テムパル~アイテムの力~は、借金を抱えた青年グリードがVRゲーム〈SATISFY〉で成り上がっていく物語です。〈ファグマの末裔〉となったグリードの前に、ある日、迷宮の箱から透き通った男の幽霊が現れます。300年前に死んだ伝説の大魔術師ブラハム。先代の伝説の鍛冶職人ファグマのかつての友であり、そのファグマに殺された男でした。吸血鬼の始祖の子として生まれ、永遠の命を失い、友に裏切られ、魂だけになってもなお知識を求め続けた彼は、やがてグリードの体に宿り、彼を「唯一の友」と呼ぶようになります。本記事では、ブラハムのプロフィールと性格、吸血鬼から魂、そして神へと移り変わる立場、グリードやファグマとの関係、原作小説での印象的な場面までを解説します。

ネタバレ警告:この記事は原作小説の結末近くまでのネタバレを含みます。アニメ公式サイトのあらすじが紹介している範囲(第3話まで、2026年10月14日時点)より先の内容として、ブラハムの正体、ファグマとの過去、復活、神への昇格にも触れています。未読・未視聴の方はご注意ください。

この記事の基準:原作小説の話数は英語版(Wuxiaworld『Overgeared』)の章番号です。原作の描写は英語版の本文(公開されている試し読みの範囲)と英語版ファンWiki、韓国のナムウィキを2026年10月14日に照合しました。韓国の巻表記しか無い出来事は、ナムウィキに基づく目安として話数を付けずに書いています。アニメ公式サイトで確認できる名前(グリード、ユーフェミア、ジシュカ、〈ファグマの末裔〉など)は公式表記、ブラハムを含むそれ以外の人名・地名・スキル名は英語版表記のカナ書きまたは訳です(カドロウ、ガミギンなど、本シリーズで初めて出す名前も同じ方針です)。フィアロ・クラウゼルは、ピッコマ版とネクソンのゲーム『HIT : The World』のコラボ告知(2024年)の日本語表記です。それ以外の名前の日本語版(ピッコマ)での表記は照合できていません。

基本プロフィール

項目内容
名前ブラハム(英語版 Braham、韓国語 브라함)。フルネームは英語版で Braham Eshwald(韓国語 브라함 에슈발트)
声優アニメ公式サイトのキャスト欄に掲載なし(2026年10月14日時点)
異名・職業「知恵の公爵」(英語版 Duke of Wisdom、第306話)。伝説の大魔術師
出自吸血鬼の始祖ベリアチェの直系の子。英語版第306話は「9人の直系のひとり」と書き、ファンWiki・ナムウィキは末子マリーローズを含めて10人とする
初登場原作小説 第114話(名前は第110話で先に出る。ファンWiki)
到達点第1134話で肉体を得て復活。第1720〜1722話で「魔法と知恵の神」に。第1981話で絶対者に数えられる(ファンWiki)

ブラハムは、作中の世界で「魔法の父」と呼ばれてきた人物です。英語版第310話は、彼を現在の魔法体系を築いた人物として紹介し、その功績は伝説と呼ぶにふさわしいと書いています。ただし英語版第210話によれば、人々が知るブラハムの業績は、実は弟子ムムドのものでした。複雑な魔法の式を簡単にして世に広めたのはムムドであり、なぜ世間がブラハムをたたえるのかを知っているのはブラハム本人だけだった、と。輝かしい名声の裏に後ろめたい秘密を抱えている。ブラハムという人物は、最初からそういう複雑さを持って描かれます。

アニメ公式サイトのキャラクター紹介とキャスト欄には、2026年10月14日時点でブラハムの名前はありません。原作小説で彼が登場するのは第114話で、物語の序盤からグリードの成長に長く関わる人物です。

ブラハムの3つの姿 吸血鬼の知恵の公爵、伝説の大魔術師、魔法と知恵の神の図
図1:ブラハムの3つの姿(英語版の試し読み、英語版ファンWiki、ナムウィキから整理)

性格・特徴

天井知らずの自尊心

ブラハムを一言で表すなら「傲慢」です。英語版ファンWikiは、彼を天文学的な傲慢さと自己愛、自分の知性への絶対の自信を持つ人物と説明し、ほとんどの相手を無能と見なして、その軽蔑を隠そうともしないと書いています。グリードの体を借りて記者団に囲まれた場面では、グリードの口を使って「私は伝説だ。私は全能だ。お前たちのような取るに足らない者には、私を理解するどころか想像することもできない。当然のことだ」(英語版第309話の台詞の訳)と言い放ちます。ナムウィキは、口の悪さも特徴に挙げています。罵るというより、人を傷つける言い回しが妙に独創的なのだ、と。

