PSYREN -サイレン-は、赤いテレホンカードに呼ばれた若者たちが、荒廃した10年後の日本と現代を行き来しながら世界の崩壊に立ち向かう物語です。そのなかで、「逃げる」ことを自慢にしていたのが霧崎兜(きりさき かぶと)でした。金と女の子が好きで、面倒事からはすぐに逃げ出すお調子者。そんなカブトが目覚めたPSIは、自分に迫る死の危険が白い光になって見える「幻視」でした。未来で叔父の死を知り、仲間をかばって死の淵をさまよい、やがて臆病さそのものを守りの力に変えていきます。この記事では、原作漫画でのカブトの能力、人間関係、物語での歩みと結末を、巻とCALL.の順に解説します。

ネタバレ警告:この記事は原作漫画の最終話までの重大なネタバレを含みます。カブトの叔父の最期、カブトが瀕死になる場面、最終決戦と最終回の内容、さらに後日談の小説の内容まで書いています。アニメで初めて作品に触れる方はご注意ください。

この記事の基準:原作漫画(全16巻・全145話)の内容を扱います。年齢・誕生日・血液型はTVアニメ公式サイト、巻ごとの出来事は集英社の単行本紹介文と目次で確認しました。能力や場面の細部は、ファンWiki(PSYREN -サイレン-@wiki。連載時の煽り文を集めた「本誌アオリまとめ」を含む)、アニヲタWiki、英語版ファンWiki、日本語版Wikipedia、連載当時のファンブログを照らし合わせています。出来事とCALL.の対応はファンの整理による目安です。10年後の姿は小説版の内容として分けて書きます。いずれも2026年10月15日に確認した情報です。

霧崎兜の基本プロフィール

TVアニメ公式サイトは、カブトを「金と女の子が好きなお調子者の19歳」と紹介し、まともな仕事に就かず楽をして生きようとしていること、ジャーナリストの叔父がいることを挙げています。

項目内容
名前霧崎兜(きりさき かぶと)。作中では主に「カブト」と表記される(ファンWiki)
年齢・誕生日・血液型19歳、5月5日生まれ、O型(TVアニメ公式サイト)
仕事定職なし。まともな仕事に就いていない(TVアニメ公式サイト)
家族叔父の霧崎塔二(カブトは「オジキ」と呼ぶ)。元戦場カメラマンのジャーナリスト
PSI幻視「脅威(メナス)」。のちにイアン式ライズと、心の中のヨヨによる「弱者(チキンソウル)のパラダイム」
初登場アゲハにとって2回目のゲーム(2巻、CALL.14〜15)
声優野津山幸宏(TVアニメ)

性格・特徴|逃げ足と観察眼のお調子者

陽気で軽いノリの青年で、猫のような仕草をしたり「はにゃ?」と口にしたりと、デフォルメ顔の多いキャラクターです(ファンWiki)。面倒事は避け、楽をして金を得ようとするタイプですが、自分では「どんなツライことも絶対逃げ出す根性と、信じられる人間を見抜く観察眼だけは持つ」と胸を張っています(ファンWikiとアニヲタWikiが同じ言葉で紹介)。

実際に目がよく(ファンWikiはライズを使ったときの雨宮桜子並みと説明)、身軽で逃げ足も速い人物です。男女で態度がまるで違うフェミニストで、女性がらみのトラブルもしばしば。雨宮のことは「リトルバニー」という独特の呼び名で呼びますが、本人には素っ気なくあしらわれています(ファンWiki、日本語版Wikipedia)。

一方で、暴力は振るうのも受けるのも嫌う主義です(ファンWiki、アニヲタWiki)。この「できれば戦いたくない」という芯は、力に目覚めて強くなったあとも変わりません。TVアニメ公式サイトのAnimeJapan 2026のレポートは、カブトを、どこか軽妙でつかみどころがないながら作品の中では貴重なムードメーカー的な存在と紹介しています。

PSI能力|幻視「脅威(メナス)」と弱者(チキンソウル)のパラダイム

カブトの力は、感覚を研ぎ澄ますタイプのライズと、精神に働きかけるトランスの素質が組み合わさったものと説明されています(アニヲタWiki、英語版ファンWiki)。能力は、幻視(5巻)、ヨヨとの出会い(10巻)、イアン式ライズ(13巻)の順に加わり、14巻で弱者(チキンソウル)のパラダイムを初めて実戦で使います(図1を参照)。

