【テムパル~アイテムの力~】〈ファグマの末裔〉徹底ネタバレ解説|能力・剣舞・職業クエストと、ファグマ本人の真実

テムパル~アイテムの力~は、借金を抱えた青年がVRゲーム〈SATISFY〉で「作る力」を武器に成り上がっていく物語です。その出発点が、主人公グリードが北の果ての洞窟で一冊の本を開いて手に入れた職業〈ファグマの末裔〉。伝説の鍛冶職人の技をそのまま受け継ぐ、〈SATISFY〉で最初に生まれたレジェンダリー職です。ところが転職した直後のグリードは、レベルがマイナスで、戦うための技をひとつも持っていませんでした。この職業の本当の姿は、原作小説の1800話以上をかけて少しずつ明かされていきます。なぜ本は洞窟に置かれていたのか。ファグマとは何者で、なぜ友を殺し、悪魔と契約したのか。本記事では、〈ファグマの末裔〉の能力と職業クエスト、そしてファグマ本人の物語を、原作の結末まで含めて解説します。
ネタバレ警告:この記事は原作小説の終盤(英語版の第1853話前後)までの重大なネタバレを含みます。アニメやピッコマのマンガ版がまだ描いていない、ファグマの過去と最期、職業クエストの結末、クラスが最終的にどうなるかまで書いています。未読・未視聴の方はご注意ください。
この記事の基準:話数はすべて英語版(Wuxiaworld『Overgeared』)の章番号です。クラスの仕様やクエストの内容は、英語版の本文(公開されている冒頭部分)と、英語版ファンWiki(Overgeared Wiki)、韓国のナムウィキを2026年10月14日に照合して整理しました。ファンWiki・ナムウィキに基づく箇所は公式の解説ではありません。〈ファグマの末裔〉〈ファグマの奇書〉〈ファグマの剣舞〉などアニメ公式・関連リリースにある用語は公式表記、それ以外のスキル名・クエスト名・人名は英語版と韓国語表記からの訳で、日本語版(ピッコマ)の表記と異なる場合があります。
〈ファグマの末裔〉とは:基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 〈ファグマの末裔〉。韓国語は 파그마의 후예、英語版は Pagma’s Successor(初期の訳は Pagma’s Descendant) |
| 等級・種別 | レジェンダリー(伝説級)の隠し職業。生産職でありながら戦闘職の性質もあわせ持つ |
| 転職方法 | レジェンダリーアイテム〈ファグマの奇書〉を使う。使用条件はなし。使うとレベルとステータスが初期化される |
| クラスの効果 | 製作時に追加オプションが付く確率が上がる/アイテム強化の成功確率が上がる/すべての装備を条件を無視して装備できる(等級に応じたペナルティあり) |
| 称号 | 「伝説になった者」。状態異常にかかりにくい、体力が最小値になっても死なない、人に認められやすい、の3つの効果(英語版第15話のステータス画面) |
| 作中の所有者 | グリードただひとり。第1466話で他の職業と統合されるまで、彼の職業の土台であり続ける |
〈SATISFY〉には全部で9つの伝説職が用意されており、〈ファグマの末裔〉はそのひとつです。ファンWikiによれば、いずれも過去の9人の伝説に由来します。元になった人物がファグマ。伝説の鍛冶職人であり、剣聖ミュラー、不敗王マドラに次ぐと評された剣士でもありました。クラスの中身を図1にまとめます。

転職の経緯と「マイナスレベル」
売り払うつもりだった本
グリードは、アシュルー伯爵の依頼で「あるかどうかも分からない本」を3か月かけて探し、北の果ての洞窟にたどり着きます。洞窟には手に取れない武具が山のように積まれ、金色の台の上に一冊だけ本が置かれていました。鑑定の道具を使うと、それは〈ファグマの奇書〉。説明文は「人の限界を超えた鍛冶職人ファグマの技を収めた本。開いた者は伝説の鍛冶職人になれる」というものです。
グリードの最初の反応は「売れば大金になる」でした。伯爵に渡さずログアウトして売り払おうとした瞬間、依頼は「伯爵の怒り」というクエストに変わり、レベル300の伯爵と、平均レベル180の護衛騎士たちに取り囲まれます。達成条件は彼ら全員を倒すこと。当時のグリードはレベル73でした。逃げ場を失い、このままでは貴重な本を無駄にすると考えた彼は、その場で本を開きます。伝説の職業を選んだというより、取られるくらいなら使ってしまえ、という選択だったわけです。
