テムパル~アイテムの力~は、借金を抱えた青年グリードがVRゲーム〈SATISFY〉で成り上がっていく物語です。ほかのランカーから腕前を見下されていたグリードが、一国の王、さらには皇帝にまで上り詰める。その道筋を裏で描き続けたのが、米国のプレイヤー、ラウエルでした。国家対抗戦で敵として出会ったグリードに惚れ込み、自ら部下を名乗り出た彼は、ギルドの結成も王国の建国も自分の計画として動かし、ついには国の宰相になります。一方で、前世や運命を本気で語る「中二病」の持ち主でもあり、いつも寝不足で、宰相の激務からくる抜け毛にも悩む苦労人でもあります。本記事では、ラウエルのプロフィールと性格、立場の移り変わり、人間関係、原作小説での印象的な場面、読者の評価までを解説します。

ネタバレ警告:この記事は原作小説の結末までのネタバレを含みます。2026年10月14日時点でアニメ公式サイトのあらすじが紹介している範囲(第3話)より先の、ラウエルの初登場、オーバーギアード王国の建国、宰相としての働き、物語の最終盤での去就にも触れています。未読・未視聴の方はご注意ください。

この記事の基準:原作小説の話数は英語版(Wuxiaworld『Overgeared』)の章番号です。原作の描写は英語版の本文(公開されている試し読みの範囲)と英語版ファンWiki、韓国のナムウィキを2026年10月14日に照合しました。韓国の巻表記しか無い出来事は、ナムウィキに基づく記述として話数を付けずに書いています。本名・国籍などの現実世界の設定は韓国の原作のもので、日本語版での扱いは確認できていません。「ラウエル」は英語版表記のカナ書きで、日本語版の公式表記は確認できていません。アニメ公式サイトに無いほかの人名・スキル名・称号も、英語版表記のカナ書きか、英語版と韓国語表記からの訳です。ただし、クラウゼル・フィアロはピッコマ版とのコラボ告知(ネクソン、2024年)の表記です。

基本プロフィール

項目内容
名前ラウエル(韓国語 라우엘、英語版 Lauel)
声優アニメ公式サイトのキャスト欄に掲載なし(2026年10月14日時点)
本名・国籍(原作)レイル・スミス(英語版 Rail Smith、韓国語 레일 스미스)。米国人。ナムウィキは現実の居住国を「米国→韓国」と書き、ファンWikiは第1334話で韓国に移ったオーバーギアードのメンバーの1人だと確認できるとしている
年齢・外見第1回国家対抗戦の頃に20〜21歳(ファンWiki)。金髪に白い肌、10代後半に見える美形で、グリードは英国の青春映画の主人公を思い浮かべた(ファンWiki)
職業(ゲーム内)気功師 → 流れの主(ファンWikiの人物ページは第402話)→ 風水師(ファンWikiは第1635話、ナムウィキは77巻で明かされたとする)
立場第1世代の「10人のルーキー」の1人(ファンWiki)→ オーバーギアードの作戦参謀 → 伯爵(第205話)→ オーバーギアード王国の宰相(ファンWikiは公爵としても記載)
異名Demon Brain(悪魔の頭脳。英語版第882話)
初登場第1回国家対抗戦の米国代表の作戦担当として(ファンWikiは第174話。名前は第110話で先に言及)

英語版ファンWikiは、ラウエルを「悪魔の頭脳」と呼ばれる第1世代のルーキーで、オーバーギアード王国の宰相、そしてギルドの内外で知られた中二病として紹介しています。ナムウィキの説明はもっと率直で、「国家対抗戦でグリードの可能性を見て、グリードを王にすると言って部下に入った」人物であり、オーバーギアードギルドの創設もオーバーギアード王国の設立も「ラウエルの大きな絵」だった、と書いています。

ラウエルのふたつの顔 冷徹な参謀・宰相と中二病の苦労人の対比の図
図1:ラウエルのふたつの顔(英語版ファンWiki、ナムウィキ、英語版第507・991話から整理)

