テムパル~アイテムの力~は、韓国の作家Saenal(パク・セナル)によるウェブ小説『템빨』を原作とし、ピッコマでウェブトゥーン版が配信、2026年10月からTVアニメが放送されている作品です。ゲームの課金で借金を抱え、日雇いの仕事で返済を続けていた青年が、北の果ての洞窟で一冊の本を開く。その瞬間から、世界で20億人が遊ぶVRゲーム〈SATISFY〉の歴史は、ひとりの鍛冶職人を中心に回りはじめます。原作小説は2024年に完結しており(英語版で全2059話)、主人公グリードは領主、王、皇帝を経て、最後には神々を超える存在にまで上り詰めます。本記事では、その長い物語を6つの時期に分け、結末まで順に解説します。

ネタバレ警告:この記事は原作小説の最終話までの重大なネタバレを含みます。アニメやウェブトゥーン版がまだ描いていない範囲(主要人物の死、結婚相手、ゲームの正体、最終話の内容)まで書いています。未読・未視聴の方はご注意ください。

この記事の基準:話数はすべて英語版(Wuxiaworld『Overgeared』)の章番号で、「全2059話」も英語版の数え方です(韓国ではプロローグを1話に数え、全2060話とされます)。ストーリーの流れは、英語版の各話冒頭の公開部分と、英語版ファンWiki(Overgeared Wiki)の年表・人物ページ、韓国のナムウィキを2026年10月14日に照合して整理しました。ファンWikiに基づく箇所は公式の要約ではない点にご留意ください。人名は、アニメ公式サイトに載っているもの(グリード、ユラ、ジシュカ、アイリーンなど)は公式表記、それ以外は英語版表記をカナ書きしたもので、日本語版(ピッコマ)の表記と異なる場合があります。ギルド名・国名の「オーバーギアード」も英語版の呼び名で、原題と同じ言葉です。ただし、フィアロ(英語版 Piaro)とクラウゼル(同 Kraugel)は、ピッコマ版とネクソンのゲーム『HIT : The World』のコラボ告知(2024年)の日本語表記に合わせています。

原作小説の基本情報と全体像

項目内容
原作小説『템빨』Saenal(パク・セナル)作。韓国で2014年11月に連載が始まり、2024年4月26日に本編完結(ナムウィキ・英語版Wikipedia)
話数英語版は全2059話(最終話は2024年6月20日公開、翻訳者の告知)。韓国ではプロローグを含めて全2060話、電子書籍は全96巻(ナムウィキ)
ウェブトゥーン版作画 Team Argo、脚色 Monohumbug(REDICE STUDIO)。日本ではピッコマで配信され、話数一覧は第339話まで(2026年10月14日時点)。紙の単行本はGAコミックから刊行中
TVアニメ2026年10月2日からTOKYO MX・BS11ほかで放送。アニメーション制作 J.C.STAFF、グリード役は橘龍丸。Blu-rayは全2巻で第1〜12話を収録
主人公グリード。本名は日本語版では長嶺 巧、韓国の原作ではシン・ヨンウ
外伝作者による外伝は2026年10月時点で確認できない。作者は2024年6月から次回作を連載中(ナムウィキ)

題名の「テムパル(템빨)」は、韓国のゲーム用語で「アイテムの力」、つまり装備の強さで勝つことを指します。主人公は剣の才能にも魔法の才能にも恵まれませんが、強い装備を自分の手で作れる。この一点が、第1話から最終話まで物語を貫いています。

原作に公式の章立てはありませんが、主人公の立場の変化で区切ると流れをつかみやすくなります。本記事では図1のように6つの時期に分けました。

テムパル 原作小説(英語版全2059話)を6つの時期に分けた流れの図
図1:原作小説の流れ(英語版 全2059話。英語版ファンWikiの年表から整理、区切りは本記事によるもの)

時期1:ファグマの末裔(第1〜205話)

最悪のスタートと伝説の職業

主人公は、ゲームの課金で作った借金を日雇いの仕事で返しながら、空いた時間のほとんどを〈SATISFY〉に費やしている青年です(ピッコマのノベル版紹介文)。ゲーム内の名前はグリード。腕前は平凡以下ですが、アシュルー伯爵から請けた高難度クエストを追って、北の果ての洞窟にたどり着きます。そこで見つけたのが〈ファグマの奇書〉でした。伯爵に渡さず売り払おうとしたために命を狙われ、追い詰められたグリードは本を開いて、伝説の鍛冶職人〈ファグマの末裔〉に転職します。

