KovaaK’sは、FPSの「狙って撃つ」動作だけを切り出して繰り返し練習するためのエイムトレーナーです。Steamストアの説明文に物語や世界観の記述はなく、画面に現れる標的を、自分のマウス感度と視野角のまま撃ち続けます。Steamストアの説明文では「200万人以上のゲーマーが利用した」とされ、ユーザーが作ったシナリオやプレイリストを選んで練習できます。

開発・販売はKovaaK Gamesで、Steamでの発売日は2018年4月3日です。Steamのユーザーレビューは42,339件で評価は「非常に好評」(2026年10月21日時点)。発売から8年以上たった現在もアップデートが続き、2026年9月にはWeb上で成績を追える機能が加わりました。

KovaaK’sの基本情報

項目内容
タイトルKovaaK’s
開発・販売KovaaK Games
Steam発売日2018年4月3日
価格1,350円(Steam)
ジャンル(Steam表記)アクション、インディー、シミュレーション(エイム練習ソフト)
視点一人称(Steamのタグに「ファーストパーソン」「FPS」)
日本語対応あり(インターフェイスのみ。音声・字幕の対応表示はなし)。対応言語は全19言語
プラットフォームWindows(Steam)。Steam Deckの互換性評価は「プレイ可能」
主な機能Steamワークショップ、Steamランキング、レベル編集、Steam実績、ファミリーシェアリング
公式サイトkovaaks.com

価格は2026年10月21日取得のSteamストア情報によるもので、セールで変わることがあります。購入はSteamストアページからです。

開発の経緯と作者KovaaK

作者のKovaaKは、自身のサイトのプロフィールで、1996年に『Quake』を始め、QuakeCで友人向けの小さなMODを作っていたと書いています。2003〜2008年はQuake、2015〜2016年はReflex Arenaの大会に出場し、原子力発電所のシステムエンジニアとして約9年半働いた経歴も記しています。同じサイトの紹介ページでは、本作は「機械的なエイム技能を鍛える道具に何が必要か」という問いから始まり、標的の動きを決めるプロファイルや、ほかのゲームの銃を再現する武器プロファイルを作るうちに、Steamで販売するゲームへ発展したと説明されています。旧称は「KovaaK’s FPS Aim Trainer」です。

Steamの公式告知によると、2019年12月に「KovaaK 2.0 – The Meta」としてガイド付きのトレーナーを加え、従来のサンドボックス機能を統合する大型更新が行われました。2021年12月の2.7.0の告知には「SAME GAME, NEW NAME!」とあります。2024年2月には「KovaaK’s Aim Trainerの所有権が作者KovaaK本人に戻った」と発表され、同じ告知で、2016年の最初のアルファ版から8年がたったこと、KovaaK Gamesはインディーチームとして、KovaaKがDrUninstallと少数の開発者とともに率いることが説明されました。

KovaaK'sの2016年から2026年までの主な出来事を並べた年表の図
図1:KovaaK’sの歩み(Steamの公式アップデート告知・ストア情報をもとに作成)

主な出来事を年表にしたのが図1です。2023年8月の3.2.7ではLinuxとSteam Deckでの動作が改善され、2024年9月の3.6.0で後述のAdaptive Trainingが入りました。執筆時点で最新の告知は2026年10月28日の3.9.12です。

ゲームシステム・遊び方

Steamストアの説明文にストーリーや世界観の記述はありません。練習の単位は「シナリオ」で、標的の動きや武器、マップなどを設定した1本の練習課題です。シナリオを集めたものが「プレイリスト」です。Steamストアの説明に並ぶモードのうち、主な遊び方はSandbox、Benchmarks、Workoutsの3つで、これにエディタと公式サイトが加わります(図2を参照)。

KovaaK'sのSandbox・Benchmarks・Workoutsとエディタ・公式サイトの関係を示した図
図2:KovaaK’sの主なモードと機能(Steamストアの説明文と公式アップデート告知をもとに作成)

最初に合わせる感度と視野角

練習の効果を実際のゲームに持ち込むため、設定画面ではゲームごとの感度スケールを選べます。公式Wikiは、ゲームを一覧から選ぶ方法のほか、マウスを360度振り向かせるのに必要な距離「cm/360」を選んで入力する方法を案内しています。視野角(FOV)も同じようにゲームを選んで合わせます。公式サイトには、VALORANTやCounter-Strike 2など複数のゲーム間で感度を変換する無料のコンバーターもあります。

