さよなら ララは、童話『人魚姫』の物語を出発点に、現代の滋賀県・琵琶湖のほとりを舞台として描かれる完全オリジナルTVアニメーションです。公式サイトなどでの表記は『さよならララ』。原作・アニメーション制作はキネマシトラスが担い、本作はスタジオ設立15周年を記念する作品として企画されました。

本当の愛を見つけられないまま泡となって消えた人魚のプリンセスが、およそ200年の時を越えて、今度は人間として日本一大きな湖のほとりに立つ。海底の王国でも異世界でもなく、湖と山と、ごく普通の家族が暮らす町。そこでもう一度「愛」を探しはじめる少女の物語です。

2026年7月5日より放送が始まり、8月末時点で物語は中盤を折り返しています。ここでは公式サイトで公開されている情報をもとに、作品の基本データ、世界観、スタッフとキャスト、そして放送・配信スケジュールまでを整理していきます。

『さよならララ』作品概要

まずは公式に発表されている基本情報を確認しておきましょう。本作は原作となる漫画や小説を持たず、キネマシトラス自身が原作を担う完全オリジナル企画です。

項目内容
タイトルさよならララ(英題: Goodbye, Lara)
放送開始2026年7月5日(日)
話数全12話
原作キネマシトラス(完全オリジナルTVアニメーション)
アニメーション制作キネマシトラス(設立15周年記念作品)
監督小出卓史
シリーズ構成川原杏奈
キャラクターデザイン谷 紫織
音楽yuma yamaguchi
OPテーマ「さよならララ」いきものがかり
EDテーマ「Hearts Glow」Hana Hope
主な舞台滋賀県大津市・琵琶湖周辺

近年のオリジナルアニメは、ロボットやSF、あるいは異世界を題材にしたものが目立ちます。そのなかで本作は、誰もが知る童話をベースにしながら、その舞台を現実の日本の地方都市に置くという、かなり珍しい設計を選んでいます。監督の小出卓史は滋賀県の出身で、本作が初監督作品にあたることが公式に発表されています。生まれ育った土地を舞台に、初めて一本の作品を預かる——その事実だけでも、この企画に込められた温度が伝わってきます。

15周年という節目に、既存の人気原作の映像化ではなく完全オリジナル作品を選び、しかも「原作」のクレジットまでスタジオ自身が背負っていること。この一点だけでも、本作にかけられた力の入り方がうかがえます。

世界観とあらすじ――泡になった人魚姫の、その後

公式サイトのイントロダクションは、昔話の語り口で始まります。昔々あるところに、ララという人魚のプリンセスがいました。海の王である父と姉たちに愛され、すくすくと育ちました——と。

そこまでは、私たちがよく知る『人魚姫』とほとんど同じです。ララは人間の王子に恋をし、魔女グレイスから禁忌の薬を受け取ります。その薬には代償がありました。人間になったララが「本当の愛」を見つけられなければ、泡となって消えてしまうというものです。

そして、よく知られた童話と同じように、ララの願いは叶いませんでした。彼女は本当の愛を見つけられず、泡となって海へ還ります。ここで物語が終わっていれば、それはただの人魚姫の再話でした。

本作が動きはじめるのは、そこから約200年後です。ララは現代の滋賀県・琵琶湖に、人間の姿で蘇ります。海ではなく、湖。王国ではなく、日本の地方都市。かつて自分を泡に変えた「本当の愛」を、彼女は今度こそ見つけようとします。

蘇ったララに手を差し伸べるのが、大津市に暮らす女子高校生・大津茉里です。ボクシングに打ち込む彼女は、行くあてのないララを自分の家に迎え入れます。茉里の家は、祖母・父・兄との四人暮らし。この家庭にララが加わることで、物語の日常パートが立ち上がっていきます。

一方で、ララを取り巻く事情は穏やかなだけではありません。かつてララを人間に変えた魔女グレイスは、人魚の世界の掟を嫌って追放された身で、現在は魚の姿となって茉里とともに行動しています。さらに、海には人間を強く嫌う父・ローワンがおり、四番目の姉であるリサは、人間の姿で蘇ったララの行方を追っています。湖畔の静かな暮らしと、海の側から伸びてくる過去の糸。この二重構造が、物語の緊張を生み出しています。

