【無職転生】ルーデウスとエリスの馴れ初めを原作最初から最後まで図解でネタバレ完全解説|殴られた初日、誘拐事件、「五年後」の約束、15歳の夜と置き手紙、狂剣王になって帰ってきた日、そして最期まで

『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』は、理不尽な孫の手による長編ファンタジー小説です。7歳の少年ルーデウスが家庭教師として送り込まれた先で待っていたのは、初対面で平手打ちを見舞ってくる2歳年上の令嬢、エリス・ボレアス・グレイラットでした。教師と生徒として始まった二人の関係は、誘拐事件、休養日、ダンスの練習、10歳の誕生日に交わした「五年後」の約束を経て、転移事変で世界の果てへ放り出されます。魔大陸からの三年の旅、帰還の夜に結ばれた15歳のエリス、翌朝に残された一枚の置き手紙。ここから二人は約5年間、別々の道を歩むことになります。エリスは剣の聖地で「狂犬」と呼ばれる修行を積んで剣王となり、ルーデウスは魔法大学で別の妻を迎えました。それでも二人は、龍神オルステッドの前で再会します。この記事では、家庭教師の赴任からルーデウスの最期まで、二人の関係の変遷をWeb版本編の話数に沿って追い、要所を図解で整理します。
ネタバレ注意:この記事は『無職転生』の原作(「小説家になろう」Web版本編・蛇足編、書籍版)を結末まで扱います。エリスの出奔の理由、ルーデウスの結婚相手、剣神ガル・ファリオンの最期、二人の子供の名前、そしてエリスとルーデウスがどのように生涯を終えるかまで、核心部分を伏せずに記述しています。アニメで追いかけている方は、その先の展開を知る覚悟のうえでお読みください。
出典に関する注記:本文の物語の流れ、台詞の趣旨、話数は「小説家になろう」に掲載されているWeb版本編・蛇足編の本文で確認しました。文中の「第○話」はWeb版の話数で、なろうのURLに含まれる連番とは一致しません(間話が挟まるためです)。書籍版の巻数対応はKADOKAWAの公式書誌紹介、アニメの話数と声優はTVアニメ公式サイトに基づきます。書籍版は加筆や構成の変更があるため、Web版の話数は書籍版のページと一致しません。年齢のうち「エリスはルーデウスより2歳年上」という設定から逆算した数値には、その旨を添えています。
二人の基本情報|転生者の少年と、ボレアス家の暴れ馬
| 項目 | ルーデウス・グレイラット | エリス・ボレアス・グレイラット |
|---|---|---|
| 出自 | 日本の34歳無職から転生した少年。父パウロ、母ゼニス。ブエナ村で育つ | フィットア領の有力貴族ボレアス家の令嬢。父フィリップ、祖父はフィットア領主サウロス。城塞都市ロアに住む |
| 出会い | 7歳。パウロの息子であることを買われ、5年契約の住み込み家庭教師として赴任(Web版第11話「離別」) | ルーデウスより2歳年上(赴任時9歳と計算できる)。それまで多くの教師を辞めさせてきた |
| 得意分野 | 魔術。読み書き・算術・初歩魔術を教えるのが契約内容 | 剣術。ギレーヌ・デドルディアに剣神流を学び、のちに「剣王」の称号を得る |
| 周囲の人物 | シルフィエット(幼なじみ)、ロキシー・ミグルディア(魔術の師) | ギレーヌ(剣術教師・護衛)、執事トーマス、礼儀作法教師エドナ・レイルーン、のちの執事アルフォンス |
| アニメ版の声 | 内山夕実 | 加隈亜衣。第1期第5話「お嬢様と暴力」で初登場(TVアニメ公式サイト準拠) |
| 最終的な関係 | シルフィエット、ロキシーに続く三人目の妻としてエリスを迎える(Web版第165話) | 長男アルス、長女クリスティーナの母。ルーデウスの前衛として生涯を共にする |
二人をめぐる人物の位置関係は、図1の相関図にまとめました。ギレーヌはエリスを守り鍛える立場でありながら、ルーデウスから読み書きを教わる生徒でもあります。この三人の関係が、のちの旅と別離の土台になります。

家庭教師と暴れ馬|殴られて始まった初日