ただし代償は大きく、レベルはマイナスに落ち込みます。続くクエストでは、当時ヤタン教の黒魔術師として名を馳せていたユラの一行と戦うさなかに命を落としてさらにレベルを下げ、上級者向けの村に放り出されました。開発元S.Aグループの会長イム・チョルホ(Lim Cheolho)は、最初の伝説職が誕生した報告を受けて深夜に会社へ駆けつけますが、それまでのグリードの戦績を見て「大きな影響はない」と判断します(第3話)。この見立てが外れていく過程が、序盤の読みどころです。

鍛冶屋カンと、最初の仲間たち

グリードを変えたのは、鍛冶の仕事そのものと、ウィンストーンの老鍛冶師カンでした。楽をして稼ぐことしか考えていなかったグリードは、鍛冶の基礎を一から学び直し、メロ商会に狙われたカンの鍛冶場を守ったことで、彼に後継ぎとして認められます。正体不明の職人が作った武器や矢は市場で評判になり、ジシュカが率いる少数精鋭のツェダカギルドが、その作り手を探し当てます。弁舌を武器にするフロイ、のちに伝説の魔術師の後継者となるユーフェミア、暗殺者フェイカーといった仲間も、この時期に出会った人々です。

伯爵令嬢アイリーンとの出会いも序盤です。ヤタン教にさらわれた彼女を救い出したグリードは、堕落したレベッカ教の教皇を倒した(第127話)のち、第138話でアイリーンと結婚します。プレイヤーとNPC(ゲーム内の住人)の結婚であり、ここから「ゲームの住人をどう扱うか」が作品の大きな主題になっていきます。結婚後の第146〜148話では、転職直後に設計していた自作の大剣を完成させ、〈ファグマの末裔〉の存在が世界に知られます。

国家対抗戦とギルド結成

第161話からは、各国の代表が競う第1回国家対抗戦が始まります。ユラの誘いで韓国代表に加わったグリードは、自作の装備の力で世界中の視聴者に名前を覚えられました。続くゴーレム軍団の侵攻では、グリードと仲間のわずか6人が、700人規模の大手ギルドを壊滅させた軍勢を押し返します。この戦いのさなかの第202話で、ツェダカの面々とともにギルド「オーバーギアード」を結成。第205話でエターナル王国の公爵に叙され、領地レイダンを与えられます。

考察ポイント:序盤のグリードは、欲深く、他人を妬み、すぐ楽をしようとする人物として描かれます。アニメ公式のイントロダクションも「強欲で打算的、それでいて妙な根気と情の深さを持つ」と紹介しています。物語の前半は、強い職業を得た男が強くなる話というより、カンやアイリーンといったゲームの住人との関係を通じて、器の小さい男が少しずつ変わっていく話として読めます。

時期2:領主から王へ(第206〜600話)

レイダンの領主とフィアロ

領主となったグリードが最初に得た大きな戦力が、フィアロ(Piaro)です。もとはサハラン帝国で名を馳せた騎士でしたが、濡れ衣を着せられて追われる身となり、レイダンで畑を耕すうちに「伝説の農夫」へと目覚めます。グリードに敵対するギルドの連合がレイダンを攻めた際には、フィアロたち4人の農夫が軍勢を追い返しました。ユラがヤタン教を離れ、悪魔を狩る職業に変わるのもこの時期です(第262話)。第332話にはアイリーンとの間に息子ロード(Lord)が生まれます。

ブラハムの魂と2つ目の職業

グリードは早い段階で、伝説の大魔術師ブラハム(Braham)の魂を自分の中に宿していました。高難度の修練場であるベヘン群島の攻略中、第393〜396話でその魂と一体化し、2つ目の職業として大魔術師の力を得ます。もっとも、本人の知力が低すぎて初歩の火球すら発動できず、ブラハムに呆れられる場面から始まるのがこの作品らしいところです。

クラウゼルとの決勝、そして建国

第2回国家対抗戦の個人戦決勝で、グリードはランキング1位に立ち続けてきた剣士クラウゼル(Kraugel)と戦い、僅差で敗れます。クラウゼルはこの戦いを経て「剣聖」となり、以後、最終盤まで続く好敵手になります。

