猫と竜は、深い森の奥で魔法を操る猫たちと暮らす一匹の火吹き竜を描いた、宝島社刊の人気ファンタジーを原作とするTVアニメです。2026年7月4日よりTOKYO MXほかで放送が始まり、2026年8月27日現在も放送・配信が続いています。

公式サイトのイントロダクションは、たった一行から始まります。「深い深い、森の奥。」――そこで「一匹の火吹き竜が、魔法を操る猫たちと暮らしています」。空を飛び、火を噴く生き物を、森の猫たちは追い出しもせず、怖がりもせず、ただ「ちょっと変わった猫」として家族に迎え入れました。竜は猫として育ち、猫として生き、猫たちからは「羽のおじちゃん」と呼ばれる。けれど人間たちは、その強大さを畏れて彼を「猫竜」と呼ぶ。同じ一匹の存在が、見る者によってまったく違う名前で呼ばれている。この静かなねじれこそが、本作のすべての物語の出発点になっています。

猫と竜 作品概要

まずは2026年8月27日時点で公式に発表されている基本情報を整理します。総話数など一部の項目は本稿執筆時点で公式発表を確認できていないため、記載を控えています。

項目内容
作品名猫と竜(The Cat and the Dragon)
放送開始2026年7月4日(土)TOKYO MXほか
先行配信dアニメストア・ABEMA 毎週土曜21時30分(2026年6月27日開始・地上波1週間先行・最速配信)
原作アマラ(宝島社刊)
キャラクター原案大熊まい(宝島社刊)
漫画佐々木泉(宝島社刊)
アニメーション制作OLM
監督オ ジング
シリーズ構成広田光毅
キャラクターデザイン倉員千晶、西野理惠
音楽小畑貴裕
OPテーマ「猫日」suis from ヨルシカ
EDテーマ「ただいまの場所」shallm
形式オムニバス形式

総話数について、公式サイトでは2026年8月27日時点で明確な発表を確認できていません。エピソードの公開状況は、先行配信が第9話まで、地上波放送が第8話までとなっています。今後の公式発表を待ちたいところです。

世界観とあらすじ

本作の舞台は、人間の生活圏から離れた深い森です。そこに暮らす猫たちは、ただの動物ではありません。魔法を操り、自分たちの力で狩りをして生きています。人間の召喚魔法によって森から呼び出される猫もいて、森と人間の国は完全に切り離された世界ではなく、細い糸でつながっています。

物語の起点は、まったくの偶然です。原作短編「猫と竜」では、火吹き竜が産んだ卵は土をかぶせて隠されており、その親竜は戻ってこないまま、卵は温める親を失います。そこへ出産場所を探していた母猫がやって来る。母猫は卵が土の下にあることなど知らず、ただ暖かい場所だと思ってその上に寝床を作りました。結果として母猫の体温が卵を温め、竜の子は孵化します。公式サイトも「生まれる前に実親を失ったその竜は、偶然出会った一匹の母猫によって育てられました」と紹介しています。

母猫が竜の子を自分の家族として受け入れたのは、孵化した後のことです。巣の下から這い出してきた竜の子を前に、母猫は一度困ったように見据え、やがて舐めて抱き寄せる。こうして竜は、先に生まれていた子猫たちと一緒に育てられることになりました。空を飛び、火を噴く生き物であっても、森の猫たちは彼を排除せず、「ちょっと変わった猫」として受け入れたのです。

成長した竜は、育ててくれた母猫への恩返しのように、森の猫たちを見守る存在になっていきます。猫たちは彼を「羽のおじちゃん」と呼び、慕う。一方、人間たちはその力を畏れ、「猫竜」という名で呼ぶ。第1話のタイトルはそのまま「猫と竜」で、この猫竜の誕生と、家族の始まりが描かれます。

そして公式サイトはこう続けます。「好奇心旺盛な森の猫たちの生き方は十猫十色。」――ここが本作の構造を決定づけている一文です。物語は猫竜だけを追い続けるのではなく、縄張りを求めて旅立つ猫、城下町で暮らす猫、王家の少年と縁を結ぶ猫と、それぞれの生き方を順番に映していきます。

この世界のもうひとつの特徴は、猫と人間が地続きに置かれていることです。森の猫、猫竜、人間の王国、そして魔法を学ぶ場所が、同じ地平の上に並んでいます。人間の召喚魔法が森の猫を呼び出すことがある以上、両者は完全な別世界の住人ではありません。それでいて価値観は明確に違う。猫が大事にするのは縄張りであり、狩りであり、好奇心です。人間が重んじる身分や制度は、猫の生活のなかでは何の意味も持ちません。この価値観のずれを埋めようとせず、ずれたまま並べて見せるところに、本作の面白さがあります。