「知恵の公爵」なのに賢くない

英語版第1178話には、彼を評した印象的な一節があります。ブラハムの知識が世界一であることは誰も否定できない。だが面白いことに、知恵の公爵ブラハムを「賢い」と言う者はほとんどいない。傲慢で情熱的な彼は、豊富な知識と経験を持ちながら、しばしば感情を理性より先に走らせてしまうからだ、と。実際この場面でも、危険だから西大陸に残ると約束していたはずの彼が、約束を破ってグリードのいる東大陸に現れています。ナムウィキも、感情で動くせいで膨大な知識を生かしきれない場面が多く、グリードにそのたびに「トロール(足を引っ張る行為)」と言われる、とまとめています。

好きになった相手には弱い

冷酷で強気な一方、ファンWikiは「好きになった相手にはめっぽう弱い」とも書いています。グリードへの態度はその典型で、ナムウィキは、心配しているのかと聞かれると「わ、私がいつそんなことを!」と慌てる場面(ナムウィキの書き起こし)を挙げて、作中最強のツンデレと評しています。好意を素直に言えないほど誇り高く、自分自身にも嘘をつきながら、少しずつ変わっていく自分から目をそらしている。ファンWikiのこの説明は、彼の人物像をよく言い表しています。

考察ポイント:ブラハムは、知識はあるのに知恵が足りない人物として描かれます。それは、才能がなく失敗を重ねながらも人を信じることを覚えていくグリードとちょうど逆の形です。ブラハムがグリードから学んだのは魔法ではなく、人を信じ、人に信じられることでした。この「逆向きの師弟関係」が、2人の関係の読みどころです。

立場の変遷:吸血鬼から魂、そして神へ

一族を追われた吸血鬼の公爵

ブラハムの生まれは人間ではありません。英語版第306話によれば、彼は吸血鬼の始祖ベリアチェの直系の子で、一族でも指折りの賢さから「知恵の公爵」と呼ばれていました。邪神ヤタンが吸血鬼にかけた「怠惰の呪い」に疑問を抱いた彼は、ヤタンについて調べ続け、483年をかけて、ヤタンの破壊の本能が一定の周期でしか目覚めないことを突き止めます。英語版第1028話は、母から知識への欲を受け継いだ彼が、怠惰の呪いに耐えて世界の真実にたどり着き、母と同じく神々の本性を垣間見たと書いています。

しかしファンWikiによれば、知識を求めるあまり同族の吸血鬼まで実験に使ったことで、彼は一族から追放されます。生まれたばかりの末の妹マリーローズに血を吸われて直系の力を奪われ、永遠の命も失いました。以後、ブラハムは人間に扮して魔法の研究を続けます。

ファグマとの友情と裏切り

人間として生きるブラハムが求めたのは、失った不死でした。クエスト「大魔術師の復活」の説明文(ファンWiki、第114話)によれば、彼は死すべき魂を不死の魂へ生まれ変わらせる「魂の器」を設計し、その素材を求めて旧友ファグマのもとを訪れます。2人は力を合わせて、この世に無かった鉱物パブラニウムを生み出しました。

第114話時点のこの説明文は、パブラニウムを鍛えられる唯一の鍛冶師ファグマが老いて死に、ブラハムは望みを果たせなかった、と語ります。しかし物語が進むと、別の真実が明かされます。英語版第1028話でブラハムが振り返るところでは、ファグマは「悪を滅ぼす」という名目でブラハムを殺し、その寿命を奪っていました。心臓を貫いたファグマの目には、情も後悔も痛みもなく、ただ強さへの渇望だけがあった、と。英語版第937話は、ファグマの晩年の作品が眠る「剣の墓」が、同時にブラハムの墓でもあったと書いています。

魂のまま、グリードの中へ

約300年後、迷宮に封じられていた魂のかけらのひとつがグリードと出会い、ブラハムは〈ファグマの末裔〉に魂の器を作らせようとします。クエストを後回しにされた彼は、ゴーレムの軍勢でエターナル王国を襲わせ(ワールドメッセージになった出来事として英語版第692話が挙げています)、「ファグマの末裔よ、ムムド以来、私をここまで怒らせたのはお前が初めてだ」(英語版第210話の台詞の訳)と怒りをあらわにしました。