レベル1から、さらに下へ
〈ファグマの奇書〉を使うと、レベルは1に戻り、スキルとステータスはすべて初期化されます。グリードの場合はそこにクエスト失敗の罰(レベル2つ分の低下)が重なり、レベルはマイナス1になりました。その後のクエスト失敗でさらに下がり、英語版第15話のステータス画面ではレベルはマイナス3、体力34、筋力もスタミナも敏捷も1という状態です。アニメ公式サイトのあらすじも、第2話時点の彼を「レベルマイナス3」と書いています。
もっとも、マイナスレベルには利点もありました。レベル1に戻るまでのレベルアップでも能力値のポイントはもらえるため、同じレベルの他人より基礎の能力値が高くなるのです。
運営の想定を2年近く早めた転職
第3話では、開発元S.Aグループの側からこの出来事が語られます。開発チームのスーパーコンピュータ「モルペウス」の予測では、北の果ての洞窟が見つかるのは1年10か月先のはずでした。伯爵の依頼も本来はレベル350以上のプレイヤーが受ける想定で、その水準なら「伯爵の怒り」を達成したうえで〈ファグマの末裔〉になれる設計だったといいます。それを、レベル70台の平凡なプレイヤーが偶然と執念で掘り当ててしまった。この時点で2次転職を済ませた者は100人に満たず、伝説職はゲーム全体でグリードひとりです。
運営責任者はバランスの崩壊を心配しますが、会長イム・チョルホ(Lim Cheolho)は、ゲームに直接介入しない方針と、「〈ファグマの末裔〉はほかの伝説職に比べれば戦闘では弱い」ことを理由に、問題にしませんでした。ところが、世界中が見守る舞台でグリードが名の知れた上位プレイヤーを数秒で倒すと、「生産職なのに強すぎる」「不具合ではないか」という声が殺到します。会長は自ら「バランスは崩れていない。〈ファグマの末裔〉は意図してこの強さにしてあり、不具合ではない」と説明することになりました(第182話)。伝説職は全部で9つあり、選ばれた9人だけの特別な職業だ、という設定もこの場面で明かされます。
考察ポイント:〈ファグマの奇書〉には使用条件がありません。つまり、誰が拾っても伝説職になれた本です。本来なら高レベルの実力者が正攻法でたどり着くはずだった場所に、世界で最も向いていなさそうな男が先に着いてしまった。「ほかの伝説職に比べれば戦闘では弱い」と見られていた職業が、180話近く後には「強すぎる」と疑われ、会長自身が説明に立つことになる。この落差が、序盤の物語の推進力になっています。
鍛冶職人としての能力
転職直後に得るスキル
転職と同時に、グリードは普通の鍛冶職人が長い時間をかけて極めるスキル一式を習得済みの状態で得て、その上位にあたる「伝説の鍛冶職人」のスキル群を手に入れます。主なものは次のとおりです。
| スキル | 内容 |
|---|---|
| 伝説の鍛冶職人の技術 | 製作の基本スキル。作ったアイテムの性能に補正がかかり、高い等級の品を作るたびに自分の全ステータスが永続的に上がる(レベル1の時点で、レア+2、エピック+4、ユニーク+12、レジェンダリー+25) |
| 伝説の鍛冶職人の鑑定 | 手で触れたアイテムの情報を読み取る。ほかの鑑定手段では見えない隠された機能まで見抜く |
| 伝説の鍛冶職人の忍耐 | 作業に没頭して限界を超えたときに発動し、集中力や持久力を引き上げる。当初は運任せの発動だった |
| 伝説の鍛冶職人の呼吸 | 製作中に発動すると、アイテムの基本性能が上がり、製作法に無い追加効果が付くことがある |
| 伝説の鍛冶職人の創造 | 種類・素材・設計・特徴を自分で決めて、新しいアイテムの製作法そのものを作り出す。使える回数は「技術」のレベルに応じて増える |
なかでも物語を動かすのは「技術」と「創造」です。等級の高い物を作れば作るほど本人が強くなり、欲しい装備が無ければ自分で設計できる。アニメ公式のイントロダクションにある「強いアイテムが手に入らないなら、作ればいい!」という台詞は、この2つのスキルをそのまま言い表しています。なお「忍耐」と「呼吸」は、第893話前後の鍛冶の神ヘクセティア(Hexetia)との勝負を経て、製作中は常に働くスキルに変わります。