幻視「脅威(メナス)」

幻視(ヴィジョンズ)は、本来見えないもの、たとえば未来の一部を見るタイプの珍しいPSIです(アニヲタWiki)。カブトの幻視は「脅威(メナス)」と呼ばれ、これから起こる死の危険が白い光として見えます(アニヲタWiki、日本語版Wikipedia)。アニヲタWikiの作品項目は、これを数秒先に起こる死が見える力と説明しています。敵に囲まれたときに安全な逃げ道を仲間に教える、といった使い方ができます。5巻の巻題も「幻視」です(ファンWikiの単行本一覧)。W.I.S.Eのドルキは、カブトを能力の名で「ヴィジョンズ」と呼んでいます(ファンWiki)。

ただし、危険が見えても体がついていかなければ避けられません。カブトはPSIの訓練をさぼりがちで、ライズなどの基礎は4回目のゲームまでほとんど使えませんでした(ファンWiki)。

イアン式ライズ

4回目のゲームから戻ったあと、カブトはキュアの使い手イアンから「イアン式ライズ」を教わります(ファンWiki)。自分のPSIを周りに放って相手の呼吸や脈拍、生命のリズムを感じ取り、それに合わせることで瞬時に相手の懐へ潜り込む技です。通常のライズと違って力や速さ、打たれ強さは上がらないため、これだけで攻撃するのには向きません(アニヲタWiki)。

ヨヨと弱者(チキンソウル)のパラダイム

ヨヨは、カブトの心の中にいる「もう一人の自分」です。牛のような角の生えた仮面に虎柄のマントをまとったような姿で、台詞はひらがなとカタカナが入れ替わった独特の書き方をされます(日本語版Wikipedia)。4回目のゲームでアゲハをかばって昏睡していたカブトの心の中に、初めて現れました。

ヨヨが与えた新しい力が「弱者(チキンソウル)のパラダイム」です。アニヲタWikiは、死線から戻ったカブトにヨヨが与えた力と説明し、英語版ファンWikiは、目覚める前にヨヨが心の中で使い方を教えたとしています。カブトの目に見える脅威の光をヨヨが手で祓うと、脅威の源そのものが祓った方向へねじ曲げられ、カブトに迫っていた死の運命がそれていきます。アニヲタWikiはこれを、限定的な運命操作だと表現しています。さらにヨヨは脅威を集めて結晶にでき、カブトがそれを相手に戻すと、相手が放った脅威はそのまま相手自身に返ります。結晶を戻すために相手の懐へ入り込むときに使うのが、イアン式ライズです。

霧崎兜の能力が幻視から弱者のパラダイムへ成長する順番と、攻撃を相手に返す流れの図
図1:カブトの能力の成長と、弱者(チキンソウル)のパラダイムの仕組み(アニヲタWiki、日本語版Wikipedia、ファンWikiから作成)

脅威として扱われるのは「カブトが感じた危険」そのものなので、PSIの攻撃だけでなく、実体のある攻撃も逸らせます。カブトが根っからの臆病者だからこそ脅威の範囲が広く、直接の攻撃だけでなく妨害や下準備のようなものにまで働く、とアニヲタWikiは説明しています。逃げ腰の性格が、そのまま守りの力になっているわけです。

人間関係

カブトの周りの人物との関係は図2のとおりです。前半は叔父とアゲハ、後半はイアンやエルモア・ウッドの子どもたちとの関わりが中心になります。

霧崎兜と叔父の霧崎塔二、ヨヨ、イアン、夜科アゲハ、雨宮桜子、ドルキ、アッシュ、ミスラ、フレデリカ、マリーの関係図
図2:霧崎兜(カブト)の人間関係(TVアニメ公式サイト、集英社の単行本紹介文、ファンWiki、アニヲタWiki、英語版ファンWikiから作成)

叔父の霧崎塔二は、カブトがよく金を借りていた相手で、逃げてばかりのカブトに生き方を諭した人物です。同じ2回目のゲームから参加した望月朧のことを、カブトは、危険なときに命を預けてはいけない男だと見ています(ファンWiki)。なお、マリーをさらった星将ヴィーゴ(鬼瀬鋭二)とカブトが直接戦う場面は、確認した資料にはありません。ヴィーゴがミスラに殺されたあとで、シャオとカブトがマリーのもとへ駆けつけた、という順番です(ファンWiki)。

物語での歩み

カブトの登場から10年後までの流れは図3のとおりです。物語全体の流れはストーリー全ネタバレ解説で詳しく扱っています。

霧崎兜の2回目のゲームから小説版の10年後までの歩みを巻ごとに並べた図
図3:霧崎兜(カブト)の歩み(集英社の単行本紹介文と目次、ファンWiki、アニヲタWiki、連載当時のファンブログから作成。巻とCALL.は目安)

