PSYREN -サイレン-は、岩代俊明が『週刊少年ジャンプ』で2008年から2010年まで連載した漫画で、2026年10月からTVアニメが放送されています。サングラスにオールバック、柄シャツからのぞく全身の傷跡。見るからに裏社会の男である雹堂影虎(ひょうどう かげとら)は、雨宮桜子の師・八雲祭の知人で、2回目のゲームから戻ったアゲハたちに身体強化のPSI「ライズ」を叩き込んだ人物です。自称「関東最強のライズ使い」。その自称に見合う戦いぶりを重ね、物語が進むほど強さの底が見えなくなっていきます。この記事では、原作漫画の最終話までの影虎の歩みを、経歴・能力・人間関係・未来での運命の順に解説します。作品全体の流れはストーリー全ネタバレ解説でまとめています。

ネタバレ警告:この記事は原作漫画の最終話までの重大なネタバレを含みます。影虎の未来(サイレン世界)での運命、終盤の決戦の展開、後日談の小説の内容まで書いています。アニメで初めて作品に触れる方はご注意ください。

この記事の基準:原作漫画(全16巻・全145話)の内容を扱います。各巻の収録話(CALL.の番号と題)は集英社の公式目次で、影虎が関わる巻のあらすじは集英社の単行本紹介文で確認しました(影虎の名前が出てくるのは6巻と11巻)。人物の細部は、ファンWiki(PSYREN -サイレン-@wiki)、英語版ファンWiki(psyren.fandom.com)、日本語版Wikipedia、アニヲタWiki、連載当時の『週刊少年ジャンプ』の感想ブログを照らし合わせて整理しています。どの出来事が何話(CALL.)にあたるかは、ファンWikiに残る連載時の誌面のあらすじ・アオリの書き起こし、英語版ファンWikiの話ごとの記述、連載当時の感想ブログで確かめました。集英社は話ごとのあらすじを公表していないため、話数の対応はファンの整理による目安です。小説版の内容は小説版のものだと明記し、公式の試し読みで確かめた内容と、ファンWiki・刊行当時の読者の感想による紹介を区別しています。TVアニメの公式サイトのSTAFF&CASTに載る7人にも、第2話までの出演者(ABEMA TIMESのまとめ)にも、2026年10月15日時点で影虎役はいません。いずれも2026年10月15日に確認した情報です。

雹堂影虎の基本プロフィール

項目内容
名前雹堂影虎(ひょうどう かげとら)
初登場4巻。CALL.26「前へ」の終わりに姿を見せ、CALL.27「ライズ」でライズの教官として登場(連載時の誌面のアオリの書き起こし)
立場裏の世界で、PSIを使う者が絡んだ揉め事を処理する「トラブルバスター」。元は関東衆英会に属していた(ファンWiki)。生まれつきのサイキッカーで、サイレンのゲームの参加者(ドリフト)ではなかった
外見サングラス、オールバック、柄シャツ、ネックレス、全身の傷跡(英語版ファンWiki)
PSIライズ特化型。固有の技名はない。自称「関東最強のライズ使い」
好きなもの猫、モンブラン(ファンWiki、日本語版Wikipedia)
八雲祭との関係命の恩人として「姐さん」と呼んで慕う。初登場の時点で22回プロポーズし、すべて断られている
TVアニメの声優公式サイトのSTAFF&CASTに載る7人にも、第2話までの出演者(ABEMA TIMESのまとめ)にも影虎役はいない(2026年10月15日時点)

性格・特徴|強面の裏にある漢気

影虎は風貌どおりのヤクザ者で、本人はそれを隠しているつもりでも周りには知れ渡っています(ファンWiki)。ファンWikiは性格を「熱血単純バカ」と評しつつ、やむにやまれぬ事情で罪を犯した東雲嵐と夢路晴彦のために体を張るなど、漢気にあふれる人物だと説明しています。英語版ファンWikiは、まじめで決断が早い一方、冗談を真に受けて怒りやすいところもあると書いています。

強面とは裏腹に、猫とモンブランが大好き。子どもへの接し方は資料で説明が分かれ、日本語版Wikipediaは子ども好き、アニヲタWikiは嫌いではないが泣かれるので苦手、としています。英語版ファンWikiは、女性や子どもには決して手を上げない人物だと説明しています。

ファンWikiによると、影虎は身体能力が高すぎるあまり、ついて来られる者がいない孤独も抱えていました。スピード重視のライズを使うアゲハを高く買っているのは、そのためだと説明されています。