この先のキャラクター紹介では、第1話以降の展開に触れる部分があります。まっさらな状態で観たい方は、視聴後に読み進めることをおすすめします。

制作陣とキャスト

アニメーション制作を手がけるのはOLM。監督はオ ジング、シリーズ構成は広田光毅、キャラクターデザインは倉員千晶と西野理惠の連名、音楽は小畑貴裕が担当しています。原作は「猫と竜」「母猫と少女」といった短編の連なりで構成されており、シリーズ構成にはそれをアニメ1本ずつのエピソードへ組み替える設計が求められる作品です。

主題歌も作品の空気をよく表しています。OPテーマは「猫日」で、歌うのはsuis from ヨルシカ。EDテーマは「ただいまの場所」で、アーティストはshallm。「ただいま」という言葉が置かれているところに、本作が何を描こうとしているのかがはっきり表れています。

キャストは公式サイトのSTAFF&CAST欄で以下の通り発表されています。ベテランから若手まで幅広く並び、猫という一括りのなかで声質を描き分ける布陣になっています。

キャラクター担当声優
猫竜子安武人
ママにゃん井上喜久子
シロタエ和泉風花
クロバネ速水 奨
ハイブチ杉山紀彰
チークロ河瀬茉希
クロタマ徳留慎乃佑
ガリー種﨑敦美
アンネロッサ安済知佳
スタン榎木淳弥
葉猫芹澤 優
王子小市眞琴
国王一条和矢
グレーターデーモン田所陽向
四代目モシャモシャ上田燿司
ミケミケ白砂沙帆
モナルカ(黒)花江夏樹
ポムポラ麻生智久

キャスト表記は公式サイトのSTAFF&CAST欄に準拠しています。「速水 奨」「芹澤 優」は公式サイト上で姓名の間にスペースが入る表記、「種﨑敦美」「小市眞琴」「上田燿司」は常用漢字と字体が異なる表記です。検索や記事作成の際は注意してください。

主要キャラクター紹介

猫竜(CV:子安武人)

公式サイトの紹介文は「深い森の奥で暮らす、赤い羽を持つ火吹き竜。」から始まります。生まれる前に実親を失い、偶然その卵の上を寝床にした母猫の体温によって孵化し、そのまま母猫に育てられました。以来、自分を猫だと思って生きている竜です。森の猫たちからは「羽のおじちゃん」と慕われる一方、人間からは畏怖を込めて「猫竜」と呼ばれています。そして彼は、人間を強く嫌っています。この一点が、心温まる物語の裏側にある翳りとして、シリーズを通して効いてきます。子安武人が演じることで、飄々とした軽さと、底に沈んだ重さが同居する声になっています。

ママにゃん(CV:井上喜久子)

猫竜の育ての親。竜の卵があるとは知らないままその上を寝床とし、結果的に竜の子を孵化させ、孵ったその子を自分の子猫たちと一緒に育てることにした、肝の据わった母猫です。魔法にも長けており、物語が進むなかで少女アンネロッサの召喚魔法によって魔法学校へ呼び出され、彼女の親代わりとなって厳しい魔法の特訓を始めます。井上喜久子の柔らかな声が、家族の物語の芯を支えています。

シロタエ(CV:和泉風花)

自分だけの縄張りを持つことを夢見て、森を旅立つ白猫。狩りと魔法を得意としています。旅の途中で人間の少女ガリーと出会い、友達になっていきます。猫の側から人間社会へ踏み込んでいく視点を担うキャラクターです。

クロバネ(CV:速水 奨)

熊を倒せるほどの力を持つ黒猫で、森の猫たちにとっては英雄のような存在です。王国の王子スタン(CV:榎木淳弥)とは深い縁で結ばれており、公式の第4話「黒猫と王子」では、生まれたばかりのスタンをクロバネが尻尾であやし、すっかり気に入られる場面が描かれます。原作にも「黒猫と王子」「黒猫と駆け出し冒険者」といった短編があり、クロバネが人間側の物語と森の物語をつなぐ役割を担っていることがうかがえます。速水 奨の重心の低い声が、この猫の格を決定づけています。

ガリー(CV:種﨑敦美)

孤児院で育った少女。おてんばですが快活で面倒見がよく、孤児院の子どもたちから慕われています。シロタエと友達になる、人間側の主要人物のひとりです。

アンネロッサ(CV:安済知佳)