ルーデウスが家庭教師として赴任するきっかけは、父パウロの手紙でした。フィットア領最大の都市、城塞都市ロアに住む「お嬢様」に、5年間住み込みで読み書き・算術・初歩的な魔術を教える。それが契約の内容です(Web版第11話「離別」)。当時のルーデウスは7歳。エリスはルーデウスより2歳年上と説明されているので、赴任時は9歳になります。
フィットア領主サウロス・ボレアス・グレイラットの息子で、エリスの父であるフィリップ・ボレアス・グレイラットは、この人事に別の狙いも込めていました。エリスはそれまで何人もの教師を辞めさせてきた問題児で、フィリップは「パウロの息子」がどこまでやれるかを試そうとしていたのです。初対面のエリスは、自分より年下の少年を教師として認めず、平手打ちを見舞います。その後も攻撃は止まらず、ルーデウスは魔術で逃げるしかありませんでした(第12話「お嬢様の暴力」)。
関係の全体像は、図2の年表で確認できます。7歳と9歳の出会いから、最期までの八つの段階に分けて整理しました。

自作自演のはずだった誘拐事件|信頼が生まれるまで
殴られるだけでは教師は務まりません。「駄目そうなら?」と問うフィリップに、ルーデウスが提案したのは「誘拐事件」を使った懐柔策でした(第12話)。エリスを服屋へ連れ出し、ギレーヌがわざと目を離した隙にエリスが店の外へ出て、ルーデウスがそれを追う。町外れでボレアス家とつながりのある男たちが二人を「誘拐」し、ルーデウスが授業で教えた読み書き・算術・魔術を使ってエリスを脱出させる。勉強の有用性を身をもって理解させ、ルーデウスを尊敬させる筋書きです(第13話「自作自演?」)。
ところが、この芝居は本物の誘拐事件に変わります。執事トーマスが裏でならず者とつながっており、用意されていたのは偽物の犯人ではなかったのです。エリスは暴行を受け、ルーデウスは機転で彼女を救い出しました。事件の後始末を描くのが間話「後日談とボレアス流挨拶」で、書籍版ではこの一連がMFブックス第2巻に収録されています。
本当に危険な目に遭ったエリスが、ルーデウスを見る目を変えたのはこの事件からです。ただし、暴力癖がすぐに消えたわけではありません。第14話のタイトルは「凶暴性、いまだ衰えず」で、ルーデウスがギレーヌにも読み書きと算術を教える様子が描かれます。続く第15話では、授業が読み書き・算術・魔術に加えて、フィリップが手の空いたときに歴史、エドナ・レイルーンが礼儀作法、ギレーヌが剣術を受け持つ体制として整理されます。
転機になったのは、ルーデウスが提案した「7日に1日の休養日」でした。毎日の授業でエリスが疲れ切っていることに気づいたルーデウスは、休みを設けます。休養日をきっかけに、エリスはルーデウスの指示を受け入れやすくなり、勉強にも継続して取り組むようになりました(第15話「職員会議と日曜日」)。
考察:誘拐事件が「本物」になったことは、結果的に二人の関係を早めました。ルーデウスの筋書きどおりなら、エリスが得たのは「勉強は役に立つ」という教訓だけです。しかし実際には、ルーデウスが自分の身を張って助けてくれたという体験が残りました。エリスがルーデウスを「先生」ではなく「自分を守ってくれた相手」として見るようになった出発点は、計画の失敗にあります。
ダンスと誕生日|「五年後」の約束
第16話「お嬢様は十歳」では、エリスの10歳の誕生日パーティーが描かれます。貴族の社交に欠かせないダンスが苦手なエリスのために、ルーデウスも練習に付き合いました。剣術で身についた鋭く速い動きを、手拍子やフェイントを使って矯正していく場面は、教師と生徒の関係が変わり始めたことを示しています。当日、ルーデウスはエリスの最初のダンス相手を務め、途中で彼女が動揺しても立て直して踊り切りました。アニメ第1期では第7話「努力の先にあるもの」がこの誕生日にあたります。
そして第18話「確約」。ルーデウスの10歳の誕生日です。エリスは屋敷内で小さな誕生日会を準備し、ルーデウスに花束を渡して、彼を「家族」と表現します。誕生日プレゼントの杖「傲慢なる水竜王(アクアハーティア)」もこのとき渡されました。ただし、この杖はエリスが自分で買ったものではなく、父フィリップと祖父サウロスが依頼して用意した、グレイラット家からの贈り物として説明されています。
