リ・ストーリー: 思い出修理屋は、2026年8月6日にSteamで配信が始まった、電子機器修理店の経営シミュレーションゲームです。開発は『I Am Future』『SKYHILL』で知られるMandragora、販売はtinyBuild。発売から3週間足らずでレビュー8,000件超・「圧倒的に好評」を獲得し、Steamのトップセラー上位に食い込む注目作となっています。

舞台は2000年代半ばの東京。雑居ビルの一階、狭い作業台とはんだごての匂いが染みついた小さな修理店が、あなたの職場です。カウンターの向こうから差し出されるのは、電源の入らない携帯ゲーム機、画面が割れた折りたたみ携帯、動かなくなった音楽プレーヤー。どれも中古市場で買い直せば済む程度の代物ですが、持ち主にとってはそうではありません。ネジを一本ずつ外し、埃を払い、壊れた部品を差し替えて、もう一度電源が入った瞬間――直っているのは機械だけではない、というのが本作のテーマです。

一言で言うと:Y2K時代の懐かしいガジェットを分解・清掃・修理しながら小さな店を切り盛りする、物語主導のスローライフ経営シム。客との会話の選択が彼らの人生と店の行く末に影響し、物語が分岐して複数のエンディングに至ります。修理の手触りと2000年代の電気街の空気を、じっくり味わう一本です。

作品概要|基本情報

まずはSteamストアで公開されている基本データを整理します。以下の数値は2026年8月24日時点のものです。

項目内容
タイトルリ・ストーリー: 思い出修理屋(英題:ReStory: Chill Electronics Repairs)
開発Mandragora
販売tinyBuild
発売日2026年8月6日(早期アクセスではなく製品版として発売)
価格1,999円(記事執筆時点で割引なし)
ジャンルインディー/シミュレーション
プレイ人数シングルプレイヤー
対応プラットフォームWindows/macOS(Linux非対応。コンソール版は未発表)
対応言語日本語対応(インターフェース・字幕)。ほかに英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、韓国語、ポルトガル語(ブラジル)、ロシア語、中国語(簡体字)の計9言語
主な対応機能Steam実績、Steamトレーディングカード、Steamクラウド、ファミリーシェアリング、DualSense/DUALSHOCKコントローラーサポート(部分的コントローラーサポート)
ストアページSteamストアページ

開発元のMandragoraは、公式サイトで「アララト山の近くを拠点とし、中央オフィスを持たず世界各地から働いている」と自らを説明する小規模スタジオです。屋上で拠点を作る終末サバイバル『I Am Future: Cozy Apocalypse Survival』、ローグライトRPG『SKYHILL』などを手がけてきました。『I Am Future』にあった「家電を手作業で分解して素材にする」感触を、そのまま一本のゲームに育て直したのが本作だと考えると分かりやすいでしょう。

世界観・ストーリー|2000年代半ばの東京・電気街

ゲームの舞台は、2000年代半ばの東京にある「アキバ」と呼ばれる電気街の一角です。ブラウン管、ネオン看板、店先に積み上げられたジャンク箱、路地から漏れるlo-fiな音楽――公式ストアページも「2000年代半ばの日本の都会ならではの雰囲気を生み出すため、愛情と敬意を込めて作られています」と説明しており、時代の空気の再現に相当な力が注がれています。

プレイヤーは、この街で電子機器修理店を営む店主です。ただし店は最初から順風満帆ではありません。家賃を取り立てにくる家主、顔を見せない上階の住人、修理品の中から出てきた不穏なデータ。公式ストアページが説明しているのは、客ひとりひとりへの対応がその人の人生と店に影響し、物語が分岐して複数のエンディングに至る、という点です。日々の修理をこなすうちに、預かった機器の向こう側にある持ち主の事情が、少しずつ輪郭を現していきます。

ストーリーの範囲について:海外の第三者攻略情報では、商店街に迫る大型ショッピングモールの再開発計画や前の店主の失踪といった、より大きな筋書きがあるとされています。ただしこれらは公式ストアページや公式Devlogでは確認できない未確認情報です。

世界観のポイント:本作の東京は、写実的な2005年前後の再現というより、海外の開発チームが抱くY2K期の秋葉原像を凝縮したスタイライズ表現です。ヤクザ、警官、家主、商店街といったモチーフの並べ方には海外作品らしい類型性もあります。歴史考証としてではなく、「海外から日本の電気街文化へ宛てたラブレター」として受け取るのが、いちばん気持ちよく遊べる姿勢でしょう。