装備条件を無視できるという特性
〈ファグマの末裔〉のもうひとつの核が、「すべての装備を条件を無視して装備できる」という効果です。レベルや筋力が足りなくても、他職専用の武器でも身につけられます。ただし無条件に強いわけではなく、条件を満たしていない装備は、レアで20%、エピックで30%、レジェンダリーで55%、基本性能が下がり、付加効果も半分しか発動しません。このペナルティは、そのアイテムへの「理解度」を上げるほど小さくなります(ファンWiki)。
題名の「テムパル(템빨)」は、装備の力で勝つことを指す韓国のゲーム用語です。自分で最高の装備を作り、条件を気にせず全身に着込む。グリードの戦い方は、この特性と鍛冶スキルの組み合わせから生まれています。
あとから開く力と、序盤の弱点
このクラスには「封印された能力」と呼ばれる隠し要素があり、条件を満たすと解放されます。神の武器を作り直したことで開いた「再構成」(理解度100%のアイテムを別の形に作り変える)がその最初の例です。ほかにも、第295話で得た「アイテム合成」(理解度100%の2つのアイテムを一時的に合体させる)、アイテムに魂を宿す「エゴの付与」などが加わっていきます。最後のものはファグマとグリードだけが使える技でしたが、実在する魂をアイテムに打ち込むという性質から、グリードは倫理的な理由で封じます。
一方で、序盤の〈ファグマの末裔〉は弱点だらけでもありました。ファンWikiとナムウィキの整理をまとめると次のとおりです。
- 自動製作が使えない:最初から伝説級の技術を得た反動で、製作ボタンによる自動製作ができない。すべて手作業で、序盤はひとつ作るのに6時間以上かかった
- 作ってもレベルが上がらない:普通の生産職は製作で経験値を得るが、グリードは狩りとクエストでしかレベルを上げられなかった
- 戦闘の基礎が無い:剣や鎧の熟練スキルを持たず、戦闘職なら誰でも受ける基本補正が無い
- 発声と足運び:ほとんどのスキルは名前を声に出す必要があり、剣舞は決まった足運びを邪魔されると不発になる
ナムウィキは、転職直後のグリードは最初の短剣を作るまで戦闘そのものが成り立たなかったと評しています。伝説職でありながら、他の伝説職より戦闘力は劣ると作中で繰り返し言われるのも、このクラスの特徴です。
剣士としての能力:〈ファグマの剣舞〉
滝の裏の壁画で学んだ5つの型
ファグマは鍛冶職人であると同時に、当代屈指の剣士でした。その剣技が〈ファグマの剣舞〉です。ただし奇書には載っておらず、グリードは職業クエストの第1段階として自分で探すことになります。
きっかけはウィンストーンの鍛冶屋カンでした。カンの家には、先祖の名工アルバティーノが鍛えた大剣ダーインスレイヴ(神話の剣の複製)と鎧ヴァルハラが家宝として伝わっています。これを欲しがったグリードが自分は〈ファグマの末裔〉だと明かすと、カンは証拠を求めます。130年前、カンの先祖はファグマの剣舞を目の前で見ていたのです(第28話)。手がかりを追ったグリードは、ケサン渓谷の大滝の裏に隠された壁画を見つけ、第78話で剣舞を習得しました。壁画をすべて見れば覚えられる仕組みだったのに、動きを完璧に真似ないといけないと思い込んで何時間も空回りした、というのがいかにも彼らしいところです(ナムウィキ)。
最初に覚えたのは「波」「制」「連」「殺」「超」の5つ。構えていない間は物理攻撃力とクリティカル率が上がり、構えると5つの技を放てます。技ごとに決まった足運びが必要という制約と引き換えに、技の威力は戦闘職の伝説に見劣りしないとされます。

増えていく剣舞と「融合」
剣舞は物語の進行とともに増えていきます。第230話台で「極」と「回」、聖剣の浄化を通じて「落」(第883〜896話)、第2代教皇の記憶のなかでファグマ本人の剣を目にして「花」と、剣士の資源である「剣気」(第998〜999話)。そして複数の剣舞をつなげて1つの技にする「融合」が、このスキルの到達点とされています。ナムウィキによれば、ファグマは東大陸にいたころ、武神・蚩尤の教えをもとに剣舞を作り、蚩尤から剣舞の極みに至る道として「融合」を示されたといいます。