約束が交わされるのは、パーティーの席ではありません。その夜、自室に戻ったルーデウスは、ベッドに腰掛けて待っていたエリスに手を出そうとして殴られ、蹴られます。いったん部屋を出たエリスは、戻ってきてこう告げました。
「あと、五年経って、ルーデウスがちゃんと成人したら、その時は……」
「それまで我慢しなさい!」
台詞は「その時は……」と途中で濁されており、結婚を明示した約束ではありません。ルーデウスは直後に、この言葉を「五年後」「約束」「十五歳」と理解しています。つまり正確には、「ルーデウスが成人する15歳まで、二人の関係を進めるのを待つ」という約束です。この約束が、のちに二人をすれ違わせる伏線になります。
第19話「ターニングポイント」。ルーデウスは10歳、エリスは12歳(2歳年上からの逆算)。ルーデウスは誕生日にエリスと交わした約束を果たすため、ギレーヌとエリスを連れてロア郊外へ向かいます。その直後、白い光がフィットア領を覆いました。フィットア領転移事変です。
転移事変と三人の旅|魔大陸で想いが育つ
転移先の魔大陸で、二人はスペルド族の戦士ルイジェルド・スペルディアと出会い、三人で冒険者パーティ「デッドエンド」として旅を始めます。この旅は、エリスにとってルーデウスを「守られる対象」から「自分と対等な相棒」へ意識し直す期間になりました。Web版本文で確認できる代表的な場面を、話数とともに挙げます。
| 場面 | Web版 | エリスの様子 |
|---|---|---|
| リカリスの町 | 第29話「初仕事終了」 | ルーデウスが犯罪者と組んだことに怒ったルイジェルドが掴みかかると、エリスはルイジェルドを蹴って止め、「ルーデウスから手を離しなさいよ!」と抗議する。計画は「私とルーデウス」で進めるものだという意識を示す |
| キシリカの魔眼 | 第36話「すれ違い・後編」 | ルーデウスが魔眼を得た後、模擬戦で敗れたエリスは「ずるい」と悔しがる。差をつけられても離れようとはしない |
| ミリシオンの親子喧嘩 | 第46話「親子喧嘩」、第48話「方針の再確認」 | パウロとの衝突で崩れたルーデウスをエリスが抱きしめて落ち着かせ、パウロが彼の苦労を理解しなかったことに激しく怒る。ルーデウスは「俺のために怒っている」と受け止める |
| エリスのゴブリン討伐 | 間話「エリスのゴブリン討伐」 | クリフにルーデウスのことを尋ねられ、彼の魔術や人柄を誇らしげに語る。本文はその表情を「恋する乙女のそれ」と描写する |
| 中央大陸への船 | 第50話「中央大陸へ」 | 船員に二人の結婚をからかわれ、照れながら「結婚なんてまだ早いわよ」と返す |
なお、パウロとルーデウスの間に実際に割って入ったのはノルンで、エリスがその場で直接庇ったわけではありません。エリスが果たした役割は、崩れたルーデウスを受け止め、彼の代わりに怒ることでした。
旅の間、二人が新しい約束を交わした場面は確認できません。第18話の「成人するまで待つ」という約束が、そのまま旅の期間に持ち越されています。旅の終盤、第59話「ターニングポイント2」で三人は龍神オルステッドと遭遇し、ルーデウスは瀕死の重傷を負います。このときエリスがルーデウスを守れなかったという事実が、後の決断に影響します。
帰還、15歳になったエリス、そして置き手紙
フィットア領に帰り着いた三人を待っていたのは、厳しい現実でした。難民キャンプで執事アルフォンスが伝えたのは、祖父サウロスが転移事変の責任を取らされて処刑されたこと、父フィリップと母ヒルダが紛争地帯へ転移して死亡し、ギレーヌが現地で遺体を確認したことです(第62話「災害の現実」)。ボレアス家そのものは滅んでおらず、ジェイムズが現在の領主ですが、サウロスとフィリップを失ったエリスに貴族令嬢としての政治的な価値はほとんど残っていない、と説明されます。館も失われていました。
第63話「お嬢様の決意」。エリスは「この間15歳になった」と述べ、ルーデウスは「もうすぐ13歳」と語ります。つまりルーデウスは12歳、13歳の直前です。エリスの誕生日は旅の途中、ルイジェルドに「一人前」と認められた日で、地の文ではすでに1か月以上前に過ぎていたと説明されます。誕生日の当日ではなく、帰還後のこの夜に、二人は結ばれました。エリスの側の独白では「15歳の誕生日プレゼントに、ルーデウスをもらった」と表現されています。第18話の「成人するまで待つ」という約束からすれば、ルーデウスの15歳より2年以上早いタイミングでした。