この記事で紹介しているあらすじは、公式サイトのイントロダクションおよびキャラクター紹介で公開されている範囲にとどめています。放送中のエピソードで明かされる展開や結末には触れていません。

制作陣(スタッフ)

本作の中核を担うスタッフは、公式サイトに以下のとおり掲示されています。

担当氏名
原作・アニメーション制作キネマシトラス
監督小出卓史
シリーズ構成川原杏奈
キャラクターデザイン谷 紫織
音楽yuma yamaguchi

監督を務める小出卓史にとって、本作は初の監督作品です。滋賀県出身であることが公式に紹介されており、作品の舞台が琵琶湖畔に設定されていることと無関係ではないでしょう。土地勘のある人間が描く風景と、そこに暮らす人々の生活感は、ファンタジーの導入部を現実に着地させるうえで大きな武器になります。

シリーズ構成は川原杏奈。全12話という尺のなかで、200年前の童話パートと現代の日常パート、そして海の側の思惑という三つの層をどう配分していくかが、本作の脚本上の勝負どころになります。キャラクターデザインは谷 紫織が担当しています。

キャスト一覧

公式サイトのCAST欄に掲載されている配役は次のとおりです。

キャラクター担当声優
ララ菱川花菜
大津茉里川石奈奈
グレイス深見梨加
ルカ村瀬 歩
大津祥弥大野智敬
大津 誠真殿光昭
大津江万住友七絵
ローワンてらそままさき
リサ津田美波
コータ山本和臣

声優名の表記は公式サイトの記載に合わせています。「村瀬 歩」「大津 誠」「谷 紫織」などは、掲載媒体によって姓名の間のスペースの有無が異なりますが、いずれも同一人物です。

主要キャラクター紹介

公式サイトのCHARACTERページで紹介されている人物を、海の側と陸の側に分けて見ていきます。

ララ(CV:菱川花菜)

本作の主人公。約200年前、人間の王子との恋が実らず泡となって消えた人魚のプリンセスです。現代の琵琶湖に人間として蘇り、あらためて「本当の愛」を探しはじめます。一度は愛を見つけられずに消えた存在が、二度目の機会を与えられる——この設定そのものが、彼女の一挙手一投足に重みを与えています。

大津茉里(CV:川石奈奈)

滋賀県大津市に暮らす女子高校生で、ボクシングに打ち込んでいます。祖母・父・兄と暮らす家庭に、行くあてのないララを迎え入れる人物です。人魚姫という受動的になりがちな題材に対して、拳で戦う現代の少女を相棒に据えた配置は、本作のバランス感覚をよく表しています。

グレイス(CV:深見梨加)

200年前、ララを人間に変えた魔女。人魚の世界の掟を嫌ったために追放された過去を持ち、現在は魚の姿となって茉里とともに行動しています。ララの運命を決定づけた張本人が、いまは陸の側にいて、しかも姿を変えている。過去と現在をつなぐ、物語上の要となる存在です。

ルカ(CV:村瀬 歩)

ララが滋賀で出会う少年。200年前にララが恋をした王子とよく似た容姿を持つと紹介されています。この「よく似ている」という一点が、蘇ったララにとってどんな意味を持つのか。公式サイトの紹介文はそれ以上を明かしておらず、本編で描かれるのを待つほかありません。

大津家の人々

茉里の兄・大津祥弥(CV:大野智敬)は高校3年生。友人は多いものの学校を休みがちで、バイクを趣味にしています。父の大津 誠(CV:真殿光昭)は寡黙なフリーカメラマンで、子どもたちとララを温かく見守る立場です。祖母の大津江万(CV:住友七絵)は家の隣にある教会で牧師を務めており、家族の成長を静かに見守っています。

牧師である祖母が同居している家に、童話の人魚姫が転がり込む。宗教的な祈りの場と、海の神話的な存在が同じ屋根の下に並ぶ構図は、本作の舞台設定のなかでもとりわけ印象的な部分です。