その後グリードは東大陸へ渡り、第552話で初の神話級アイテムとなる朱雀の弓を完成させます。帰還後、エターナル王国との戦争が始まり、王は大悪魔ベリアルを召喚します。オーバーギアードはこれを討ち、第600話でグリードはプレイヤーとして初めて国を建てます。都はラインハルト、国の名はギルドと同じ「オーバーギアード」です。

時期3:オーバーギアード王国(第601〜1000話)

帝国の騎士メルセデス

建国直後、西大陸の覇者サハラン帝国から使者としてやって来たのが、帝国騎士の筆頭メルセデス(Mercedes)です。彼女は幼いころフィアロに師事しており、裏切り者とされた師を12年探し続けていました。グリードがフィアロたちの冤罪の真相を明かし、帝国に潜んでいた黒幕の大悪魔との戦いを経て、メルセデスは第807話で「伝説の騎士」に到達し、その後グリードの騎士となります。

クラウゼルへの雪辱と、カンの死

第3回国家対抗戦の個人戦では、会場に悪竜ブンヘリア(Bunhelier)が呼び出される波乱の末、グリードがクラウゼルに勝って前回の雪辱を果たします。しかし大会の最中、敵対ギルドがラインハルトを襲撃し、師のカンが致命傷を負いました。カンは最期に鍛冶場へ戻って槌を振るい、ほんの数秒だけ「伝説の鍛冶職人」となって、グリードを守るための防具を残し、駆けつけたグリードの腕の中で息を引き取ります(第777〜778話)。グリードは彼をウィンストーンの墓地に葬りました。

考察ポイント:カンの死は、物語の転換点です。ゲームの住人は、プレイヤーと違って死んでも復活しません。プレイヤーにとっての「イベント」が、グリードにとっては家族を失う出来事になる。ここから彼は、NPCを守ることを自分の役目として明確に意識しはじめ、後半の「神として世界を守る」という立場につながっていきます。なお、カンは終盤、人間としてではなく天界アスガルドに仕える天使として再び姿を見せ(ファンWiki・ナムウィキ)、第1789〜1791話でグリードに救い出されてラインハルトに戻ります。

神々の世界への第一歩

王国の基盤が固まると、物語の視線は地上の外へ向かいます。グリードは第890話でプレイヤーとして初めて天界アスガルドに連れ去られ、鍛冶の神ヘクセティア(Hexetia)と鍛冶勝負をして勝利します。第900話では現実世界で地球に近づく小惑星が観測され、これが最終盤への伏線になります。第4回国家対抗戦の魔王討伐イベントでは、グリード自身が討たれる側に立ち、攻め寄せる各国の代表を退けて勝利します。大会後にはユラから想いを告げられました(第969話)。第997話からは、先代の伝説であるファグマの過去が回想として語られ、東大陸出身の彼が大悪魔バアルと契約するに至った事情が少しずつ明らかになります。

グリードのクラスと立場の変遷を示した図
図2:グリードのクラスと立場の変遷(英語版ファンWikiの年表・Gridページから整理。クラス名は英語版表記の訳)

時期4:叙事詩と神格(第1001〜1466話)

帝国との戦争と和解

第1003話から、オーバーギアード王国とサハラン帝国の戦争が始まります。戦いは古代の神の遺跡の発見で中断され、その探索と大悪魔ベリト(Berith)の討伐のなかで、グリードはプレイヤー初の第3職業「叙事詩の魔剣士」を得ました(第1030話)。以後、彼の重要な行動は「叙事詩」として世界中に語られ、それ自体が力になっていきます。

帝国との関係は、皇帝の最期によって決着します。第1084話で第19代皇帝が世を去り、公爵のひとりバサラ(Basara)が女帝に即位。新しい帝国はグリードを恩人として遇し、少数種族への抑圧をやめました。

ブラハムの復活と東大陸の神々

第1134話、グリードの中を離れていたブラハムが肉体を得て復活します。ブラハムは吸血鬼の祖ベリアチェの子で、その兄弟との戦いを経て、グリードは吸血鬼を統べる「血の王」の称号も得ました。最強の吸血鬼マリーローズ(Marie Rose)と縁ができるのもこの流れです。

東大陸は、土地を守る四神が力を失い、天の神ハヌル(Hanul)に仕える半神ヤンバンが支配していました。グリードは朱雀や玄武を復活させてヤンバンを退け、第1294話以降では天上の国に乗り込み、武神・蚩尤(Chiyou)の試練を首位で通過します。蚩尤は人の願いから生まれた不死の神で、自分を殺せる者が現れるのを待っている。この人物が、最終盤で大きな意味を持ちます。