翌朝、ルーデウスが目を覚ますと、エリスはいませんでした。残されていたのは一枚の置き手紙です。
「今の私とルーデウスでは釣り合いが取れません。旅に出ます」
エリスの側の事情は、同じ第63話で描かれています。彼女はルーデウスを愛している一方で、自分は彼に釣り合わず、足手まといになると考えていました。オルステッド戦でルーデウスが瀕死になり、自分が何もできなかったことが、修行を決意する大きな契機です。目的は、剣士として強くなり、再会したときにはルーデウスに釣り合う女性、ひいては彼の妻になること。エリスはギレーヌとともに剣の聖地へ向かいました。
しかしルーデウスは、この手紙を別れの言葉として読みました。一週間ほど呆然と過ごし、「愛想をつかされた」と自分を責め、やがて母ゼニスを捜すために中央大陸北部へ向かいます。この失意の直後に、ルーデウスはED(勃起不全)になりました。発症場面そのものはWeb版本編で詳しく描かれず、第102話「懐かしさと歯がゆさ」の回想で「立たなくなった」と明かされます。その後、冒険者として約2年を過ごし、ラノア魔法大学に入ってからシルフィエットに治してもらうまで、この状態が続きました。
同じ一枚の手紙が、二人にどう届いたかを図3に整理しました。

考察:この置き手紙は、『無職転生』全体でも屈指のすれ違いです。エリスの「釣り合わない」は「今の私が弱いから」という意味で、主語は自分でした。ルーデウスはこれを「お前では駄目だ」と読み、主語を自分に置き換えてしまいます。前世で自己評価を徹底的に削られてきたルーデウスにとって、拒絶される側の解釈が自然に出てきたことは不思議ではありません。エリスの側にも、言葉が足りないという欠点があります。剣の腕を磨けば通じると信じるエリスと、言葉で確かめないと安心できないルーデウス。二人の性格の違いが、そのまま5年の空白を生みました。
別離の5年|「狂犬」から「狂剣王」へ
剣の聖地へ着いたエリスは、剣神ガル・ファリオンの前で「龍神オルステッドを斬りたい」と宣言します。修行初期の様子を描くのが間話「燃えよ狂犬」で、この時点でエリスは17歳、剣の聖地に来て約2年。毎日、命がけの稽古を続けています。修行は剣神流だけにとどまらず、水王イゾルテとの鍛錬や、北帝から闘気の配分と速度運用を学んだ描写もあります。
間話「新たなる剣王の誕生」では、エリスがニナとの木剣勝負に勝ちます。通常なら威力に振る「光の太刀」の闘気を速度へ回すという、北神流的な運用による勝利でした。これを受けてガル・ファリオンはエリスに「剣王」の称号と免許皆伝を授け、剣王の証として七本剣の一本を渡します。ギレーヌと戦うことを条件に剣帝への昇格も提案されますが、エリスは称号より強くなることを優先して断り、「家族の所に帰る」と告げました。「狂剣王」という異名は剣王となった後に使われるようになるもので、修行中の「狂犬」という評判が称号と結びついたと考えられますが、本文に命名の場面や由来の説明は確認できません。
この5年の流れを図4にまとめました。修行期間の「約5年」は、本文の「剣の聖地に来て約2年(エリス17歳)」と「別離から5年」という時系列から整理した推定で、「5年間修行した」と一文で明記された箇所は確認できていません。

一方のルーデウスは、この間にラノア魔法大学へ入学し、幼なじみのシルフィエットと再会して結婚、さらにベガリット大陸で師のロキシーと結ばれ、帰還後に二人目の妻として迎えています。エリスが「ルーデウスに釣り合う女になって帰る」ために剣を振っていた5年間は、ルーデウスにとっては別の家族を作った5年間でした。
手紙、届く|龍神の前での再会
二人の空白を終わらせたのは、今度はルーデウスからの手紙でした。第159話「手紙、届く」で、剣の聖地のエリスにルーデウスの手紙が届きます。手紙には、シルフィエットとロキシーと別れるつもりはないこと、そのうえでエリスを「三番目の妻」として受け入れる用意があることが書かれていました。そして追伸には、これから龍神オルステッドに戦いを挑むこと、生きて帰れないかもしれないことが記されていたのです。剣王となり家族の元へ帰る準備を進めていたエリスは、追伸を読んですぐにギレーヌと出発します。