第307話では、グリードの体を借りて姿を現します。そのステータスは、レベル545、知力15,880。それでも説明文は「この人間の肉体では本来の力を引き出せず、能力値の大半が封印されている」と添えていました(英語版第307話)。第310話、グリードが作った魂の器に、大陸中に散らばっていた魂のかけらが集まります。ナムウィキによれば、その後、肉体を取り戻そうと向かった剣の墓でアグナスの襲撃を受けて魂が弱り、自分の魔法を学ぶ機会と引き換えに、グリードにもう一度魂を受け入れてもらいます。こうして2人の共同生活が始まり、第393〜396話でブラハムの魂と一体化したグリードは、第2職業として大魔術師の力を得ました。

ブラハムの歩み 永遠の命を失う、ファグマとの友情と裏切り、魂としての再登場、復活、神となるまでの流れ図
図2:ブラハムの歩み(英語版の試し読み、英語版ファンWikiの年表・人物ページ、ナムウィキから整理。話数は英語版の章番号の目安)

復活(第1134話)

グリードの中で魂を休ませていたブラハムが本当の意味で力を取り戻すのは、第1131〜1132話です。グリードが飲んだ竜丹の魔力は彼の体には多すぎ、あふれた魔力をブラハムの魂がすべて吸い込みました(英語版第1132話)。そして第1134話、剣の墓と氷河のダンジョンをつなぐ階段を、ずぶ濡れで上ってくる男の姿とともに、ワールドメッセージ「伝説の大魔術師ブラハムが復活しました!!」が流れます。本文は、その素顔を、オーバーギアードの面々の想像をはるかに超える美しさだったと描いています。

ナムウィキによれば、復活直後のブラハムはレベル400まで弱っていましたが、それでも装備なしでフィアロらと手合わせして勝ち、グリードの国で最強の座に就きます。その後の東大陸行きや、天界の神々との戦いでも、オーバーギアード側の切り札として戦い続けました。

直系の力を取り戻し、神へ

人魔大戦では、大悪魔ガミギン(ナムウィキによれば4位の大悪魔)と戦います(第1497〜1499話)。ファンWikiによれば、劣勢に追い込まれたところで、妹マリーローズが奪っていた直系の力を彼に返し、戦況が覆りました。英語版第1499話は、数百年ぶりに鼓動を取り戻した心臓が血と魔力を混ぜ合わせ、ブラハムがその感覚に恍惚とする姿を描いています。

そして天界アスガルドとの「地上の聖戦」で、彼は神になります。ナムウィキによれば、ブラハムが選んだ相手は、かつて天界の主神だったカドロウでした。英語版第1720話には、彼が自分の体を通してブラックホールを生み出すという無茶をやってのけた、とあります。ファンWikiが引くシステムメッセージは「彼は強大な魔法で神を翻弄し、高い知恵で神の権利を侵した」と告げ、新たな神の名を「魔法と知恵の神、ブラハム」と記しました。英語版第1722話によれば、この聖戦で神と戦った功績を個人としてたたえられ、その場で「神」になったのはブラハムだけでした。のちに英語版ファンWikiは、第1981話で彼が絶対者になったとしています(その直前の英語版第1980話は、なぜ彼がまだ絶対者になれないのかを周囲がいぶかる場面です)。

人間関係

ブラハムの人物相関図 グリード、ファグマ、ムムド、マリーローズ、ベリアチェ、ユーフェミア
図3:ブラハムの人物相関図(英語版の試し読み、英語版ファンWiki、ナムウィキから整理)

グリード:殺そうとした相手が、唯一の友に

ファンWikiによれば、ブラハムは当初、ファグマの後継者であるグリードを殺そうとさえしていました。それが共に過ごすうちに好意へと変わり、魂のままの第1028話では、グリードを自分の唯一の友と見るまでになります。復活後はグリードと「自分の家族」以外をすべて取るに足らないものと考えるほどだ、とファンWikiは書いています。

2人の関係を象徴するのが、第711話の別れと第938話の再会です。ファンWikiによれば、ブラハムは魔力が戻ったと言い張ってグリードの体を去りますが、実際には回復しきっていませんでした。ナムウィキによれば、ムムドとの戦いでこれ以上グリードを危険にさらしたくないと考えての決断で、去り際には「新たな伝説よ、お前に賛辞と畏敬、そして愛情を送る」という趣旨の言葉を残しています(ナムウィキの書き起こし)。数年後、剣の墓で再会したブラハムの魂は、今にも消えそうなほど弱っていました。グリードは泣き笑いの顔を崩し、「……なぜ私を置いていったんですか」「ずいぶんみすぼらしくなりましたね」と怒ります(英語版第938話の台詞の訳)。ナムウィキによれば、自分は弱くなった、お前の重荷であり毒だ、それでもいいのかと尋ねるブラハムに、グリードは「あなただから、いいんです」という趣旨の答えを返し、彼を再び迎え入れました。