店を訪れる人々

公式のSteam開発日誌(Devlog)では、物語の中心となる人物が紹介されています。以下は公式Devlog掲載の表記に基づくものです。

  • 橋本 源蔵:店の家主にして最初の客。携帯電話の修理を持ち込みつつ、家賃を催促してくる強面の人物
  • バケツ:店の上階に住む正体不明の隣人。顔を見せず、笑顔マークを貼ったバケツをロープで下ろして修理品を渡してくる
  • 大和 武:オンライン注文の品を届ける配達員。単なる配送役にとどまらず、住民同士の関係にも関わってくる
  • 坂本 健二:警部。修理品の中から見つかった情報をどう扱うかという問題に、法の側から関わってくる立場
  • 涼美 春日:ホステス。自分ひとりの力で生きていけると証明するために働いており、明るく賑やかな振る舞いの裏に計算高さがあると紹介されている
  • 星野 結衣:育成玩具「Eggotchi」を自分の一部のように大切にしている少女。温め、おにぎりを与えて世話をしていたその玩具が壊れ、修理店に持ち込まれる
  • 青山 匠:主人公と腕を競うライバル修理技師。街の修理大会にも関わってくる

このほかにも、好きな相手の携帯電話を直して告白を後押ししてほしいと頼む学生、携帯電話の中から犯罪の証拠が出てきてしまう元ギャングなど、機器の中身と持ち主の人生が直結する依頼が次々と舞い込みます。

ゲームシステム|分解・清掃・交換・再組立てのコアループ

本作の中心は、机の上で完結する丁寧な修理作業です。基本の流れは次のとおりです。

  • 受注:来店客、または店内のパソコンに届くオンライン注文から修理品を預かる
  • 分解:ネジを外して外装を開き、パネルや内部パーツを順に取り外していく
  • 診断:最初から故障箇所の一覧が示されるわけではなく、分解しながら汚れ・破損・劣化した部品を自分で見つける
  • 清掃・交換:ブラシや圧縮空気で埃を落とし、故障部品を新品・中古品、あるいは他のジャンク機から回収した正常部品と入れ替える
  • 再組立て・納品:分解と逆の手順で組み直し、依頼主へ引き渡して報酬と評価を得る

扱う機器は、据置ゲーム機、携帯ゲーム機、折りたたみ携帯、カメラ、音楽プレーヤー、家電製品など多岐にわたります。内部構造は機種ごとに異なり、実在の名機を思わせる部品配置が随所に仕込まれているのも見どころです。なかでもAtariのゲーム機は公式ライセンスを受けて登場しており、これは公式ストアページにも明記されています。

Y2K時代のウェブブラウザで部品を探す

手持ちの部品が足りないときは、店の旧型パソコンを立ち上げます。Windows 95から初期XP期を思わせる野暮ったいUIと、太いボタン、素朴な通販ページ。この「Y2K時代のウェブブラウザ」で交換部品を検索して購入し、中古・故障品のマーケットを覗き、オンライン修理依頼のメールを確認します。部品を単品で買うか、ジャンク機を安く仕入れて部品取りするか――この小さな判断が、そのまま店の利益率に跳ね返ってきます。

店の成長と経営要素

収益が上がれば、店そのものを育てられます。修理できる機器のカテゴリーを増やすライセンス購入、電動ドライバーやはんだごてといった工具のアップグレード、作業台や収納の増設、店内の内装カスタマイズ。塗装・エアブラシで機器の外観を仕上げる要素もあり、単なる修理ミニゲームの反復では終わらない広がりがあります。

遊びの設計:成長要素が抽象的なスキルポイントではなく、「新しいライセンスを買ったから、この機種も直せるようになった」「電動ドライバーを買ったから作業が速くなった」という具体的な形で提示されるのが本作の巧みなところです。抽象的な数値の上昇ではなく、店の設備が実際に増えていく手応えが、次の一件を受ける動機になります。

選択が人生を変える|マルチエンディング

会話には選択肢があり、その積み重ねが物語を分岐させます。公式ストアページが具体例として挙げているのは、元ギャングの携帯電話の中から見つかった不穏な情報を届け出るかどうか、そして恋に落ちた学生が想い人へ告白するのを後押しするかどうか、という二つの判断です。機器の中身と持ち主の人生が地続きになっているため、修理業者としての小さな決断が、そのまま客のその後を左右していきます。

公式ストアページが明言しているのは、プレイヤーの選択によって物語が分岐し、複数のエンディングが用意されているという点までです。エンディングが正確に何種類あるのか、それぞれの結末がどういう内容なのか、クリア後にどのような遊び方が残るのかについては、公式からの詳しい説明はありません。