魔法都市シャリーアに着いたエリスは、シルフィエットとロキシーから、ルーデウスがすでにオルステッドとの戦いへ向かったと知らされ、二人とギレーヌを連れて後を追います。第163話「狂剣王対龍神」。戦場に着いたエリスとギレーヌが見たのは、瀕死のルーデウスでした。エリスは剣神七本剣の一つ「鳳雅龍剣」を構え、オルステッドの前に立ちます。5年前、オルステッドの前で何もできなかった少女が、今度は龍神の前に剣を構えて立った瞬間です。
戦いの後、第164話「エリス・グレイラット 前編」で、二人は別離の間の誤解について語り合います。エリスはルーデウスの手紙を読んでおり、あの置き手紙が別れではなかったこと、ルーデウスの受け取り方が違っていたことが、ここでようやく言葉になります。
第165話「エリス・グレイラット 後編」。二人は町の外で剣を交えます。決闘のあと、ルーデウスはエリスに「家族になれる」と伝え、「結婚してください」と申し込みました。エリスは承諾します。結婚の形式は教会式でも披露宴でもなく、この求婚と承諾によるものです。後に結婚式を提案されても、エリスは「いらない」と答えています。同じ話の夕食の席で、ルーデウスは家族にエリスを妻にしたと発表しました。事前に根回しがあり、シルフィエットとロキシーは祝福します。妹のノルンは複雑な反応を見せますが、表立って反対はしませんでした。その夜、シルフィエットとロキシーとの話し合いを経て、エリスとルーデウスは夫婦として結ばれます。
当時のエリスは、本文で「二十歳の女性」と表現されています(第176話「アスラ王国へ出発」)。ルーデウスの結婚時の正確な年齢は、該当話に明記がありません。2歳年下という設定から17〜18歳前後と考えられますが、本文で確認できる数値ではないことを添えておきます。
考察:二人の再会が「決闘」を経ている点は見逃せません。エリスが5年間かけて証明したかったのは「ルーデウスに釣り合う強さ」でした。ルーデウスが求婚の前に剣を交えたのは、その5年間を受け取る儀式だったと読めます。言葉で誤解を解いたのが第164話、剣で答え合わせをしたのが第165話。エリスにとって、この順番でなければ納得できなかったはずです。
妻として、母として|ガル・ファリオン戦と二人の子供
結婚後のエリスは、龍神オルステッドの配下として動くルーデウスの前衛、つまり「剣」として敵と戦う役割を担います(第190話「近況」)。第212話「喜んでいいんだ」では、エリスが「10日前に出産した」と述べ、長男の名前を「アルス」と明かします。出産の場面そのものではなく、帰還後の報告と命名が描かれる話です。長女クリスティーナ・グレイラットは、第261話「34歳」でエリスとの子として初めて名前が明記されます。クリスティーナの出生場面そのものを描いた話数は、Web版本文からは確認できていません。
ビヘイリル王国編では、かつての師である剣神ガル・ファリオンが敵として立ちはだかります。第251話「狂剣王vs元剣神」。ガルがエリスの首を狙った瞬間、エリスの後ろにいたルイジェルドが槍でその一撃を止め、エリスはその隙に反撃してガルを胴から斬り倒しました。エリス単独の勝利ではなく、魔大陸からの旅の仲間ルイジェルドを信頼した連携です。戦闘後、エリスはガルの剣を受け取り、遺体を火球で焼いてからルーデウスの救援へ向かいました。「狂剣王」と「デッドエンド」の相棒が、10年以上を経て再び並んで戦った場面です。なお第261話の記述によれば、この戦いから約10年後にルーデウスは34歳になります。ガル戦は晩年ではなく、青年期の出来事です。
人物像の変化も本文に描かれています。ルイジェルドとの再会時、エリスは以前のように勢いで飛びつこうとしながら、「戦士としての立場」を考えて自制します(第250話「勝機を見る」)。第261話では、子供たちに剣を教えたことで以前の荒々しさが薄れ、より忍耐強くなったと説明されています。7歳のルーデウスを殴った「暴れ馬」が、母として剣を教える側に回ったわけです。晩年のエリスは、ルーデウスの護衛と、ルード傭兵団への剣術指南を担っています(蛇足編「最後の巣立ち」)。
