様がマガツヒから嗅ぎ取った「ユルの両親の血の匂い」。イワンは両親の失踪にどう関与しているのか
2. 「両親の首を刎ねた」発言は真実か、マガツヒの空間入れ替え能力で「転送」しただけか
3. 左様に向かって放った「月がきれいですね」の真意。過去の因縁か、まったく別の意味か

醍醐ヒデカツ

1908年生まれ、ミナセの力で不老。戦闘狂だが犬好き。ツガイサドマゾは渦状の「ドM」+小型の「ドS」。ドMが攻撃を吸収し、ドSがコピーして相手に放つカウンター型。攻撃するほど自分に返ってくる厄介な能力です。

峰山アンナ

西ノ村陣営の死体処理係で女子高生・受験生。イワンに強い好意を持つ。ツガイ魂コロガシ(たまころがし)は「タロウ」+「ヒメ」のフンコロガシ型。死体圧縮と新世代ツガイの産出が可能。

小野ミナセ

ヤマハの双子の姉。「封」の力の一端を宿し、寿命を封じることで400年以上生き続ける巫女。実子アキオを捨てて影森家に潜入させる駒として利用する非情な人物。西ノ村陣営の黒幕的存在です。

椥辻(なぎつじ)

西ノ村陣営の青年。ツガイ裁きの日(ジャッジメント・デイ)は「ソドム」+「ゴモラ」で爆発装置化・盗聴が可能な工作特化型。

その他の重要キャラクター

キャラクター所属ツガイ / 能力
桜沢影森家の医師偕老同穴(かいろうどうけつ)。球状バリア展開、核攻撃耐性
羽村ケンイチ影森家アシスタント元・陰陽の主。アサの「解」で契約解除
立川マコト影森家アシスタント狐狸変化「赤井さん+みどりさん」。変身・投網で人さらい
アザミ東村の少女1巻で母を殺され、後にイワンに拉致。現在はユル陣営に保護
金城ナギサユルとアサの母沖縄出身。10年前に失踪。行方と生死は物語最大の謎
中神マユ一般人漫画家ヒカルの担当編集者

苗字と京都地下鉄の一致 ― 荒川弘の隠し仕掛け

読者の間で注目されている考察として、西ノ村陣営のキャラクターの苗字が京都市営地下鉄東西線の駅名と一致しているという指摘があります。

キャラクター名一致する駅名
与謝野イワン(与謝野=天橋立方面の地名)
御陵(みささぎ)御陵駅
椥辻(なぎつじ)椥辻駅
醍醐ヒデカツ醍醐駅

荒川弘がこれを意図的に行っているなら、他のキャラクターの名前にも隠された意味がある可能性。今後登場するキャラクターの名前にも注目です。

アニメ版キャスト

2026年4月4日より連続2クールで放送。制作:ボンズ / 監督:安藤真裕 / シリーズ構成:高木登。

キャラクター声優
ユル小野賢章
アサ宮本侑芽
デラ(田寺リュウ)中村悠一
ガブちゃん久野美咲
右(みぎ)小山力也
左(ひだり)本田貴子
ハナ(段野ハナ)島袋美由利
ジン(影森ジン)諏訪部順一
ガブリエル(ツガイ)村瀬歩

主題歌:OP「飛ぶ時」Vaundy / ED「飛ぼうよ」yama(作曲:Vaundy)。

まとめ

  • ユル(封・未覚醒)アサ(解・覚醒済み)の双子を軸に、東村・影森家・西ノ村が三つ巴で激突
  • 左右様は封と解の天敵でありながらユルと契約した「異レギュラー」。1,200年の歴史を持つ最古参ツガイ
  • ガブちゃんの本名・出自は未解明のまま。アサとの友情とエドワード・エルリックとの類似が注目点
  • 与謝野イワンの三つの謎――両親の血の匂い、「首を刎ねた」発言、「月がきれいですね」の真意
  • ヤマハおばぁは西ノ村出身で400年間東村を導いてきた。双子の姉ミナセとの対比構造
  • 12巻でゴンゾウ死亡。影森家の瓦解が今後の勢力図を根本から書き換える
  • 西ノ村キャラの苗字=京都地下鉄の駅名。荒川弘による意図的な命名の可能性

すべてが「二つで一組」の世界。封と解、左と右、東と西、生と死。荒川弘が「対(つい)」の概念に込めた意味が、キャラクター一人ひとりの設計にまで徹底して貫かれています。