海の側の人々

ローワン(CV:てらそままさき)は偉大な海の王で、ララを含む6人姉妹の父。人間を強く嫌っていると紹介されています。リサ(CV:津田美波)はララの四番目の姉で、人間の姿になって蘇ったララを捜しており、人間に対して特別な思いを抱いている様子が示されています。コータ(CV:山本和臣)はリサと常に行動をともにする人物で、ララを知っているらしいものの、ララの側に彼の記憶はないとされています。

コータとララの「片側だけにある記憶」という設定は、公式のキャラクター紹介にはっきり書き込まれている数少ない謎です。誰が何を覚えていて、誰が忘れているのか。記憶の非対称は、本作を読み解く手がかりのひとつになりそうです。

音楽・主題歌

劇伴音楽を手がけるのは yuma yamaguchi。すべて小文字で表記するのが公式のクレジットです。

オープニングテーマは、いきものがかりによる「さよならララ」。作品タイトルと同じ曲名で、歌は吉岡聖恵、作詞・作曲は水野良樹、編曲は亀田誠治が担当しています。作品名をそのまま冠したテーマ曲という点からも、この楽曲が物語と一体で構想されていることがうかがえます。

エンディングテーマは Hana Hope の「Hearts Glow」。作詞・作曲にHana Hope自身が参加し、編曲はDavid Baronが手がけています。オープニングが日本のポップスの王道であるのに対し、エンディングは別の質感を持つ楽曲で締める——この対比も、作品の二層構造とゆるやかに響き合っています。

作品のテーマ

本作が繰り返し提示しているのは、「本当の愛とは何か」という問いです。ただし、この問いの立て方が少し変わっています。

アンデルセンの原典では、王子が別の女性と結婚した翌朝に人魚姫は海の泡となります。ただし物語はそこで終わらず、彼女は空気の娘たちの一員となり、不滅の魂を得る道が示されます。本作はこれを「本当の愛を見つけなければ泡になる」という独自の条件に再構成したうえで、泡となったララにあらためて人間としての時間を与えました。つまり彼女は、答えを出せなかった問いを抱えたまま、二度目の人生を歩みはじめた存在です。恋愛の成就というゴールが最初から用意されているのではなく、「そもそも本当の愛とは何だったのか」を検証し直す物語になっている。ここが本作の企画上の芯だと考えられます。

もうひとつの軸が、家族です。海の側には父ローワンと姉たちがおり、陸の側には祖母・父・兄という三世代の大津家があります。海の側では父ローワンが人間を強く嫌う一方、陸の大津家は素性の知れない少女を受け入れる。愛の形が対照的に配置されているこの構図は、恋愛だけではない「愛」の広がりを扱おうとする姿勢の表れでしょう。

そして、失われた時間。200年という隔たりは、ララにとって知る人が誰もいない世界に放り出されることを意味します。喪失を抱えた者が、それでも新しい場所で誰かとつながっていく——タイトルの「さよなら」という言葉が、別れだけでなく再出発の合図としても響いてくる構造になっています。

本作の見どころ

ここまでの情報を踏まえて、注目したいポイントを整理します。

童話と地方都市が地続きになる舞台設定

人魚姫という西洋童話の題材を、滋賀県大津市・琵琶湖という具体的な日本の土地に接続した点が、本作最大の特徴です。異世界に飛ばすのでも、海外を舞台にするのでもなく、湖のある町の日常のなかにファンタジーを置く。監督が同県の出身であることを考えると、この選択には相応の必然性があるはずです。

完全オリジナルゆえの先読みできなさ

原作となる漫画や小説が存在しないため、この先の展開を知る手段はありません。全12話という尺のなかで、ララの探索がどう決着するのかを、視聴者全員が同じ位置から見届けることになります。原作つきアニメでは味わいにくい体験です。

海と陸、二つの家族の対比

人間を嫌う海の王ローワンと、素性の知れない少女を迎え入れる大津家。この対比が物語を進める推進力になっていることは、キャラクター紹介の段階からうかがえます。姉のリサが「人間に特別な思いを抱いている様子」と紹介されている点も含め、海の側の心情がどう描かれるかは大きな見どころです。

公式サイトでは本作のジャンル名は明示されていません。人魚姫を下敷きにした現代ファンタジーであり、青春ドラマの要素も併せ持つ作品とみられますが、分類は視聴者の受け取り方に委ねられている状態です。