「オーバーギアード神」の誕生

地上では、ヤタン教が5体の大悪魔を同時に召喚する事件が起き、ジシュカやフェイカーも伝説の域に達します。グリードは地獄へ遠征して第1位の大悪魔バアル(Baal)と対面し、囚われたファグマの魂と言葉を交わしました(第1326〜1327話)。さらに堕天使をめぐる戦いで天界の大天使を討ったことで、人々から本物の神として崇められるようになり(第1359話)、第1466話、13番目の叙事詩の完成とともに、〈ファグマの末裔〉、ブラハムに由来する第2職業、叙事詩の魔剣士という3つの職業が統合され、神話級クラス「オーバーギアード神」が誕生します。

時期5:大魔戦争と聖戦(第1467〜1728話)

人魔大戦

第1487話、地獄と地上がつながり、大悪魔の軍勢が各地に押し寄せます。約60話にわたるこの戦争では、プレイヤー、帝国、王国、知恵の塔の達人たちが総力で迎え撃ちました。混乱に乗じて天界の武神ゼラトゥル(Zeratul)が地上に降りますが、人類最初の伝説である竜殺しハヤテ(Hayate)に退けられます。グリードと使徒たちはバアルの分身を消滅させ、戦争は第1547話前後で終結しました(ファンWiki)。

戦後の第1555話、王国とサハラン帝国は合併して「オーバーギアード帝国」となり、グリードは初代皇帝に即位します。この合併にともなって女帝バサラと結婚し、続く第1556話でメルセデスも妻に迎えています(ファンWiki)。一方、現実世界では、戦争でNPCの悲惨な死を目撃したプレイヤーに心の不調が広がったと語られます(第1568話)。ゲームが現実に及ぼす影響が、ここから無視できないものとして描かれはじめます。

地上の聖戦と「唯一神」

第1611〜1612話では、ゼラトゥル自身がグリードを討とうと再び降臨し、返り討ちに遭います。そして第1625話で、グリードは自らの神界「オーバーギアードワールド」を得ます。彼を慕う2柱の神が加わったことで生まれた領域です。

天界はこの動きを見過ごさず、ゼラトゥルが配下の神々を率いて地上へ侵攻します。第1718〜1728話の叙事詩「地上の聖戦」として記録されるこの戦いで、ゼラトゥルはまたもグリードに及びませんでしたが、叙事詩の主役はグリード本人ではなく、フィアロやブラハムら彼に従う者たちでした。ブラハムは神々を魔法で翻弄して「魔法と知恵の神」と呼ばれるようになり、聖戦はオーバーギアード側の勝利で終わります。第1728話、グリードは神や古竜と同格の「絶対者」に数えられ、「唯一神」の名で呼ばれるようになります。なお、ずっと後の話になりますが、鍛冶の神ヘクセティア(第1793話)や、敗れたゼラトゥル本人(第1880話)までが、グリードの神界に身を寄せることになります。

SATISFYの世界の構造 はじまりの三神と世界の領域の概念図
図3:〈SATISFY〉の世界の構造(英語版ファンWikiの各ページから整理した概念図。位置関係は説明のための配置)

時期6:神々の最期と結末(第1729〜2059話)

バアルとの決着、ファグマとの別れ

絶対者となったグリードは、古竜たちとも渡り合うようになります。火竜トラウカ(Trauka)とは、マリーローズを交えた戦いの末に謝罪を引き出しました(第1768〜1774話)。そして使徒たちとともに、地獄へ最後の遠征に出ます。

第1847話、グリードはバアルを討ち取ります(ファンWikiは一対一の決着と記しています)。続いて同じくヤタンの子であるアモラクトも滅ぼされ、歪んでいた地獄は本来の姿を取り戻しました。第1853話では、バアルに囚われていたファグマが、後継者グリードに最後の剣舞を授けて逝きます。第1話でグリードが開いた一冊の本の持ち主との関係が、ここでようやく閉じられます。遠征から戻ったグリードは、マリーローズと結婚しました(第1861〜1864話)。

明かされる世界の成り立ち

終盤では、この世界の成り立ちが語られます。はじまりの神は、光の女神レベッカ(Rebecca)、破壊の神ヤタン、天の神ハヌルの三柱。レベッカとヤタンは過去に何度も世界を滅ぼしては作り直しており、悪竜ブンヘリアの正体は、世界の滅びを人類が知った時代に生み出され、その力で一部の人々を滅びから生き延びさせた「屈折の竜」でした(第1904〜1907話、ファンWiki)。