性格・特徴

国のためなら手段を選ばない策士

ナムウィキによれば、オーバーギアードの政治的な戦略のほとんどはラウエルの頭から出ており、彼はその知能でギルドの「黒幕」役を自ら引き受けています。英語版第991話の地の文は、彼の考え方をはっきり書いています。ラウエルのしたことはすべてオーバーギアード王国のためで、そのためなら他人の思いを踏みにじることもいとわない。ほかの人にとってラウエルは悪人に見えるかもしれない。何千万もの命を背負う彼にとって、良心という概念はぜいたくなものだった、と。

ナムウィキは、そうした行動がグリードの暗黙の許しのもとで、あるいは独断で行われることが多いため、作品の内外で彼への評価は好き嫌いがはっきり分かれると書いています(後述)。

中二病

もう一つの顔が中二病です。ナムウィキは、オーバーギアードは個性の強いメンバーばかりなのに、その中でも中二病の個性では右に出る者がいない、と書いています。グリードが重い中二病の魔族「魔眼族」を王国に連れてきたときには、彼らと「運命のデスティニー」を交わし合い、「やはり俺の前世は本物だった!」と喜んだとされます(ナムウィキ。項目冒頭には、自分の前世がすべて事実だったと悟る独白が30巻2話からの引用として載っています)。ナムウィキによれば、グリードを除くギルドの仲間で魔眼族の王との好感度を上げられたのはラウエルだけでした。

グリードがまとう派手な外見効果をうらやみ、のちに外見を変える職業のプレイヤーに頼んで、咳をすると口元から血が流れる、顔の半分を手で覆うと背中から黒い羽が舞う、といった演出を手に入れた話もナムウィキにあります。英語版ファンWikiは、ラウエルの台詞として「うらやましい……目が……僕も……」(英語版の台詞の訳)を引き、マレー王国の兵士や騎士、プレイヤーが歓声を上げるなか、彼だけが膝をつき、隅で子どものように泣いていた場面を紹介しています(ファンWikiは第909話とする)。グリードが着けていた「ファグマの目(バアルの契約者版)」のような外見効果のことです。

名前のセンスへの不満と、苦労人の素顔

グリードが新しいギルドを「オーバーギアード」と名付けたとき、ラウエルはしばらく衝撃から立ち直れませんでした(英語版第203話)。ファンWikiによれば、世間でも好評だったこの名前を嫌ったのはラウエルだけでした。ナムウィキは、ギルド、王国、騎士団と続くグリードの命名センスを一番嫌っているのが彼で、グリードの神としての名が決まったときには目まいを起こして倒れた、と書いています。英語版第332話でも、ロードの誕生を待つ城門で、彼は「本当に子どもの名前をグリーネ(Grene)にするつもりですか?考え直しては?」とグリードに迫っています。この場面の彼は「いつものように」寝不足でした。宰相になってからは激務のストレスで抜け毛にも悩んでいるとナムウィキは書いています。

得意と不得意

政治と戦略に強い一方、ナムウィキは軍事の才能には乏しいと指摘します。兵の育成はほぼ素人で、戦争の作戦はそれなりに組めても想定外の事態に弱く、現場で兵を率いる統率力やカリスマも足りない。本人もそれを認めて軍事の人材を探しますが、成果はありませんでした。建国後もさまざまな分野の人材を集めようと苦心しますが、結局はグリードが優れた人材を連れてきて人手不足を救うのがお決まりの流れでした。ナムウィキは彼を「リーダーを補佐する策士としては天性だが、1番手として人を率いるのには向かない人物」とまとめています。ファンWikiも、計画どおりに進まないと冷静さを失うことを本人が認めていると書いています(第717話)。

立場の変遷:米国代表の参謀から王国の宰相へ

米国代表の参謀(第174〜182話)

ラウエルが本格的に登場するのは第1回国家対抗戦です。ファンWikiによれば、彼は米国代表の作戦担当で、第1世代の「10人のルーキー」の1人、気功師ランキング1位のプレイヤーでした。チームのヒューレントに置き去りにされ、ほかの国の代表を1人で食い止める場面もあります(ファンWikiは第174話)。グリードを見下すほかのランカーたちと違い、彼はグリードを軽く見るべきではないと口にしていました(ファンWikiは第177話)。