スキルそのものの名前も変わっていきます。第914話で女神の祝福によって「大剣豪ファグマの剣舞」へ進化し、第999話で本来の完成形に到達。そして第1049話、グリードが最初の「叙事詩」を書き上げた報酬として、名前は「グリードの剣舞」に変わります。先代の技を借りる段階が終わり、自分の剣になった瞬間です。
職業クエスト:ファグマの伝説をたどる旅
〈ファグマの末裔〉には、クラス専用の連鎖クエストがあります。第28話でカンから始まり、完了するのは第1853話。説明文は、この職業の主題をはっきり語っています。あなたはファグマの鍛冶と剣を受け継いだ。だが、ファグマが何者だったのかをまだ知らない。各地に散らばる伝説を集め、彼を本当に理解してその意志を継いだとき、新たな伝説が生まれる、と。

| 段階(話数) | 内容と意味 |
|---|---|
| 1 ファグマの剣舞(第28〜78話) | 壁画から剣舞を学び、カンに披露する。報酬としてダーインスレイヴ(複製)を譲り受ける |
| 2 大魔術師の復活(第114〜310話) | 伝説の大魔術師ブラハム(Braham)の魂を宿す「魂の器」を作る。報酬は、ファグマとブラハムが共同で生んだ鉱物パブラニウム |
| 3 ファグマが成し得なかったこと(第320話〜) | パブラニウムで、自分の手と同じ器用さを持つ「ゴッドハンド」を完成させる。老いたファグマが構想だけで終えた品 |
| 4・5 新しい製作法の収集/裁縫の修練(第624話〜第1449話) | 鍛冶以外の製作技術を学び、裁縫を極めて鍛冶と融合させる |
| 6 最初の聖剣の浄化(第878〜896話) | 鍛冶の神との勝負を経て聖剣を清める。説明文は「ファグマの影から抜け出せ」。報酬は剣舞「落」と女神の祝福 |
| 7 ファグマとは違う道(第1261話〜) | ファグマがパブラニウムに閉じ込めたドワーフの女帝の魂を解放する。報酬は、魂を犠牲にしない「上級エゴアイテム製作」 |
| 最終 ファグマの安息(第1449〜1853話) | 地獄で苦しむファグマの魂を解放する。報酬は新たな剣舞の解放と、剣舞の融合の制限の撤廃(一部の剣舞を除く) |
段階の名前を並べるだけでも、流れが見えてきます。前半はファグマの技を集める旅で、第3段階からは「ファグマにできなかったこと」「ファグマの影から抜け出す」「ファグマとは違う道」と、先代を超えること、先代の過ちを正すことへと主題が移っていきます。第4段階の説明文には、「あなたはファグマの技の後継者だが、まだ真の後継者ではない」という一文もあります。
ファグマとは何者だったのか
東大陸から来た鍛冶職人
ファグマはもともと、東大陸の天の神に仕える半神「ヤンバン」のひとりでした。ナムウィキによれば、故郷でははみ出し者として扱われ、武神・蚩尤の助けで西大陸へ逃れたといいます。西大陸ではドワーフをも超える鍛冶の腕で名を上げ、人の身で神の技に迫りました。鍛冶の神ヘクセティアが人間を見放していたこの世界で、ファグマ以前に「伝説の鍛冶職人」と呼ばれた者はおらず、彼は神の助けなしにその域へ達した最初の人物でした(ナムウィキ)。
130年前にはウィンストーンでカンの先祖の鍛冶場を訪れ、ダーインスレイヴとヴァルハラの真価を最初に認めました。譲ると言われたファグマは、「この2つには作り手の魂がこもっている。自分のような小さな器にはもったいない。いつか使いこなす英雄が現れる」と断っています。アニメ第3話で、この2つが「ファグマに関わる家宝」と紹介されているのは、この逸話を指しています。レベッカ教の第5代教皇フランツとは親しい友で、彼のために聖光の装備を作り、強すぎる力で使い手の命を縮めていた教団の聖遺物を封印しました。
友ブラハムを殺した男
ファグマの生涯に影を落とすのが、大魔術師ブラハムとの関係です。約300年前、2人は友でした。ブラハムは不死を求めて「魂の器」を構想し、その素材として、ファグマとともに神の鉱物をも超えるパブラニウムを作り上げます。ところがファグマは、ブラハムが魔族の血を引くと知ると、悪を滅ぼすという名目で彼の心臓を貫き、その寿命を奪いました。第1028話でブラハムは、自分を見下ろすファグマの目には情も後悔も痛みもなく、強さへの渇望だけがあったと振り返っています。同じ場面によれば、ファグマはそれ以前に、世界を守る力を得るとブラハムの前で誓っていました。その誓いが、友への裏切りとして返ってきたことになります。