2回目のゲーム|一攫千金を狙って参加(2〜3巻)

カブトが登場するのは、アゲハにとって2回目のゲームです(2巻、CALL.14〜15)。連載時の登場人物紹介は一攫千金が目当てかと書き(ファンWikiの本誌アオリまとめ)、英語版Wikipediaも、ひと儲けを狙う新参者として参加したと説明しています。英語版ファンWikiによると、雨宮の忠告をまともに聞いたのは、新参者のなかでカブトだけでした。その後、カブトは朧とともに未来の大気に感染して倒れますが(集英社3巻紹介文)、アゲハたちの奮闘で5人そろって現代へ戻りました。

叔父の言葉(4巻)

現代に戻ったカブトは、ライズの特訓をさぼって叔父の山荘へ出かけていました(英語版ファンWiki)。叔父の霧崎塔二は、戦場で片足を失ってからジャーナリストに転じた人物で、山荘の地下に核シェルターを造っていました。ケンカから逃げてきたカブトを責めも慰めもせず、人としての生き方を諭した叔父の存在が、カブトの成長を大きく支えたとファンWikiは書いています。英語版ファンWikiによると、叔父は、逃げた問題は消えるのではなく誰か別の人に押し付けられるだけだと説きました。

3回目のゲーム|叔父の山荘と幻視の目覚め(4巻末〜5巻)

3回目のゲームが始まると、カブトはひとりで叔父の山荘を目指します(4巻、CALL.32〜33)。目当ては、シェルターに残っているはずの未来の情報で大金を稼ぐこと。この金儲けの企みが、結果として一行を世界崩壊の手がかりへ導きます(集英社5巻紹介文、ファンWiki)。カブトはこのとき、宝くじの当選番号が載った未来の新聞の切れ端も手に入れていました(アニヲタWiki)。

しかし、シェルターの中にあったのはミイラのようになった叔父の亡骸でした(CALL.34〜35)。日本語版Wikipediaによると、叔父は未来でW.I.S.Eに関心を抱いてその決起集会「宣戦の儀」を撮影し、転生の日にシェルターへ逃げ込んだ際、地震で足を骨折して動けなくなり、そのまま亡くなりました。叔父が自分に宛てて遺した言葉に触れ、それまで未来を悪い夢だと思い込もうとしていたカブトの心境は変わり始めます(ファンWiki、日本語版Wikipedia)。

直後、W.I.S.Eの星将ドルキが現れます。爆撃のPSI「爆塵者(イクスプロジア)」から逃げ回るなかで、カブトは死の脅威が光になって見える幻視に目覚めました(CALL.41「幻視」前後)。アゲハはカブトを囮にしてドルキを引きつけ、そのあいだに暴王の月を小さく鋭くした「暴王の流星(メルゼズ・ランス)」を放ちます(CALL.42〜43。CALL.43の題は「暴王VS爆塵者」)。ライズの使えないカブトは次第に追い詰められますが、アゲハの攻撃でドルキは右腕を失い、そこへ現れた星将シャイナに救い出されて退きました(アニヲタWiki「W.I.S.E」、日本語版Wikipedia)。一行は全員そろって現代へ戻ります。

4回目のゲーム|アゲハをかばって倒れる(7巻末〜10巻)

4回目のゲームでは、開始地点でドルキとシャイナが待ち伏せしていました。シャイナの瞬間移動で雨宮・飛龍・朧が飛ばされ、その場にはアゲハとカブトが残されます(CALL.62)。体に2つ目のイルミナを埋め込んで力を増したドルキの前に、カブトは一度は恐怖に負けて逃げ出しました(アニヲタWiki)。しかしアゲハが絶体絶命になったとき、カブトはアゲハをかばい、生身でドルキの爆撃を受けます(集英社8巻紹介文、CALL.63〜64)。

アニヲタWikiが引くカブトの独白によると、自分に迫る死の危険が光のオーラになって見えるからこそ、爆風が白い光に包まれて見え、飛び込む瞬間も怖くはなかったといいます。アゲハに大丈夫だと言ってやろうとしたものの、喉がひどく痛んでやめた、とも語られます。

窮地を救ったのは、10年分成長したエルモア・ウッドの子どもたちでした。カイルがドルキを倒し、瀕死のカブトは地下の拠点「天樹の根」でヴァンのキュアを受けます。目覚めたのは、根に着いた日から数えて9日目でした(ファンWiki「ゲームの経過」の日程表)。この昏睡のあいだに、カブトは心の中でヨヨと出会っています(10巻)。現代へ戻れたのは、アゲハ・雨宮・カブトの3人だけでした。