一方、海外の第三者攻略記事では、物語全体の最終的な結末は大きく2種類に整理されています。店を手放してその資金を中止されたコンサートに充てるルートと、店を売らずに大型モールの建設を受け入れるルートで、前者は商店街と街の空気が守られる方向、後者は店がモール内のテナントとして生き残る方向とされています。同じ攻略記事では、これとは別に顧客ごとの個別ルートと後日談が複数用意されており、達成状況によってエピローグの厚みが変わるとも説明されています。いずれも公式に裏づけの取れていない未確認情報のため、参考程度に留めるのが安全です。

出典の区別:選択肢が分岐に影響することと、マルチエンディングの存在は公式ストアページで明言されています。一方、エンディングが具体的に何種類あるか、個別ルートや後日談の内訳がどうなっているかは、海外の攻略サイトやレビュー媒体の集計に基づく未確認情報です。

見どころ・魅力

海外レビューとユーザー評価の双方で、本作の強みとして繰り返し挙げられているのは次の3点です。

ひとつめは修理作業そのものの気持ちよさ。ネジを外す音、ブラシで埃を払う音、ヒンジを開く音、圧縮空気の噴射音。作業音の作り込みがASMR的だと評されており、電源が戻った瞬間の達成感は、数値の上昇では代えがたいものがあります。

ふたつめは2000年代ガジェットへの郷愁。実在機を思わせる携帯ゲーム機、折りたたみ携帯、ポータブル音楽プレーヤー、育成玩具などが次々と作業台に載り、当時それらを実際に手にしていた世代ほど、内部を開ける行為そのものが体験として刺さります。公式ライセンスのAtari機が並ぶのも、この方向性を裏づけています。

みっつめは物語と人物の厚み。この手の作業シミュレーターは物語が薄くなりがちですが、本作では客の依頼が単なるチュートリアルで終わらず、依頼主の暮らしや事情へと踏み込んでいきます。「物を直すことは、その持ち主の思い出を直すことでもある」というテーマが、修理というゲームメカニクスと素直に噛み合っている点が高く評価されています。

Steamでの評価|レビュー8,327件で「圧倒的に好評」

Steamレビューでは、2026年8月24日時点で総レビュー数8,327件、うち好評7,961件・不評366件で、評価ラベルは「圧倒的に好評」となっています。好評率にすると約95.6パーセントで、インディー作品としては極めて高い水準です。同時点でSteamのトップセラーランキング30位に位置しており、発売から3週間近く経ってなお売れ続けていることが分かります。

公式のSteamニュースでは、発売から約1週間後の2026年8月13日に販売30万本突破が発表されました。批評面でも、レビュー集計サイトOpenCriticで上位層に入る評点を得ています。

一方、Steamレビューやレビュー媒体で挙がる不満点も明確です。もっとも多いのは作業の反復感で、機器の種類は豊富でも「分解して、磨いて、部品を替えて、組み直す」という基本動作は共通しているため、中盤以降は見た目が違っても同じ仕事に感じられるという指摘があります。また、収益効率のよい数機種を回すのが有利になりがちで、安価な旧機種やオンライン依頼を受ける動機が薄いという声も見られます。UI面では、作業台と部品マーケットの行き来が煩雑、機器を回転させる操作が思った角度で止まりにくい、コントローラー操作ではカーソルが遅い、といった具体的な指摘が挙がっています。

こんな人におすすめ

向いている人:
・2000年代の携帯ゲーム機や折りたたみ携帯を実際に使っていた、30代から50代のガジェット好き
・分解と組み立てそのものが好きで、手順を追う作業に没入できる方
・作業シミュレーターに、きちんとした物語と人間ドラマも求める方
・当時の秋葉原・電気街の空気感が好きな方
・対人戦や戦闘がなく、通常の店の運営を低ストレスに進められる癒し系ゲームを探している方(物語の途中には修理の腕を競う大会もあります)
・選択によって登場人物の結末が変わるアドベンチャー要素を楽しみたい方

逆に、電気的な理論に基づく本格的な故障診断を期待すると、本作は「目視で壊れた部品を見つけるパズル」に近いため物足りなく感じられる可能性があります。また、長時間の連続プレイでは作業に反復感を覚えた、単調に感じられ得るとするレビューもあります。

購入前の注意点

購入前に確認したい点:発売直後には、セーブ処理の遅延やセーブ時のクラッシュ、機器のネジが消失して修理・ストーリーが進まなくなる不具合、一部機器のファームウェア更新が完了しない問題などが報告されていました。これらは2026年8月中に配信された複数のパッチで修正が進んでおり、8月下旬の更新ではセーブ枠の追加や、作業中のガジェットの部品をまとめてインベントリへ移すボタンといった利便性の改善も入っています。Steamレビューに残る否定的な報告には旧バージョン時点のものが混じっているため、現行版の状態とは分けて読む必要があります。