ファグマはのちにこの裏切りを悔い、ブラハムの遺体を誰にも触れられないよう「剣の墓」に隠します。そして、ブラハムの魂がいずれ自分の後継者を探し出し、魂の器を作らせるはずだと見越して、後継者のための本を遺しました。ファンWikiに載る隠しクエスト「ファグマの配慮」(第939話)の説明文は、こう明かします。ファグマがこの世に本を残したのは、古い友ブラハムのためだった、と。北の果ての洞窟にあった〈ファグマの奇書〉は、友への償いの仕掛けだったことになります。

バアルの契約者
晩年のファグマは、地獄の第1位の大悪魔バアル(Baal)と契約します。背景には鍛冶の神ヘクセティアの嫉妬がありました。人間でありながら自分に迫るファグマを妬んだヘクセティアは、バアルに人類への侵攻を持ちかけます。ファンWikiによれば、バアルは「ファグマにも力を与えること」を条件に引き受けました(第883話前後の回想)。大悪魔の脅威から人類を守るには自分の力では足りないと悟ったファグマは、魂を差し出して力を得ました。彼は眠っていた先代の伝説たちの墓を暴き、不敗王マドラや暗殺者、弓使い、仕立て職人らを死の騎士として蘇らせ、歴代の英雄を祀る殿堂を守らせました。グリードがベヘン群島で戦った先代の伝説たちは、このときファグマが蘇らせた者たちです。
結果として世界は救われました。しかし、友を殺し、英雄の墓を暴き、悪魔と契約した男を、世界は英雄とは呼びません。人々が覚えているのは「腕のいい鍛冶職人ファグマ」だけで、事情を知る者は彼を裏切り者と呼びました。ファンWikiは、人類を救ったファグマが「徳」ではなく「火」の称号しか得られなかったのは、多くの犠牲を出したためではないかと記しています。そして契約の代償として、彼の魂は死後、地獄でバアルに囚われ続けることになります。
グリードとファグマ:感謝、失望、そして理解
グリードのファグマに対する見方は、物語のなかで大きく揺れます。第1327話の冒頭は、その変遷をそのまま並べています。技を受け継いで新しい人生を得たことへの深い感謝。作品を知るたびに増していく尊敬。ブラハム殺しを知ったときの失望。ベヘン群島で死の騎士にされた先代の伝説たちと出会ったときの嫌悪。
それでも地獄でバアルに嘲られるファグマの魂と向き合ったとき、グリードは彼を英雄だと認めます。多くの人を犠牲にしたかもしれないが、世界を救ったのは事実だ、と。この場面はグリードの9番目の叙事詩「ファグマの秘められた伝説」として世界中に伝えられました。誰も知らない場所で独りで戦ったファグマの過去と、仲間とともに戦うグリードの現在が重ねられ、ファグマは剣舞「龍」をグリードに託します。報酬として、ファグマが生前に作ったすべてのアイテムの等級が1つ上がりました(ファンWikiに載るシステムメッセージ)。世界がファグマの物語を知ったことで、彼の伝説そのものが大きくなったのです。
第1449話の終わりに発生し、第1450話で内容が示される最終クエスト「ファグマの安息」の説明文は、こう締めくくられます。ファグマの技を受け継いだあなたは、彼の生涯を理解し、その功績を敬うただひとりの証人である。地獄で苦しむ哀れな魂を解放せよ。そして第1847話でグリードがバアルを討ち、第1853話、解放されたファグマは後継者に最後の剣舞を授けて逝きます。第28話に始まった職業クエストは、ここでようやく完了しました。
考察ポイント:ファグマとグリードは、同じ技を持ちながら正反対の道を歩みます。ファグマは独りで戦い、友を切り捨て、死者を道具にして世界を救いました。グリードは仲間を増やし、ブラハムを蘇らせ、ファグマが閉じ込めた魂を解放し、最後にはファグマ自身を救います。職業クエストの段階名が「ファグマとは違う道」と名づけられているとおり、この職業の物語は「先代の技を継ぐ」話から「先代の過ちを継がない」話へと変わっていきます。
クラスの終わり:「末裔」から「神」へ
〈ファグマの末裔〉という職業名は、物語の終わりまでは残りません。グリードは第393〜396話でブラハムの魂と一体化して第2職業を得て、第1030話でプレイヤー初の第3職業「叙事詩の魔剣士」に到達します。最初の叙事詩(第1048〜1049話)についてファンWikiは、グリードがファグマとブラハム両方の後継者として〈ファグマの末裔〉を超える立場になり、自分の道を切り開いたと説明しています。かつて殺した者と殺された者の技が、ひとりの中で合わさったわけです。