プレイヤー報告(YouTube):KovaaK’sを1,700時間遊んだというsaltya33の解説動画では、FOVはオーバーウォッチの103に合わせるのが主流だと紹介しています。理由は、シナリオによっては小さな標的が出るため、視野角を広げると的がさらに小さく見えるからだとしています。あわせて、途中からやり直す「リセットセッション」キーを押しやすいキーに割り当てることも勧めています。いずれも投稿者の推奨で、公式の推奨値ではありません。

Sandbox:シナリオを選んで撃つ基本の遊び方

Sandboxは、コミュニティが作ったシナリオとプレイリストを選んで遊ぶモードです。Steamストアの説明文は、Sandboxの項で「31,000以上のシナリオと150,000のプレイリスト」と書いています。説明文の冒頭には「20万以上のシナリオ、プレイリストなど」という表現もあり、数え方が項目によって異なります。遊び方はChallenge、Playlist、Freeplayの3つです。2021年の2.7.0では、手元に保存したシナリオだけでプレイリストを作れるようになりました。

前述のsaltya33の動画では、Challengeは制限時間内にスコアを競い、ランキングが付く遊び方、Freeplay(フリーモード)は制限時間もスコアも無く続けられる遊び方と説明しています。同じ動画では、シナリオをダウンロードしてオフラインに置くと読み込み時間が短くなること、プレイリストは「シェアコード」で共有できることも紹介されています。同じ動画は、オンラインプレイリストにはエイム練習のコミュニティや有名選手が作ったものもあると紹介しており、Syaoh / しゃおの解説動画の概要欄にもプレイリストコードが載っています。

Benchmarks:腕前を測ってランキングで比べる

Benchmarksは、VALORANT、Apex Legends、Fortnite、Overwatchなどのゲームに合わせたシナリオ群で、エイムの各要素を測定し、リーダーボードで他のプレイヤーと比べるモードです。2025年8月の3.7.10ではベンチマーク選択画面に検索欄が付き、お気に入りが注目(featured)項目の直後に表示されるようになりました。2026年9月の3.9.9では、ベンチマークの進み具合、スコア、順位を公式サイト上で確認できる「Benchmark Tracker」が公開されています(告知ではゲーム内への追加も作業中としています)。

Workouts:星を集めて段階的に進める

Workoutsは、星を獲得し、新しいシナリオを解放しながら、少しずつ難しくなるステージを進める進行型のモードです。Steamストアは「構造化された練習と、毎回の柔軟さのバランスをとったモード」と説明しています。星の採点条件など細かな仕様はストアには書かれていません。

Adaptive Training:成績に合わせて難しさが変わる

2024年9月の3.6.0で入ったAdaptive Trainingは、プレイヤーの成績に応じて標的の速度やサイズをリアルタイムで変える機能です。公式告知によれば、Freeplayでは標的の速度・サイズの固定値や最小・最大サイズを調整でき、目標の指標を命中率、ダメージ効率、秒間キル数から選べます。Challengeでも成績に応じて調整され、シナリオエディタで自作シナリオに組み込むこともできます。画面には成績を示すAdaptive Stats HUDが表示されます。2025年8月の3.7.10では、メインのエイムベンチマークにも適応型のバージョンが加わりました。

エディタと公式サイト

シナリオエディタとマップエディタでは、武器からマップまでを作り込み、移動を記録して再生することもできます。作ったものはコミュニティで共有できます。Steamストアは「ゲーム物理のエミュレーション」もカスタマイズ要素に挙げており、公式Wikiの「Movement Emulation」のページでは、ゲームごとにマップの作り・スケール・物理が異なることを前提に、シナリオ制作者向けにプレイヤーの移動を調整する方法を説明しています。2026年9月の3.9.8ではマップエディタにテキストオブジェクトと、シナリオのサムネイルを撮る機能が加わりました。公式サイトkovaaks.comには、シナリオの一覧ページ、感度コンバーター、前述のBenchmark Trackerがあります。

DLC

DLC名価格発売日内容(Steamストアの説明)
KovaaK’s Tracking Trainer655円2020年12月7日KovaaK本人が設計した、標的を追い続ける「トラッキング」のガイド付きトレーナー。11の基礎スキル×5段階の難易度、ランク制度、弱点を見つけるためのチャート
KovaaK’s Anime Pack530円2024年2月26日本作初の見た目変更DLC。アニメ調のキャラクタースキン、空、プロップなど