神々の退場と、初めての大型アップデート

第1947〜1951話では、知恵の神ジュダル(Judar)が弱った火竜トラウカを狙い、別の竜の心臓を奪って力を増します。グリードはクラウゼルと技を合わせてジュダルを討ち、トラウカもグリードの手で最期を迎えました。神を斬ったクラウゼルは「神殺し」として絶対者に並びます(ファンWiki)。

第1954話からは、開発に関わった33人の科学者の手で、〈SATISFY〉に初めての大型アップデートが実施されます。別世界から「修練者」と呼ばれる勢力が流れ込み、各地に彼らの拠点が現れました。これに対して管理AIのモルペウス(Morpheus)は、イム・チョルホ会長にひそかに連絡を取り、「このアップデートは間違っている」と告げます(第1963話)。会長の望みどおり、〈SATISFY〉をプレイヤーの楽園にするために世界を調整してきた、というのがモルペウスの言い分でした。同じ場面で、レベッカが「バグ」に侵されて世界の真実に気づき、作中の人類文明を繰り返し滅ぼしてきたことも語られます。ナムウィキは、終盤になって小惑星の存在とともに「〈SATISFY〉はただのゲームではなく、人類の訓練所として機能する」という設定が33人の科学者の口から示されたことを、急ごしらえだと批判的に記しています。

グリードたちは修練者の拠点を破壊して回り、その途中の第1999〜2000話で、蚩尤の助けを得て天の神ハヌルを倒しました。最後の拠点である満月の要塞が陥落し、戦いが終わるのは第2035話です。

終盤の評価について:このアップデート以降の展開は、韓国の読者のあいだで賛否が大きく割れました。ナムウィキは、中世ファンタジーを基調にしてきた作品に、仙人や修練を題材とする別ジャンルの要素が前触れなく持ち込まれたことへの反発と、その後の完結までの展開の速さを、批判の多かった点として記録しています。回収されなかった伏線として、33人の科学者の素性などが挙げられています。

最後の戦いと、グリードの選択

最後の大きな討伐対象は、バアルが遺した闘神アスラ(Asura)でした。グリードは仲間とともにこれを消滅させます(第2052話)。そして第2055話、武神・蚩尤がグリードに見届けられながら、長年望んだ死を迎えます。灰になっていく蚩尤が最後に伝えた言葉は「グリード。今はお前が唯一神だ」でした。

それから1か月後、グリードは帝位を息子ロードに譲ります(第2056話)。世界を治める神となった以上、皇帝の座に留まる必要はないと誰もが理解していた、と本文は語ります。現実世界では、主人公とユラ、ジシュカの結婚式が各国の要人やランカーを集めて開かれ(第2057話)、3人は新婚旅行に出ました(第2058話)。同じころ、迫っていた小惑星は、地球を修練者たちの世界ではなく〈SATISFY〉の世界と融合させることを選んだとされます(ファンWiki)。

最終話:女神レベッカの最期

最終話の第2059話は、屈折の竜が倒れた直後の場面から始まります。グリードが一万四千の剣から放った消滅の力は、竜の進路を塞げる程度の速さでしかなく、光の女神レベッカには逃げる時間が十分にありました。それでも彼女は避けず、致命傷を負います。駆け寄ったグリードの腕の中で、レベッカは「私が生きている限り、あなたはいつも私の存在を不安に思うでしょう」と告げました。グリードは否定できません。何度も彼女を倒そうとしてきたのは事実だったからです。

ファンWikiの年表によれば、レベッカは、グリードが伝説になる前からひそかに彼を支えていたことを明かして息を引き取ります。モルペウスの干渉に抗う希望を、彼に見ていたのだといいます。物語はその後、小惑星の衝突から7年後へ飛びます。主人公が最初に本を見つけた「北の果ての洞窟」が現実の韓国に門として現れ、プレイヤーは適性に基づく職業として社会に定着している、という光景で幕を閉じます。