そして第1466話、13番目の叙事詩の完成とともに、〈ファグマの末裔〉を含む3つの職業はひとつに統合され、神話級クラス「オーバーギアード神」が誕生します。鍛冶の技術は、その少し前、裁縫の修練を終えた第1449話の時点で「オーバーギアード神グリードの技術」へ進化しており、剣舞ものちに「オーバーギアード神の剣舞」へ改まります(ファンWiki・ナムウィキ)。グリードは第552話の朱雀の弓を皮切りに神話級のアイテムをいくつも作り上げ、鍛冶の神との勝負にも勝っています。技の面でも立場の面でも、後継者は先代を超えていきました。
「末裔」か「後継者」か:名前の話
最後に、名前について触れておきます。韓国語の原題にある「후예」は、子孫・後裔を意味する言葉で、日本語版の「末裔」はこれに沿った訳です。一方、英語版は当初 Descendant(子孫)と訳していたものを、のちに Successor(後継者)へ改めました。翻訳者は「そのほうが合っているから」と注記しており(ファンWikiが収録する訳者注)、現在公開されている英語版は第1話から Successor で統一されています。グリードはファグマの血を引いているわけではなく、本を通じて技を継いだ人物なので、意味としてはこちらが近いと言えます。
作中のクエスト文も、この点を意識した書き方になっています。「あなたはファグマの技の後継者だが、真の後継者ではない」。血のつながりはなく、最初は技を借りているだけ。ファグマを理解し、その過ちまで引き受けて正したとき、はじめて本当の意味で跡を継いだことになる。〈ファグマの末裔〉という職業名は、物語を通して中身が埋まっていく名前だったと言えます。
アニメ・マンガ版ではどこまで描かれているか
TVアニメは2026年10月14日時点で、公式サイトに第3話「第2職業」までのあらすじが公開されています。第1話で〈ファグマの奇書〉による転職、第2話でレベルマイナス3からの鍛冶修業、第3話でカンの鍛冶場と、ダーインスレイヴ・ヴァルハラ、職業クエストの話までが描かれる構成です。放送前に公開された第2弾PVの紹介でも、〈ファグマの剣舞〉の名前が挙がっています。原作で剣舞を習得するのは第78話なので、アニメの後半で滝の裏の壁画の場面が描かれるかが見どころになります。
ピッコマのマンガ版は、最新話付近で、東大陸の人々を自国に迎えたグリードが、別のプレイヤーの建国を助け、死霊術師アグナスとの対決に勝つあたりまで進んでいます(筆者がピッコマで確認)。英語版の話数では第650〜665話前後にあたり、職業クエストでいえば第4・5段階(新しい製作法の収集)に入ったところです。聖剣の浄化、ファグマの過去の追体験、地獄での再会といった、この記事の後半で扱った出来事は、マンガ版ではまだこれからということになります(話数の対応はファンWikiの年表と照らした目安です)。
まとめ
- クラスの正体:伝説の鍛冶職人ファグマの鍛冶と剣を継ぐレジェンダリー職。〈ファグマの奇書〉を使えば誰でもなれたが、手にしたのはグリードだけ
- 強み:高い等級の品を作るほど自分が強くなる鍛冶スキル、製作法を自分で設計する「創造」、すべての装備を条件を無視して着られる特性
- 弱み:転職でレベルが初期化され、自動製作が使えず、戦闘の基礎スキルも無い。序盤は伝説職のなかで最も戦えない部類だった
- 〈ファグマの剣舞〉:第78話で5つの型を習得。技を増やし、融合を重ね、第1049話で「グリードの剣舞」へ名前が変わる
- 職業クエスト:第28話から第1853話まで続く8段階。ファグマの技を集める旅から、ファグマを超え、その過ちを正す旅へ変わっていく
- ファグマ本人:友ブラハムを殺し、英雄の墓を暴き、バアルと契約して世界を救った人物。奇書は友への償いとして遺された
- 結末:グリードがバアルを討ってファグマの魂を解放。クラスは第1466話で「オーバーギアード神」に統合される
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