最終話|先に逝ったエリスと、74歳のルーデウス
第260話「最後の夢」で、ルーデウスは74歳の自分がベッドで家族に見守られながら最期を迎える光景を見ます。エリスについて尋ねると、シルフィエットが「先に行った」と答えます。回想では、エリスは70歳を過ぎても元気で、走ったり剣を振ったりした後にベッドに倒れ、そのまま目を覚まさなかったと語られます。この第260話の光景は、続く第261話「34歳」で「34歳のルーデウスが見た夢」だったと明かされますが、Web版の最終話「死後の世界」で、エリスは「先に死んだけど、寿命」と整理されており、順序そのものは変わりません。
つまり、エリスはルーデウスの死後まで生きていたのではなく、エリスが先に寿命で亡くなり、その後にルーデウスが74歳で亡くなったという順序です。Web版の「アスラ王国人物録」でも、ルーデウスの死亡年は甲龍暦481年、死因は老衰、自宅のベッドで74年の生涯を終えたと記録されています。書籍版では第26巻がこの結末に対応します。
なお、「ルーデウスの死後にエリスが剣を持って旅立つ」といった場面は、Web版本編・蛇足編には存在しません。エリスが剣を帯びて去る描写として本文にあるのは、第251話でガルを討った後、彼の剣を受け取り遺体を焼いてルーデウスのもとへ向かう場面だけです。
混同しやすい2点:①エリスが「剣を持って去る」のはガル・ファリオン戦の直後(第251話)で、ルーデウスの死後ではない。②エリスはルーデウスより先に老衰で亡くなる(第260話の夢と最終話「死後の世界」の両方で一致)。
アニメで追う場合|第1期で描かれた範囲
TVアニメ第1期では、エリスは第5話「お嬢様と暴力」で初登場し、第7話「努力の先にあるもの」が10歳の誕生日のダンスにあたります。転移事変後の魔大陸の旅から、フィットア領帰還、そして置き手紙による別離(第1期最終話の第23話)までが第1期の範囲です。剣の聖地でのエリスの修行は、Web版では第80話前後から挟まれる間話「燃えよ狂犬」などで先に描かれます。ルーデウスからの手紙とオルステッド戦での再会は、Web版第159話以降、書籍版では第15巻の流れです。アニメだけで追っている方は、第1期の最後に残された置き手紙の「答え」が、ここまで先にあることを覚えておくと、再会の場面の重みが変わります。
まとめ|殴られた初日から、先に逝く日まで
- 出会いは家庭教師と生徒:7歳のルーデウスが9歳のエリスの家庭教師として赴任し、初日に殴られる(Web版第11〜12話、書籍版第2巻)
- 誘拐事件が本物になった:執事トーマスの裏切りで自作自演の計画が現実の誘拐に変わり、ルーデウスがエリスを救出。ここから信頼が生まれる(第13話)
- 「五年後」の約束:ルーデウス10歳の誕生日、エリスは「成人したら、その時は……」と告げる。結婚を明言した約束ではない(第18話)
- 三人の旅で想いが育つ:リカリスでルイジェルドを蹴って庇い、ミリシオンで崩れたルーデウスを抱きしめる。本文はエリスの表情を「恋する乙女」と描写(第29・48話、間話)
- 15歳の夜と置き手紙:帰還後、15歳になったエリスと結ばれ、翌朝「今の私とルーデウスでは釣り合いが取れません」と残して剣の聖地へ。ルーデウスはEDに(第63話、第102話の回想)
- 狂犬から剣王へ:剣神ガル・ファリオンの下で修行し、ニナに勝って剣王の称号と七本剣を授かる。「狂剣王」はその後の異名(間話「新たなる剣王の誕生」)
- 手紙で誤解がほどける:ルーデウスの「三番目の妻に」と追伸「龍神に挑む」を読んだエリスが駆けつけ、瀕死の彼の前に立つ(第159話、第163話)
- 決闘のあとの求婚:剣を交えたのち「結婚してください」。教会式なしの求婚と承諾で三人目の妻に(第165話)
- 妻として母として:長男アルス(第212話で出産報告と命名)、長女クリスティーナ(第261話で名前が明記)。ガル・ファリオン戦はルイジェルドと連携して勝利(第251話)
- 先に逝くのはエリス:70歳を過ぎて寿命で亡くなり、ルーデウスは74歳で老衰。ルーデウスの死後のエリスを描いた場面は本編に存在しない(第260話、最終話)