日本語対応については、Steamストアページの記載上、インターフェースと字幕(会話テキスト)が日本語に対応しています。ただし音声は日本語に対応しておらず、会話は基本的にテキスト表示です。翻訳の品質そのものについて公式からの説明はありませんが、日本人プレイヤーが書いたプレイ記事では、一部に直訳調の言い回しが見られるという感想も出ています。なお発売直後にはアジア圏言語のフォント不具合がありましたが、8月下旬のパッチで修正済みです。

プレイ時間とDLCの状況:公式の発売案内では、メインストーリーを遊び通すのに15時間以上かかり、プレイスタイルによって変動すると説明されています。一方、ユーザー投稿型の集計サイトHowLongToBeatではメインストーリー約10時間と、公式の目安より短い数字が出ています。発売直後で投稿数が少なく、遊び方による振れ幅も大きいため、いずれも参考値として見るのが妥当です。やり込みや実績収集まで含めると20時間から30時間程度とみられます。追加コンテンツは現時点でデジタルアートブックとサウンドトラックの2種のみで、修理依頼や物語を追加する有料DLCはまだありません。最初の無料コンテンツアップデートは2026年9月14日配信予定で、追加のストーリー、新キャラクター1人、新しいガジェット1種が加わると公式に告知されています。同日には今後の展開を示すロードマップも共有される予定です。Steam Deckについては、発売前の公式案内で「発売時点では『Playable』となり、完全な『Verified』ではない。チームとして今後取り組んでいく」と説明されていました。2026年8月24日時点でもSteamの互換性表示は「Playable」のままで、ゲーム内のコントローラーアイコンがSteam Deckのものと一致しない点が判定理由として示されています。UI操作に慣れが必要という報告もあります。

類似作品|こんなゲームが好きなら

本作と比較されることの多いタイトルを、比較軸ごとに整理しました。

タイトル共通点
Assemble with Care壊れた思い出の品を分解・修復し、持ち主の物語を描く。テーマ面でもっとも近い比較対象
PC Building Simulator依頼を受けて診断・清掃・部品交換・組立てを行う仕事シム。本作より専門的でブランド志向が強い
Dynopunkサイバーパンク世界で機器修理店を経営し、客との会話と選択で物語が進む。修理と物語の組み合わせが近い
PowerWash Simulator汚れを落としていく反復作業の達成感とASMR的な手触り
Unpacking低ストレスな手作業と、物から持ち主の人生を読み取る構造
Coffee Talk店を訪れる常連客との会話と人間関係を味わう店舗運営もの
I Am Future同じMandragora作品。家電を手作業で分解するメカニクスが本作の直接の原型

まとめ

  • タイトル:リ・ストーリー: 思い出修理屋(英題 ReStory: Chill Electronics Repairs)
  • 開発・販売:Mandragora(『I Am Future』『SKYHILL』の開発元)/tinyBuild
  • 発売日・価格:2026年8月6日発売、1,999円。早期アクセスではなく製品版
  • プラットフォーム:Windows/macOS。日本語はインターフェース・字幕に対応(音声は日本語非対応)
  • 舞台:2000年代半ばの東京・電気街。小さな電子機器修理店を切り盛りし、持ち込まれる機器を通して客たちの人生に触れていく
  • コアループ:受注、分解、診断、清掃・部品交換、再組立て、納品。Y2K風ウェブブラウザで部品を調達
  • 物語:会話の選択が客の人生と店に影響し、物語が分岐して複数のエンディングに至る(各エンディングの内訳は公式未公表)
  • Steam評価:レビュー8,327件で「圧倒的に好評」(好評7,961件・不評366件、約95.6パーセント)
  • セールス:2026年8月13日に販売30万本突破を公式発表
  • 注意点:作業の反復感、UI・コントローラー操作の粗さ。発売直後の不具合はパッチで修正が進行中
  • プレイ時間:公式案内ではメインストーリー15時間以上(プレイスタイルで変動)。HowLongToBeatのユーザー集計は約10時間、やり込みで20時間から30時間程度とみられる

ネジを一本ずつ外し、埃を払い、壊れた部品を差し替えて、もう一度電源を入れる。その地味な手順の繰り返しの中に、持ち主の人生の断片が挟まっている――リ・ストーリー: 思い出修理屋は、作業シミュレーターの気持ちよさと、人間ドラマとしての手触りを同じ皿に載せることに成功した作品です。反復感やUIの粗さといった弱点は確かにありますが、1,999円という価格と、レビュー8,000件超で「圧倒的に好評」という評価が、その完成度を裏づけています。2000年代のガジェットに手を触れていた記憶がある方なら、あの作業台の前に座る価値は十分にあるはずです。