英語版第182話の冒頭は、PvP大会でグリードがオーラマスターのヒューレントを5秒、ボンドレを4秒で倒し、世論が沸き立った、という場面から始まります。ナムウィキによれば、ヒューレントが5秒で倒されるのを見たラウエルは「ゲームの真理は装備(템빨)だ」と考え、グリードの配下に入りました。ファンWikiは、グリードの技量とアイテムに魅せられて部下になることを決めた、と整理しています(第180〜181話)。ナムウィキによれば、最初はグリードの作るアイテムが目当てでしたが、のちにグリードがクラウゼルに勝つのを見て、心から従うようになります。

ギルドの結成と最初の伯爵(第186〜208話)

部下になったラウエルは、さっそく先の絵を描き始めます。ファンWikiによれば、グリードに「いずれツェダカギルドを離れて新しいギルドを作るときは、ツェダカのメンバーを誘え」と勧め、フロイには複製術士ユーフェミアを城に連れてくるよう指示しました(第186〜187話)。ゴーレム軍の襲撃というクエストが発令されると、グリードに参加を勧め、グリードの騎士召喚で戦場に呼ばれて、敵の分析と仲間の支援を担います(第197〜208話)。

この戦いのあいだにツェダカのメンバーが合流し、新しいギルド「オーバーギアード」が誕生しました。ラウエルは戦功により称号〈最初の伯爵〉と〈王国の英雄〉を得ます(第205話、ファンWiki)。ただし、ファンWikiは〈最初の伯爵〉の持ち主として、フロイ、ユーフェミア、ルビーらも挙げており、ラウエルだけの称号ではありません。論功行賞の場で、グリードが忠誠を誓おうとしたとき、ラウエルは「王家ではなく、今の国王にだけ忠誠を誓え」と耳打ちしました(ナムウィキ。ファンWikiも第199〜208話の出来事として同じ趣旨を記載)。王家そのものに縛られないこの一言が、のちにグリードが自分の国を建てる大義名分になります。

レイダンの内政(第216〜222話)

グリードが公爵としてレイダンの領地を得ると、ラウエルは領主代理として街を立て直す政策を次々に打ち出します(ナムウィキ)。英語版第217話では、かつて王国第2の都市だったレイダンが巨大ワームの出現で寂れた経緯を、フェイカーが聞き込んだ情報をもとにグリードに説明しています。のちに、メロ商会出身のラビットの手腕に気づいて仕事の一部を任せました(ファンWiki)。ファンWikiは、ラビットを「ラウエルの仕事を手伝える唯一のNPC」としています。

ラウエルの歩み 米国代表の参謀から伯爵、稀代の悪人、宰相までの流れ図
図2:ラウエルの歩み(英語版ファンWikiの人物ページ・年表、ナムウィキ、英語版の各話から整理。話数は英語版の章番号)

パトリアン奪取と〈稀代の悪人〉(第500〜507話)

ラウエルの名を一気に知らしめたのが、エターナル王国を揺るがす戦いの始まりでした。ナムウィキによれば、彼はグリードの狩り配信でパトリアン周辺のプレイヤーがログアウトしている隙を突き、さらにガウス王国の要塞都市ボルネオを治めるバルティン侯爵を裏切る形で、あっという間にパトリアンを占領します。英語版第504話では、敵の騎士の剣が彼の首に迫り、レイダン軍の中から飛んできた小石がそれを止めて命拾いする場面もありました。

そして第507話、ラウエルはボルネオ軍の捕虜を全員処刑します。それを見ていたアシュルー伯爵は「強欲で愚かなグリードが地位を固められるのは、この人物のおかげだ」と口にします。地の文も、残酷な手段を選んでより良い結果を出す点をとりわけ優れているとし、伯爵はこの人物がいなければグリードは今の地位に来られなかったと確信します(英語版第507話の訳)。すかさず息子のブランドが「グリード公爵は無能ではありません」と反論しているのも、この場面の面白いところです。

この虐殺でラウエルが得たのが称号〈稀代の悪人〉(英語版 Wise Villain、韓国語 희대의 악인)です(称号の獲得はファンWikiでは第506話)。ファンWikiが載せる説明文は「戦争を口実に虐殺を引き起こした。あなたは不特定多数の憎悪の対象になった。一方で熱狂的な支持者も得るだろう」。効果は「政治力」の能力値の解放と500の上昇、攻撃力と魔力のわずかな上昇、そしてスキル〈狂気〉〈苛烈な徴税〉〈冷酷な指揮〉です。ナムウィキは処刑された捕虜を投降した3,000人としています。グリードの留守中の独断でしたが、ナムウィキによれば、この件でグリードがラウエルを問い詰めた描写はありません。