考察ポイント:ファンWikiのChapter 2059ページには、最終話に現れるメッセージとして「芽を花開かせてくれたこと」「世界が寄りかかれる大樹であってくれたこと」といった言葉が記録されています。カンがグリードに願ったのは「多くの人を受け入れる家のような存在になること」でした。自分のことしか考えなかった男が、世界が寄りかかる大樹になる。約2000話をかけた主人公の変化を、最後の数行が言い表しています。一方で、最終的な敵が誰だったのかは一言で言いにくく、バアル、ハヌル、アスラ、蚩尤、レベッカと決着が続く終盤は、駆け足だという指摘もあります。

主要人物の関係と最終的な到達点

テムパル グリードを中心にした人物相関図
図4:人物相関図(原作完結時点。英語版ファンWikiの各人物ページとアニメ公式サイトから整理)
人物最終的な到達点(話数は目安)
グリード神話級クラス「オーバーギアード神」、絶対者。帝位をロードに譲り、現実ではユラ、ジシュカと結婚
アイリーン王妃を経て帝国の皇后。息子ロードの母。終盤に娘も生まれる
ユラヤタン教を離れ、悪魔を狩る伝説職に。地獄の浄化に貢献し、現実でグリードと結婚
ジシュカ第1277話で伝説の弓使い「弓聖」に。王国の公爵。現実でグリードと結婚
メルセデス伝説の騎士。オーバーギアード神の教団の使者となり、グリードの妻のひとりに
フィアロ伝説の農夫にして王国の公爵。地上の聖戦で神々と渡り合う
ブラハム第1134話で復活。聖戦を経て「魔法と知恵の神」となる
クラウゼル剣聖。大会での対戦を重ねた好敵手で、終盤は共闘。ジュダル討伐後に絶対者へ
アグナスバアルの契約者としてたびたび敵対。のちに契約から解かれ、バアル討伐でグリード側に加わる。終盤には現実世界でもゲームの能力を得る(ファンWiki)
ロードグリードとアイリーンの息子。第2056話で帝国の皇帝に
カン第777〜778話で死去。死の間際に伝説の鍛冶職人となる
ファグマ先代の伝説の鍛冶職人。バアルに魂を囚われていたが、第1853話で解放され逝く

アニメ・ウェブトゥーン版は原作のどこまで進んでいるか

TVアニメはBlu-ray全2巻に第1〜12話が収録される構成で、2026年10月14日時点の公式サイトには第3話「第2職業」までのあらすじが掲載されています。第3話でウィンストーンの鍛冶場とフロイが登場しており、図1でいう時期1の序盤にあたります。キャスト欄にはアイリーンとイザベルの名前もあり、ヤタン教をめぐる序盤の山場が視野に入っていることがうかがえますが、原作の何話までを描くかは公式には発表されていません。

ウェブトゥーン版は2020年に韓国で連載が始まり、現在も続いています。ピッコマの話数一覧には2026年10月14日時点で第339話まで並んでおり、最新話付近では、東大陸の人々を自国に迎え入れたグリードが、別のプレイヤーの建国を助け、死霊術師アグナスとの対決に勝つあたりまで進んでいます(筆者がピッコマで確認)。これは本記事の区分でいう時期3の前半、英語版の話数では第650〜665話前後にあたります(話数の対応は公式のものではなく、ファンWikiの年表と照らした目安です)。日本語のノベル版もピッコマで配信されており、同じ時点で第400話まで掲載されています(話数の区切りが英語版と同じかは未確認)。本記事で確認した範囲では、全2059話の結末まで日本語で読める公式の手段は見つかっていません。

まとめ

  • 原作の状態:韓国のウェブ小説『템빨』は2024年4月に本編完結。英語版の数え方で全2059話。作者による外伝は確認できない
  • 時期1〜2:〈ファグマの末裔〉への転職、カンとの出会い、アイリーンとの結婚、ギルド結成を経て、第600話でプレイヤー初の国を建てる
  • 時期3:メルセデスの加入、クラウゼルへの雪辱、師カンの死。神々の世界と小惑星の伏線が現れる
  • 時期4〜5:第3職業と叙事詩、帝国との和解、神話級クラスの誕生。人魔大戦と地上の聖戦を経て「唯一神」と呼ばれる絶対者に
  • 時期6:バアル、ジュダル、ハヌル、アスラ、蚩尤との決着。ゲームの成り立ちと、女神レベッカの真意が明かされる
  • 結末:帝位を息子に譲り、現実ではユラ、ジシュカと結婚。最終話はレベッカの最期と、世界が融合した7年後の光景で終わる
  • 評価:終盤の路線変更と展開の速さには、韓国の読者から批判も多い