修業と5回目のゲーム|アッシュとの戦い(13〜14巻)

現代に戻ったカブトは、イアンのもとでイアン式ライズを身につけます(13巻、CALL.108〜110)。5回目のゲームにはアゲハ・雨宮とともに参加し(CALL.110〜111)、到着直後にW.I.S.Eの精鋭部隊スカージのリーダー、デルボロに見つかりますが、カイルたちに救われました(アニヲタWiki)。

まもなく、第二星将ジュナスとスカージが根を襲撃しました。カブトは鎖使いのネッカの攻撃からフレデリカを救い(CALL.117〜118)、フレデリカから住人の避難と守りを託されます。住人たちを実験材料として連れ去ろうとしていたスカージのアッシュに、カブトは攻撃をやめるよう言い、戦いになりました(アニヲタWiki、英語版ファンWiki)。

アッシュのトランプやコインによる攻撃は、弱者(チキンソウル)のパラダイムでことごとく逸らされます。最後にアッシュが大技を放つと、ヨヨが爆発と粉塵の生んだ脅威を集め、カブトがイアン式ライズで懐に潜り込んで、その脅威をアッシュの胸に返しました(CALL.119「報い」前後)。日本語版Wikipediaや英語版ファンWikiは、これでアッシュが死亡したとしています。勝ったあと、カブトは、こういう戦いはやはり気持ちのいいものではないと漏らしました(アニヲタWiki、英語版ファンWiki)。逃げてばかりだった男が、戦いを嫌う芯を変えないまま成長したことを示す場面です。

首都アストラル・ナーヴァ|シャオとマリーを守る(15〜16巻)

さらわれたマリーたちを救うため、アゲハたちはW.I.S.Eの首都アストラル・ナーヴァに攻め込みます。カブトはシャオとともに首都へ潜入しました(CALL.133)。マリーをさらったヴィーゴがミスラに殺されたあと、マリーのもとへ駆けつけたシャオとカブトにミスラが攻撃を加えます。シャオはマリーをかばって右腕を失い、カブトはヨヨの力でミスラの攻撃を逸らすのが精一杯でした。ヨヨはミスラを、死の概念をはるかに超えた存在だと表現しています(CALL.138「反転」前後。ファンWiki、連載当時のファンブログ)。ファンブログは、ミスラがシャオたちに攻撃を加えたあと急いで弥勒のもとへ向かったと読んでおり、ファンWikiは、ミスラがカブトのパラダイムを破れずに戦いを離れ、マリーはシャオやカブトらの活躍で助け出されたと整理しています。

結末とその後

現代の最終決戦|約束の涙を抱えて逃げる(16巻)

グリゴリ07号の力で、アゲハたちは2009年10月25日の現代へ戻ります。連載当時のファンブログのメモによると、一行が3回目のゲームで叔父のシェルターから見つけた新聞記事(2009年10月29日に北海道の古都霊山(ことだまさん)へ小さな隕石が落ちた)を雨宮が思い出し、それがW.I.S.Eの狙う「約束の涙」だと考えます。カブトの金儲けの企みから始まった山荘探しが、最後の決戦の手がかりにもなったわけです。

アゲハ・雨宮・カブト・祭・影虎の5人は北海道へ向かい、落下の場所と時刻を知っていた強みを生かして、W.I.S.Eより先に約束の涙を手に入れました(CALL.141「約束の涙」)。アゲハが弥勒と向き合うためにその場に残り、雨宮とカブトが約束の涙を持って逃げました。2人を見つけたウラヌス(未来では第三星将)は周囲を凍らせて襲いかかりますが、自衛隊の砲撃に足止めされます(CALL.142「王冠」。アニヲタWiki、連載当時のファンブログ)。結局、約束の涙は雨宮たちの手からミスラに奪われてしまいました。

アゲハと弥勒が手を組んでミスラを倒したあと、カブトは周り一帯に脅威が迫っていると知らせに駆けつけます。弥勒・グラナ・ジュナスを前にして縮み上がるのも、いかにもカブトらしい姿です(CALL.144「生きろ」。連載当時のファンブログ)。

LAST CALL|外れた宝くじ

最終話のLAST CALL「繋がる世界」で、アゲハは半年の眠りから目覚めます。その間の出来事として、カブトが3回目のゲームで手に入れた、必ず当たるはずの宝くじの番号が外れ、未来は変わってしまったとこぼしていたことが語られます(連載当時のファンブログ2件)。未来の情報で楽をしようとした企みが外れる結末は、世界の時間の流れが変わったことを示す描写と読めます。