建国と宰相(第600話〜)

第600話で、オーバーギアード王国が誕生します。英語版第601話では、群衆の歓声が空に届くなか、エターナルの貴族たちがラインハルトに迫っているという噂を流して場面を盛り上げた張本人がラウエルだったと明かされ、それを見ていた人物が「ラウエル、お前は怪物だ」と震えます。建国式では功臣として〈ベリアルの籠手〉を授かり(ナムウィキ)、ファンWikiによれば、建国時の公爵位はステイム公爵、クリスとともにラウエルに与えられました。

王国の宰相となったラウエルは、内政のすべてを引き受けます。ナムウィキによれば、そのぶんレベル上げの時間がなくなり、ほかの功臣たちと違って戦闘員の役割から完全に降り、内政に専念するようになりました。ファンWikiによれば、ラウエル自身が名付けたのが、王国の建国に貢献したメンバーを指す「十人の功臣」です。英語版第882話では、10脚の椅子が並ぶ黒い円卓に「悪魔の頭脳ラウエル」がジシュカ、フォン、レガス、ベントナーらとともに座っています。ただし、のちに「ラウエルは宰相の仕事に専念するため十人の功臣から外れた」とする声も作中にあり、ファンWikiはこれを名前の出ないプレイヤーの発言として扱っています(第1245話)。

サハラン帝国との合併後は、帝国の宰相として内政を取り仕切ります。ナムウィキによれば、合併後はシステムも彼を宰相と認め、専用スキル〈大帝国宰相の洞察〉を与えました。対象のNPCのレベルや能力値、スキル、潜在力、性向、星座、運勢まで見抜くスキルです。英語版第1555話の合併の式典では、玉座に着いたグリードに、両手で大きな杯を恭しく差し出しています。

気功師から風水師へ

ゲーム内の職業は、気の力を扱う気功師です。ナムウィキによれば、直接の戦闘に特化した魔法使いと違い、敵の動きを封じたり地形や天候を変えたりする補助に長けた職業で、その3次職「流れの主」は、気功師の中でも戦闘力が最も低いとされます。スキルは、英語版ファンWikiの一覧では Dragon’s Scream(竜の悲鳴)、Dragon Claws(竜の爪)、Wind Dragon’s Wings(風竜の翼)、Sky Dragon’s Tears(天竜の涙)など、竜の名を冠したものが並びます(ナムウィキの韓国語表記は「地竜の悲鳴」「地竜の爪」など)。のちに戦場や都市の管理に役立つ風水師へと転職しました(ファンWikiは第1635話、ナムウィキは77巻で明かされたとする)。

人間関係

ラウエルの人物相関図 グリード、フロイ、ルビー、アシュルー伯爵、クラウゼル、ラビット、魔眼族、アグナス
図3:ラウエルの人物相関図(英語版ファンWiki、ナムウィキ、英語版第507・991話から整理)

グリード:自分が王にした主君

ラウエルにとってグリードは、自分の描いた絵を実現してくれる唯一の主君です。英語版第511話では、グリードがほとんど使っていない広い執務室を譲ろうとすると、ラウエルは「代理として多くの権限をいただいていますが、私はあなたではありません。あなたが座るべき場所に、いつまでも座るわけにはいきません」と断ります。グリードは、歴史ドラマに影響されて忠臣になりきっている彼に笑みを向けています。

英語版第581話では、王国の取り分をすべて独り占めしろと言われたと受け取ったグリードが「俺に独裁者になれと?」と顔をしかめます。ラウエルは笑って、独裁者になれと言っているのではなく、部下には相応の権限を与えるべきだが、グリードには揺るがない中心でいてほしい、という趣旨の言葉を返しています。ナムウィキは、グリードが最も信頼する人物の1人で、フロイとともにグリードの側近を自任する忠臣だと書いています。

フロイ:ギルド結成前からの仲間

弁士フロイとは、オーバーギアードが生まれる前から行動を共にしてきた仲です。ゴーレム軍との戦いで爆発に巻き込まれたグリードを見て、2人がひどく取り乱し、無事だと分かって胸をなで下ろす場面があります(英語版第200話)。ナムウィキによれば、ギルドの仲間の中でフロイと関係が悪くないのはラウエルくらいで、外交の人材が必要だと考えてグリードにフロイを外交官にするよう頼んだのもラウエルでした。