ファグマ:許さないと言い続けた友

ブラハムにとってファグマは、かつて唯一の友であり、自分を殺した裏切り者でした。ファンWikiは、ブラハムがファグマを憎みながらも恋しく思っていると書いています。剣の墓で再会したあと、グリードはファグマの親友とされる第5代教皇フランツの魂が宿った聖剣に出会います(英語版第939話)。ナムウィキによれば、この聖剣はファグマの頼みでブラハムの遺体を守っており、ファグマが裏切りを悔いていたことをブラハムに伝えます。ブラハムはそれでも「ファグマを許すつもりはない。永遠に憎み続ける」という趣旨の言葉を口にし、グリードは「そうしてください」と答えながら、それこそファグマが望んだことかもしれない、という言葉をのみ込みます。

ファンWikiに載る隠しクエスト「ファグマの配慮」(第939話)の説明文によれば、ファグマが後継者のための本をこの世に遺したのは、古い友ブラハムのためでした。ブラハムがいずれ〈ファグマの末裔〉を探し出し、魂の器を作らせるだろうと見越していたのです。

ムムドとユーフェミア:奪った弟子と、その後継者

ブラハムがもうひとつ背負っている罪が、弟子ムムドへの仕打ちです。ファンWikiによれば、ムムドは師が嫉妬するほどの天才でしたが、生まれつき心臓が弱く、30歳を前に世を去ります。誰もが使える魔法体系を作り上げた彼の業績は師ブラハムに奪われ、死後はブラハムの手でリッチに変えられました。ナムウィキは、リッチにしたのはムムドの才能が病で消えるのを惜しんだからだが、ブラハムはその本心を伝えなかった、と説明しています。ファンWikiも、嫉妬して彼の人生を台無しにしたことをブラハムがすぐに悔いた、と書いています。

その後リッチのムムドは、バアルの契約者アグナスに奪われ、殺戮の道具にされます。アグナスの手を離れたムムドの魂は、最後にユーフェミアに知識を託して消えていきます(英語版第1334話)。その直前、ナムウィキ(ユーフェミアの項目)によればブラハムはムムドの魂を訪ねて謝罪し、ファンWikiによれば第1333話でムムドの魂に別れを告げています。英語版第1980話は、ブラハムの功績のひとつとして「ユーフェミアのような教え子を育てた」ことを挙げています。ファンWikiによれば、ムムドはのちに大天使としてアスガルド側に現れ、第1870話ではゼラトゥルを永遠の牢獄から解き放ちます。物語の最終盤、第2050話のアスラ(ファンWikiではバアルが生み出した邪神)との戦いでは、ブラハムとムムドが同じ戦場に立つ姿が描かれます(英語版第2050話の試し読み。2人の会話の中身は本記事では照合できていません)。

ベリアチェとマリーローズ:母と妹

ブラハムは、母ベリアチェを深く敬い、愛していました。英語版第1720話は、もっとも慕い愛した母に見捨てられ、すべてを失ったと彼の過去を振り返っています。マリーローズを産んで世を去ったはずの母は、のちに再び姿を現します(ファンWiki)。その母が、末の娘マリーローズの体を奪おうとしたとき(第1857〜1859話)、誰よりも先に母の行く手を阻んだのがブラハムでした。英語版第1859話は、母を敬い愛しながら、マリーローズを恨み憎みながら、母が誤った道にいることに最初に気づいて拒んだのは彼だった、と書いています。ファンWikiによれば、マリーローズはこのとき母の魂を取り込みます(第1857〜1859話)。のちの英語版第2026話では、ベリアチェがマリーローズを裏切ろうとして失敗し、命を落としたと振り返られています。

印象的なエピソード

300年後の世界へ(第114話)

迷宮で見つけた箱から煙とともに影が現れ、ジシュカがとっさに矢を放ちます。影は指一本でその矢を焼き尽くし、「300年後の世界で、私は歓迎されないのか? 悲しいことだ」(英語版第114話の台詞の訳)とつぶやきました。長い髪の美しい男は、ジシュカとベントナーを一瞥しただけで、興味がなさそうにグリードを見つめます。いきなり殺されかけたグリードは相手を怒鳴りつけますが、その体が透けて宙に浮いていることに気づき、震え上がります。のちに長く続く2人の関係の、少し間の抜けた始まりです。

マジックミサイル一発で(第307〜309話)