小説版『another call 2』の10年後

漫画の先は、SOWによる小説『PSYREN -サイレン- another call 2 未来は君の手の中に』(JUMP j BOOKS、2011年3月4日発売)が描いています。表題作はアゲハが赤いテレホンカードを手にしてから10年後の物語です。刊行当時のファンブログによると、カブトはこの10年後の物語で、叔父の跡を継いで戦場カメラマンになっています。日本語版Wikipediaは、W.I.S.Eとの最終決戦後に戦場カメラマンとなったカブトが、PSIを使ってどんな危険な戦場からも帰ってくることから「奇跡の男」と呼ばれていると説明し、ファンWikiは、物語から少なくとも2年後にはそう呼ばれていたとしています。「奇跡の男」がいつの時点の話で、小説のどの短編によるものかは、小説本文では確認できていません。同じ巻の短編「オブザーバー」は、アゲハを取り調べた刑事・武智祐介が中心の話で、歴史改変についての答えが武智とカブトの会話を通じて描かれるといいます(ファンWiki、刊行当時のファンブログ)。

考察ポイント:カブトの成長は、臆病さを捨てる物語ではありません。危険を見て逃げるための目が、仲間をかばって飛び込むための目になり、最後は臆病だからこそ広く働く弱者(チキンソウル)のパラダイムに行き着きました。逃げた問題は誰かに押し付けられるという叔父の言葉に対するカブトの答えは、逃げ足を捨てるのではなく、守りたい相手の前でだけは逃げないことだったと読めます。

声優は野津山幸宏

TVアニメでカブトを演じるのは野津山幸宏です。2026年1月23日、朝河飛龍役の武内駿輔、望月朧役の斉藤壮馬とともにTVアニメ公式サイトで発表されました。野津山はコメントで、カブトのユーモアあふれるところ、可愛いところ、かっこいいところを表現できるよう、精一杯「逃げずに」アフレコに臨んだと語っています。逃げるのが得意なキャラクターにかけた言い回しです。

2026年3月のAnimeJapan 2026のステージにも出演し、観客に「テレホンカードって分かりますか?」と問いかけて会場の笑いを誘いました(公式サイトのレポート)。2026年10月15日時点で、このほかに野津山がカブトについて語ったインタビューは見つかりませんでした。

所属事務所ステイラックの公式プロフィールによると大阪府出身で、出演作の欄には『東京リベンジャーズ』林良平役、『終末のワルキューレ』ヘイムダル役、『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- Rhyme Anima』有栖川帝統役などが並んでいます。なお、TVアニメ公式サイトの第1話・第2話のあらすじには、カブトはまだ登場していません。

人気・評価

英語版ファンWikiの記録によると、連載中に週刊少年ジャンプで行われた人気投票(結果はCALL.66・67の扉で発表)で、カブトは356票の8位でした。1位はアゲハ、2位は雨宮でした。

作者の構想が途中で変わったキャラクターとしても知られています。ファンWikiによると、作者はカブトを当初、4回目のゲームでアゲハをかばう場面で死なせる予定だったと語っています。刊行当時のファンブログは、これが単行本16巻の話の合間にある作者のつぶやき欄で明かされた話で、8巻で死なせるつもりだったが思い直したという内容だったと伝えています。アニヲタWikiの項目には「作家の決断までも操作してみせた男」というタグも付けられています。

まとめ

霧崎兜(カブト)のポイントを整理します。

  • 金と女の子が好きなお調子者の19歳。逃げ足と観察眼を自負し、暴力を嫌う
  • 3回目のゲームで叔父の亡骸を見つけ(4巻)、ドルキ戦で死の脅威が白い光で見える幻視「脅威(メナス)」に目覚めた(5巻)
  • 4回目のゲームでアゲハをかばって瀕死になり、昏睡のあいだに心の中のヨヨと出会った
  • イアン式ライズと弱者(チキンソウル)のパラダイムで、根の襲撃ではアッシュを倒し、W.I.S.Eの首都ではシャオとマリーを守った
  • 現代の最終決戦では雨宮と約束の涙を持って逃げ、最終話では必ず当たるはずの宝くじが外れた。小説版の10年後では戦場カメラマンになっているとされる

逃げることを恥じず、その目で危険を見抜き、守るべき相手の前では踏みとどまる。カブトは、臆病さを抱えたまま強くなったキャラクターです。原作では2巻の2回目のゲームから登場します。TVアニメで野津山幸宏がこのお調子者をどう演じるのかにも注目です。