クラウゼル:取引の相手

第2回国家対抗戦で、ラウエルはのちに剣聖となるクラウゼルと取引をしています。ファンWikiによれば、国家対抗戦でクラウゼルを勝たせる代わりに、クラウゼルがオーバーギアードに加わるという内容です。ナムウィキはさらに踏み込み、クラウゼルを引き入れるためにグリードを負けさせる八百長まで計画した、と書いています。英語版第448話では、クラウゼルの側の地の文が「グリードは知らないが、すでにラウエルと不公正な取引をしていた」と書いており、資料ごとに同じ取引を別の側から書いている形です。大会後、ラウエルは仲間に「クラウゼルをオーバーギアードに引き入れた」と明かします(英語版第464話)が、ファンWikiによれば、グリードが無理強いを望まなかったため、このときの加入は実現しませんでした。

ルビー:報われない初恋

グリードの妹ルビーは、ラウエルの初恋の相手です。ファンWikiによれば、民をどれだけ働かせるべきかについて2人が話しているうちに、彼はルビーに恋をします(第592〜593話)。ちょうど戦争の傷跡から人々を立ち直らせる復興のさなかで、英語版第593話は、その立役者がジシュカやユラのようなランカーではなく、癒やしの力で人々を励ましたルビーだったと書いています。ナムウィキによれば、ラウエルが恋に落ちたのは、復興作業に励む人々を励ますルビーの姿でした。ところが、ナムウィキによれば、ルビーが抱いているラウエルの印象は「民をこき使う悪徳宰相で、言動が痛々しい人」という程度でした。ナムウィキは「いろいろと苦労の多い人物」とまとめています。

アグナス:利用した「災厄」

宿敵アグナスとの関係には、ラウエルの冷徹さがよく表れています。英語版第991話で、アグナスは理性を失って狂気に身を任せ、ユーフェミアらを攻撃してオーバーギアード王国との縁を自ら断ち切ります。混乱に紛れて広場に入り込み、それを見ていたラウエルは、むしろ喜んでいました。王国が差し伸べた救いの手を拒んだアグナスは、王国の潜在的な敵にとって最強の災厄に生まれ変わったからです。ラウエルはユーフェミアたちに撤退を指示し、アグナスを説得しようとする仲間の思いには気づかないふりをしました。物語の終盤には、アグナスが現実世界でゲームのスキルを使ったことを突き止めてグリードに知らせる役も担います(英語版第2004話)。

魔眼族とラビット

中二病の魔族である魔眼族とは不思議と気が合い、ナムウィキによれば、グリードを除くギルドの仲間で魔眼族の王との好感度を上げられたのはラウエルだけでした。一方、王国の財政を担う管理官ラビットは、ラウエルの仕事を実務で支える数少ない人物です。英語版第1230話では、グリードが王国の狂竜の鉄をすべて駄目にしたことに激怒したラビットがラウエルの執務室に乗り込み、「なぜ黙って見ていたのですか!」と声を荒らげています。

アニメでのラウエル

ラウエルを演じる声優は、アニメ公式サイトのキャスト欄に掲載なし(2026年10月14日時点)です。

印象的なエピソード

「王家ではなく国王に」(ゴーレム軍の襲撃のあと)

ゴーレム軍の襲撃を退けたあとの論功行賞で、グリードの耳元にささやいた「王家ではなく、今の国王にだけ忠誠を誓え」という一言(ナムウィキ)。その場ではただの言葉の選び方にすぎませんが、これがのちにエターナル王家を倒してオーバーギアード王国を建てる大義名分になります。国家対抗戦でグリードに出会ってから、彼がどこまで先を見ていたのかを示す場面です。

ボルネオの捕虜処刑(第507話)

パトリアンを手に入れるために手を組んだボルネオ軍を裏切り、捕虜を処刑する。ラウエルの「功罪」の両方がもっともはっきり出るのがこの場面です。王国の土台を作ったのは間違いなくこの冷徹さで、アシュルー伯爵も認めるほどでした。一方で、グリードが嫌うNPCの虐殺を独断で行ったことは、作品の内外で彼への評価を割る理由にもなっています(ナムウィキ)。