魔法学校に通う少女。内向的で、自分に自信を持てずにいます。自らの召喚魔法でママにゃんを魔法学校へ呼び出し、その親代わりの厳しい指導を受けるなかで、少しずつ変わっていきます。猫が人間を変えていく、という本作の関係の描き方がもっとも分かりやすく表れるキャラクターです。

クロバネと深い縁を持つ王子は、公式第4話のあらすじに明記されているとおりスタンです。榎木淳弥は公式コメントで、スタンについて「王国の王子なのですが、冒険者に憧れて迷うことなく冒険に出ようとする」キャラクターだと語っています。なお公式サイトのCAST欄には、「スタン 役 榎木淳弥」とは別に「王子 役 小市眞琴」という役名も掲載されています。小市眞琴は公式コメントで、王子について「心優しく聡明で、相手が猫でも竜でも人間でも先入観なく向き合える子です」と紹介しています。両者が同一の人物を指すのか別のキャラクターなのかは、公式サイトの表記からは判断できません。

作品のテーマ

本作を貫いているのは、血のつながりではないところに生まれる家族の形です。母猫は、偶然孵化させてしまった竜の子を、そのまま自分の子として育てると決めた。竜は自分を猫だと思って生きている。周りの猫たちも、彼が空を飛ぼうが火を噴こうが、「ちょっと変わった猫」として横に置いておく。この、種の違いを問題にしないおおらかさが、作品全体の温度を決めています。

もうひとつのテーマは、名前と呼び方です。同じ存在が、猫たちからは「羽のおじちゃん」、人間からは「猫竜」と呼ばれる。呼び方の違いは、そのまま距離と理解の違いです。猫竜が人間を嫌っているという設定も、この非対称を静かに突いてきます。相手をどう呼ぶかで、関係の質はまったく変わってしまう。ファンタジーの体裁を取りながら、本作が扱っているのはかなり普遍的な話です。

そして、公式サイトが本作を「心あたたかく、そしてちょっと切なくなる不思議な絆の物語」と表現している通り、癒やしだけでは終わりません。猫と人間では生きる時間の長さが違います。旅立つ猫がいれば、見送る猫もいる。そのほろ苦さを避けずに描くところに、この作品が大人の視聴者に刺さる理由があります。

加えて本作は、「受け入れる」という行為をきれいごとにしていません。母猫が竜の子を家族にしたのも、崇高な決断というより、巣から出てきたものをそのまま抱き寄せたという、猫らしい距離感の選択に見えます。森の猫たちが竜を追い出さなかったのも、共生の理念を掲げたからではなく、単にそこまで気にしなかったからでしょう。理屈ではなく気質として他者を受け入れてしまう。その軽さが、かえって強い説得力を持っています。

猫と竜の見どころ

第一の見どころは、やはり主人公の設定そのものです。強大な火吹き竜でありながら、価値観も家族意識も完全に猫。この落差が、笑いと温かさを同時に生み出しています。人間から見れば災厄になりかねない存在が、森ではただの親戚のおじさんのように扱われている。その視点の落差が、毎話じわじわ効いてきます。

第二に、猫の側から人間社会を見る構図です。猫たちは人間の身分制度にも常識にも縛られていません。相手が王子だろうが魔法使いだろうが、あくまで猫として接する。人間側のドラマが猫の目を通ることで、いつもより一段引いた、乾いた可笑しみが生まれます。

第三に、オムニバス形式であること。物語は猫竜を中心に固定されておらず、ある話では猫が、別の話では少女や王家の人物が主役になります。一話ごとに完結しながら、少しずつ世界の全体像が見えてくる構成です。放送が始まってから途中で観始めても入りやすいのは、この形式の大きな利点でしょう。

第四に、声と音楽の設計です。猫竜という、強大でありながらどこか気の抜けた存在を子安武人が担い、育ての親であるママにゃんに井上喜久子が置かれる。この二人の声の関係だけで、作品が家族の物語であることが伝わってきます。そこにsuis from ヨルシカによるOPテーマ「猫日」と、shallmによるEDテーマ「ただいまの場所」が重なる。毎話の終わりに「ただいま」という言葉へ帰っていく構成は、オムニバス形式の作品にとって理想的な締めくくり方です。

これから追いかける方は、まず第1話「猫と竜」を観てから、気になったサブタイトルの回に飛ぶという観方でも十分に楽しめます。ただし猫竜と母猫の関係だけは第1話が起点になるので、そこは押さえておきたいところです。

放送・配信情報

地上波・BS・CSの放送スケジュールは以下の通りです。TOKYO MXが最速の放送枠で、それ以外の局は数日遅れの編成になっています。

放送局放送日時
TOKYO MX毎週土曜 21時00分
BS日テレ毎週月曜 23時30分
読売テレビ毎週火曜 25時29分(水曜午前1時29分)※公式ON AIR欄の表記に準拠
AT-X毎週木曜 22時30分