グリードの体を借りたブラハムは、装備を何ひとつ身につけていない状態で、ヤタン教の大物タロス(英語版 Tallos)を、初歩の魔法マジックミサイル一発で悲鳴を上げさせます(英語版第308話)。見ていたランカーや記者たちは、鍛冶師のはずのグリードがなぜ魔法を使えるのかと混乱しました。グリード本人は、バグを使ったと疑われるのではと冷や汗をかきます(第309話)。

火球が出ない(第396話)

ベヘン群島の第51島。白髪の姿になったグリード、いや、その体を動かすブラハムが「ファイアボール!」と叫びます。ところが返ってくるのは「知力が低すぎるため魔法が発動しません」というメッセージばかりでした。ブラハムは「どれだけ頭が悪ければ、ファイアボールの式すら間違えられるのだ」と受け入れられず、グリードは心の中で「頭は悪くない!」と言い返します(英語版第396話)。伝説の大魔術師と、知力の足りない鍛冶師。2人の噛み合わなさがよく出た場面です。

家ではなく、城を(第1132話)

竜丹の魔力を吸い込んで魂が完全に回復したブラハムに、グリードは「家なんて言わずに、城を建てましょう。世界でいちばん大きな城を」と語りかけます。ブラハムは「……楽しみにしている」と答え、「お前が私を信じるのと同じだけ、私もお前を信じている」と続けました(英語版第1132話の台詞の訳)。同じ場面に流れる叙事詩の文言は、信じた鍛冶師の短剣に心臓を貫かれ、運命にすり減らされた彼の魂が強くなった、と告げています。ファグマに裏切られた男が、ファグマの後継者を信じる。ブラハムの物語の核心にあたる場面です。

ヒュドラが死なない理由(第1174話)

神すら恐れる毒と再生力を持つ神話の怪物ヒュドラを前に、その場にいたゴールドヒットは引き返せと叫びます。ブラハムは「ヒュドラがなぜ死なないか知っているか?」と問い、「それは、私に出会っていなかったからだ」と言い放ちました(英語版第1174話の台詞の訳)。九つの首を同時に吹き飛ばせるのは自分とマドラだけだ、とも。傲慢さと実力が釣り合っている、ブラハムらしい一幕です。

人気・評価

英語圏の読者のあいだでも、ブラハムは人気の高い脇役です。Wuxiaworld上で2019年5月に公表された、第1000話記念の「好きな男性キャラクター」投票では、グリードが約35%で1位、フェイカーが約12%で続き、その次にフィアロ、ロード、ブラハムがほぼ同じくらいの票を集めたとされています。一方、2018年8月に公表された別の人気投票では、好きなキャラクターの上位5人(グリード、ロード、フィアロ、ラウエル、フェイカー)に彼の名前はありませんでした。いずれもWuxiaworld上で行われた読者投票です。

韓国のナムウィキの項目は、グリードへの献身ぶりから彼を冗談めかして「真のヒロイン」と呼び、第711話の別れの台詞を「読者を涙の海にした」と評し、剣の墓での再会の場面は「台詞だけ見ればロマンス小説のよう」と茶化しています。また、ナムウィキの編集者による整理では、グリードの神界(韓国語 템빨계)の顔ぶれを戦闘力で並べると、ブラハムはグリード、マリーローズ、ゼラトゥルに次ぐ4位、使徒の中では1位とされています。ナムウィキによれば、ブラハムのモデルは、クラウゼルと同じく、作者の以前の作品『9서클 마법사의 아들』に登場する人物だということです。

まとめ

  • どんな人物か:「知恵の公爵」と呼ばれた吸血鬼の始祖ベリアチェの子。永遠の命を失ったのちも魔法を極め、「魔法の父」とたたえられた伝説の大魔術師
  • 過去:友ファグマとパブラニウムを作りながら、そのファグマに心臓を貫かれ寿命を奪われる(第1028話の回想)。弟子ムムドの業績を奪った後ろめたさも抱えている
  • グリードとの関係:魂としてグリードの体に宿り(第307話〜)、第2職業の源になる。第711話で去り、第938話で再会。やがてグリードを唯一の友と見る
  • 到達点:第1134話で復活、人魔大戦で直系の力を取り戻し、第1720〜1722話で「魔法と知恵の神」に。第1981話で絶対者(ファンWiki)
  • 性格:天井知らずの傲慢さと、感情が理性を追い越す危うさ。それでいて好きになった相手にはめっぽう弱い
  • アニメ:アニメ公式サイトのキャラクター紹介・キャスト欄に掲載なし(2026年10月14日時点)