ゼラトゥルを「生かしておく」策(ナムウィキ)

グリードのもとに武神ゼラトゥルが現れ、「見物人が多いときに戦おう」と言って去ったとき、ラウエルはその性格を読み、「武神・蚩尤が本物だ」という事実を伏せておくよう助言しました。のちにゼラトゥルを退けて最大の成果を得るには、彼の「武神」としての価値を保っておく必要がある、という計算です。ところがナムウィキによれば、この策はのちに裏目に出ます。真相が明かされないまま、ゼラトゥルを退けたグリードが武神としてあがめられ始めると、蚩尤はグリードこそ自分を殺して武神の座を奪う者だと確信し、帝国の首都ラインハルトを単身で襲撃したのです。

米国が知ったラウエルの価値(第1213話)

のちの国家対抗戦で米国代表にラウエルの姿がなかったとき、米国の人々は、ラウエルという人物がどれほど米国を助けていたかを思い知ります。ラウエルがもし帰化でもしたら大問題だ、と言い出す者まで現れました(英語版第1213話)。第2回国家対抗戦では米国代表の一員として戦っていた彼ですが(第419話)、ナムウィキによれば、その大会ではグリードの成長のために祖国の代表チームまで利用しています。

ロードの治世とラウエル(第2056話)

物語の最終盤、蚩尤の死から1か月後、グリードは帝位を息子ロードに譲ります。新しい皇帝ロードは毎日帝国を巡り、人々の暮らしを見て必要な政策を打ち出していきました。英語版第2056話は、帝国の民の暮らしが日ごとに良くなり、ラウエルが宰相にとどまる理由を見いだせなくなるほどだった、と書いています。グリードを王にするために国を作ってきた参謀が、次の皇帝の治世で役目を終えつつあることをうかがわせる一文です。ただし、英語版の試し読みはこの直後で途切れるため、ラウエルが実際に宰相を退いたのか、その後どうしたのかは本記事では確認できていません。

人気・評価

英語圏の読者のあいだでは、ラウエルは人気の高い脇役です。Wuxiaworldが2018年8月に公表した人気投票の結果では、好きなキャラクターの上位5人として、グリード、ロード、フィアロ、ラウエル、フェイカーが挙げられています。主人公の息子ロードや、腹心の騎士フィアロと並んで名前が入っているのは、参謀として物語を動かす存在感の大きさの表れと言えます。

一方、ナムウィキは、彼への評価は作品の内外で好き嫌いがはっきり分かれると書いています。第2回国家対抗戦で祖国の代表チームを利用し、クラウゼルを引き入れるための八百長を計画し、グリードの留守中にNPCの虐殺を独断で行う。そうした「黒幕」ぶりが、頼もしさと危うさの両方として受け止められているのです。それでもナムウィキは、オーバーギアード王国が周囲から嫉妬されながらも憧れの的になれたのは、グリードの活躍だけでなく、問題を未然に防いだラウエルの見えない努力があったからだと評価しています。

まとめ

  • どんな人物か:米国のプレイヤーで、第1世代の「10人のルーキー」の1人。異名は「悪魔の頭脳」。オーバーギアードの参謀を経て王国・帝国の宰相になる
  • 性格:国のためなら手段を選ばない策士。一方で、前世や運命を語る中二病で、激務に追われる苦労人でもある
  • グリードとの関係:第1回国家対抗戦でグリードに惹かれて部下になり、ギルドの結成から建国まで、グリードを王にする道筋を描いた。グリードが最も信頼する側近の1人
  • 転機:第500〜507話でパトリアンを奪い、ボルネオ軍の捕虜を処刑して称号〈稀代の悪人〉を得る。第600話の建国後は宰相として内政に専念する
  • 人間関係:フロイとはギルド結成前からの仲間。クラウゼルとは第2回大会で取引し、ルビーには片思い。アグナスの暴走さえ王国のために利用した
  • 結末:第2056話、ロードの治世で民の暮らしが良くなり、宰相にとどまる理由を見いだせなくなるほどだったと書かれる(その後の去就は未確認)
  • アニメ:声優はアニメ公式サイトのキャスト欄に掲載なし(2026年10月14日時点)