放送・配信情報

放送は2026年7月5日にスタートしました。放送局は以下のとおりです。

放送局放送日時
TOKYO MX毎週日曜 24:30〜(暦上は月曜 0:30〜)
BS朝日毎週放送(放送日時は通常枠から変更された回があるため、公式On Airページと番組表で要確認)
読売テレビ毎週放送(開始時刻が数分単位で繰り下がる回があるため、公式On Airページと番組表で要確認)
AT-X毎週月曜 21:30〜(リピート放送あり)

深夜アニメ枠の常として、放送時間は編成の都合で変動します。実際に本作でも、一部の回で放送日や開始時刻が通常枠からずれた実績があり、資料によって記載されている曜日・時刻が食い違っています。とくにBS朝日と読売テレビについては、本記事では具体的な曜日・時刻の断定を避けました。録画予約をしている場合は、公式サイトのOn Airページと各局の最新の番組表を都度確認することをおすすめします。

配信サービス

配信は放送に続く形で、多数のプラットフォームに展開されています。無料で視聴できるサービスがある点は、これから追いかけたい人にとってありがたいところです。

配信サービス備考
ABEMA無料配信あり(毎週日曜 25:00頃〜)
TVer無料配信あり
dアニメストア見放題
U-NEXT見放題
Prime Video見放題
Hulu見放題
DMM TV見放題
FOD見放題
Lemino見放題
バンダイチャンネル見放題
アニメ放題見放題
milplus見放題パック対象

このほかにも複数のサービスで配信が行われています。配信開始のタイミングや対象プランはサービスごとに異なり、変更される場合もあるため、最新の情報は公式サイトの配信情報ページで確認してください。

原作情報――オリジナル企画としての位置づけ

本作には、いわゆる原作となる漫画や小説はありません。公式のクレジットでは「原作・アニメーション制作:キネマシトラス」と表記されており、スタジオ自身が原作を担う完全オリジナルTVアニメーションとして制作されています。したがって、既刊の単行本や掲載誌といった情報は存在しません。

物語の下敷きになっているのはアンデルセンの童話『人魚姫』ですが、本作はその再話ではなく、「泡になったあと」を独自に描く続きの物語として構成されています。原典を知っていれば読み取れる仕掛けはあるものの、予備知識なしでも問題なく追える作りです。

映像ソフトはBlu-rayおよびDVDで上下巻に分けてリリースされる形が発表されており、上巻に第1話から第6話、下巻に第7話から第12話が収録されます。全12話という構成が、ここからも裏づけられます。

まとめ

『さよならララ』は、誰もが知る童話の結末を出発点に据えるという、大胆な発想から始まった作品です。最後に要点を整理しておきます。

  • 作品の位置づけ: キネマシトラス設立15周年を記念した完全オリジナルTVアニメーション。原作となる漫画・小説は存在しない
  • 物語: 本当の愛を見つけられず泡となって消えた人魚のプリンセス・ララが、約200年後に滋賀県・琵琶湖へ人間として蘇り、あらためて愛を探す
  • 舞台: 滋賀県大津市・琵琶湖周辺。監督の小出卓史は滋賀県出身で、本作が初監督作品
  • スタッフ: シリーズ構成は川原杏奈、キャラクターデザインは谷 紫織、音楽は yuma yamaguchi
  • キャスト: ララ役に菱川花菜、大津茉里役に川石奈奈。魔女グレイス役に深見梨加、ルカ役に村瀬 歩など
  • 主題歌: OPはいきものがかり「さよならララ」、EDはHana Hope「Hearts Glow」
  • 放送: 2026年7月5日開始、全12話。TOKYO MX・BS朝日・読売テレビ・AT-Xで放送
  • 配信: ABEMAとTVerで無料配信、dアニメストアやU-NEXTなど主要な見放題サービスでも視聴可能

放送はすでに後半戦に差しかかっています。全12話という限られた尺のなかで、ララの二度目の旅がどんな答えにたどり着くのか。タイトルの「さよなら」が誰に向けられた言葉なのかも含めて、結末まで見届けたい作品です。