価格は2026年11月4日にSteamストアで確認したものです。本編だけでSandbox・Benchmarks・Workoutsは遊べます。

Steamでの評価

Steamレビューでは、総数42,339件のうち好評が39,367件、不評が2,972件で、評価ラベルは「非常に好評」です(2026年10月21日取得。好評の割合は約93%)。同じ時点のSteam売上ランキング(トップセラー)では49位でした。

Steamレビューの本文(ユーザー投稿)のうち不評のレビューでは、2019年12月の「KovaaK 2.0」更新に対する当時の反発(ログインの必須化やオフラインで遊べなくなったこと、UIの変更など)、2022年の投稿に見られる「有料のエイムトレーナーの中にプレミアムプランがある」ことへの不満、起動しない・すぐ落ちる・設定が消えるといった不具合の報告があります。なお、2024年4月の3.5.0では「KovaaK’s Supporter」の導入とあわせて、Benchmarks・Workouts・大会(Competitions)を全プレイヤー無料にしたと告知されています。Supporterの具体的な内容と価格は、本記事では確認できていません。

メディアの比較評価:eスポーツメディアのONE Esports(2024年12月)は、Aim Labとの比較で、プレイヤー作成シナリオの多さ(記事時点で「15,500以上」)ではKovaaK’sが上、使いやすさと直感的な操作ではAim Labがやや上とし、KovaaK’sはシナリオ名の分かりにくいものが多いと指摘しています。結論では、主に遊ぶゲームがVALORANTやレインボーシックス シージなら公式の連携があるAim Lab、操作が簡単で無料なのでエイムトレーナーが初めての人にもAim Labを勧め、ニッチなシナリオや厳しい練習を求める経験者にはKovaaK’sを勧めています。

こんな人におすすめ

向いている人:VALORANT、Apex Legends、Fortnite、Overwatchなどを遊んでいて、マウスでの狙いを試合の外で練習したい人。ベンチマークで自分の弱点と伸びを数字で確かめたい人。シナリオやマップを自分で作り、公開したい人。

購入前の注意点

注意:日本語の対応はインターフェイスのみで、音声・字幕の対応表示はありません。2024年4月の3.5.0の告知では、翻訳管理サービスCrowdinの翻訳ファイルを取り込み、日本語を含む言語への対応を広げたと説明されています(開発元は翻訳の修正提案をCrowdinの翻訳プロジェクトで受け付けています)。シナリオはユーザーが名前を付けて公開するもので、前述の解説動画でもシナリオ名を検索欄に入力して探す手順が紹介されています。Steam Deckは「プレイ可能」評価ですが、Steamの互換性情報では「既定のコントローラー設定が完全には機能しない」「インターフェイスの文字が読みにくい」などの注記があり、マウス操作が前提の練習ソフトです。動作環境はWindows 10(64bit)、推奨メモリは16GBです。

類似作品

作品開発価格形態Steamでの正式リリース
Aimlabs(メディアでは「Aim Lab」表記も)Statespace基本無料2023年6月16日
AimbeastFocusd IO有料(通常920円)2020年5月13日

どちらもSteamで配信されているFPS向けのエイムトレーナーです(価格・日付はSteamストアで2026年11月4日に確認。Aimbeastは確認時にセール中で644円)。Aimlabsは基本無料で始められ、AimbeastはKovaaK’sと同じく有料です。KovaaK’sとAim Labの違いは、前述のONE Esportsの比較を参照してください。

まとめ

  • どんなソフトか: FPSのエイムだけを練習するWindows向けソフト。価格は1,350円で、日本語はインターフェイスに対応
  • 遊び方: シナリオを選ぶSandbox、腕前を測るBenchmarks、星を集めて進むWorkoutsの3本柱。成績で難しさが変わるAdaptive Trainingもある
  • コミュニティ: ストアの説明ではシナリオ31,000以上、プレイリスト150,000。エディタで自作でき、プレイリストはシェアコードで共有できる(プレイヤー報告)
  • 評価: Steamレビュー42,339件で「非常に好評」(2026年10月21日時点)
  • 開発: 2024年2月に所有権が作者KovaaK本人に戻り、2026年10月28日の3.9.12まで更新が続いている