このほか、長崎文化放送でも放送されています。上記の日時は公式サイトのON AIR欄の表記に準拠していますが、番組情報サイトによっては数分単位で異なる時刻が掲載されている場合があります。放送日時は編成の都合で変更されることもあるため、視聴前に各局の番組表を確認してください。

配信で最も早いのは、dアニメストアとABEMAです。両サービスでは2026年6月27日(土)21時30分の第1話配信を皮切りに、毎週土曜21時30分から地上波より1週間先行して最新話が配信されています。第1話の時点だけの措置ではなく、以降も継続する編成です。先行配信が第9話まで、地上波放送が第8話までという公開状況の差は、この1週間先行によるものです。ABEMAではこの最速配信が「ABEMAアニメチャンネル」で無料放送として行われており、放送後1週間は最新話の無料見逃し配信も案内されています。

配信サービス備考
ABEMA毎週土曜 21時30分(地上波1週間先行・最速配信)/無料放送・放送後1週間の無料見逃しあり
dアニメストア毎週土曜 21時30分(地上波1週間先行・最速配信)
U-NEXT配信あり
Prime Video配信あり
Hulu配信あり
DMM TV配信あり
Lemino配信あり
バンダイチャンネル配信あり
ニコニコ動画無料配信あり
アニメ放題配信あり
milplus配信あり

dアニメストア・ABEMA以外の各サービスは配信開始日時が個別に設定されているため、最新の配信スケジュールは各サービスの作品ページで確認するのが確実です。

原作情報

原作はアマラによる小説で、出発点は小説投稿サイト「小説家になろう」に発表された短編でした。公式サイトによれば、「小説家になろう」日間ランキングにて短編作品としては異例の1位を獲得した作品です。

「小説家になろう」のシリーズページでは、初期の短編として「猫と竜」(2013年9月6日掲載)、「母猫と少女」(同年9月25日掲載)、「子猫たちと羽のおじちゃん」(同年10月17日掲載)、「黒猫と王子」(2014年2月4日掲載)、「黒猫と駆け出し冒険者」(同年6月18日掲載)が確認できます。シリーズ紹介文は「森にすむ猫たちと竜の物語。あと、時々人間も?」という、実にそっけない一文です。アニメがオムニバス形式を採っているのは、この連作短編という原点をそのまま引き継いだ結果と言えます。

書籍版はイラスト・キャラクター原案を大熊まいが担当し、宝島社から刊行されています。単行本第1巻の発売は2016年4月22日。文庫版は宝島社文庫から刊行されています。コミカライズは佐々木泉の作画で2017年から展開され、「このマンガがすごい!WEB」で連載、単行本は「このマンガがすごい! comics」レーベルから刊行されています。

刊行状況は、宝島社の書籍情報によれば原作小説の単行本が第10巻(2026年8月26日刊行)、コミックスが第13巻(2026年7月24日刊行)まで進んでいるとされています。ただし版型ごとに巻数が異なるため、購入前には出版社の商品一覧で最新の刊行状況を確認してください。なお公式サイトでは、シリーズ累計140万部突破が発表されています。

まとめ

猫と竜は、派手な戦いや大きな運命に頼らず、種を越えた家族と、猫たちそれぞれの生き方を丁寧に積み重ねていく作品です。放送はまだ続いており、これから追いかけても十分に間に合います。

  • 作品: アマラによる「小説家になろう」発の人気ファンタジーが原作。宝島社から書籍・コミックスが刊行中
  • 放送: 2026年7月4日よりTOKYO MXほかで放送中。dアニメストアとABEMAでは毎週土曜21時30分から地上波1週間先行の最速配信(ABEMAは無料放送)
  • 制作: アニメーション制作はOLM、監督はオ ジング、シリーズ構成は広田光毅
  • 主演: 猫竜役に子安武人、ママにゃん役に井上喜久子。主題歌はsuis from ヨルシカ「猫日」とshallm「ただいまの場所」
  • 形式: オムニバス形式のため一話ごとに完結。途中から観ても入りやすい構成
  • 魅力: 「心あたたかく、そしてちょっと切なくなる不思議な絆の物語」という公式の言葉通り、温かさとほろ苦さが同居する

火を噴く竜を「ちょっと変わった猫」として受け入れてしまう森の、あのおおらかさ。それを一度でも味わってしまうと、猫竜が人間を嫌っているという事実の重さも、じわじわと分かってきます。深い森の奥で続いている物語を、ぜひ一話から追いかけてみてください。