八雲祭との出会いは資料で説明が違う

影虎が祭に命を救われたいきさつは、資料によって書き方が異なります。アニヲタWikiは、影虎が昔おばあさんのママチャリにひかれ、ゴミ捨て場で死にかけていたところを祭に助けられた(そのうえ吐瀉物まみれにされた)と説明しています。ファンWikiと日本語版Wikipediaは、ヤクザどうしの抗争で重傷を負ったところを救われたと説明し、ファンWikiは傷を治したのは祭に頼まれたイアンだとしています。英語版ファンWikiは、ひき逃げの話を影虎の言い分とし、実際は抗争での銃創だったと書いていますが、漫画本編でそう明かされる場面は今回確認できませんでした。2人が出会うまでの詳しい経緯は、後述する小説版で描かれています。

PSI能力|技名のない「ライズ特化型」

PSYRENのPSIは、物理的な力を放つ「バースト」、精神に働きかける「トランス」、身体能力を高める「ライズ」の3種類が基本です。ライズは主に、筋力・速さ・頑丈さ・持久力を高める「ストレングス」と、五感や反射を研ぎ澄ます「センス」に分けて説明されます。英語版ファンWikiは、体の回復力を高める「ヒーリング型」を加えて3つに分けています。

影虎はこのライズだけで戦います。ファンWikiは「ライズ特化型の天才」と呼び、ストレングスとセンスのどちらにも抜群の才能があると説明しています。英語版ファンWikiによると、作中でバーストやトランスを使う場面はありませんが、使えないと明言されたわけでもありません。ほかのキャラクターのような固有の技名もなく、ファンWikiの「PSI能力一覧」にも影虎の技は載っていません。終盤で影虎が受ける「毘沙門・叢(びしゃもん・むら)」は、ジュナスの技です。

時期影虎のライズを示す場面資料
4巻ライズ特訓のクリア条件は、影虎の顔にパンチを一発当てること連載当時の感想ブログ
6巻夢路晴彦の100%の電磁’n(ショッカー)をまともに受けても死なないファンWiki
6巻犬居清忠に金属の棒で、常人なら46回は死ぬほど殴られても生きていたファンWiki(表現もファンWikiのもの)
11巻ジュナスの刃を額で受けてわずかな出血ですみ、ライズの切れたジュナスを豆粒ほどに見える遠くまで蹴り飛ばすファンWiki
11〜13巻逃げるジュナスを三日三晩追い回しても、息がわずかに上がるだけファンWiki
15〜16巻サイレン世界の大気でライズが引き上げられ、毘沙門・叢を受けてもわずかな傷ですむ。朧は、もう殺すことはできないと評するファンWiki

ファンWikiによると、影虎は犬居の拷問を生き延びたあと、さらに力が増したと語っています。英語版ファンWikiは、死にかけて生き延びるたびに体がいっそう頑丈になると説明し、サイレン世界で見せた傷がすぐにふさがる高速の再生を、ヒーリング型のライズとしています。日本語版Wikipediaは、頑丈な体から「不死身の影虎」と呼ばれていると書いていますが、作中で誰がそう呼ぶのかは確認できませんでした。ライズの仕組みと影虎の強さの記録は図2にまとめています。

雹堂影虎のライズの内訳と、現代とサイレン世界での強さの記録をまとめた図
図2:影虎のライズ|現代とサイレン世界での強さの記録(ファンWiki、英語版ファンWikiから作成)

人間関係|八雲祭を軸にした大人たち

影虎の人間関係は、命の恩人である八雲祭を中心に広がっています。主な関係は図1のとおりです。

雹堂影虎と八雲祭、イアン、東雲嵐、夢路晴彦、犬居清忠、ジュナス、カプリコ、アゲハたちの関係図
図1:雹堂影虎の人間関係(ファンWiki、英語版ファンWiki、日本語版Wikipedia、アニヲタWiki、連載当時の感想ブログから作成)

八雲祭|命の恩人で「姐さん」

影虎は祭を「姐さん」と呼んで慕い、初登場までに22回プロポーズして、すべて断られています(ファンWiki)。祭の頼みでアゲハたちのライズ特訓を引き受けたのも、この関係があってのことです。ファンWikiによると、祭は影虎の一世一代の告白を受けた場面では、意外にうぶな一面を見せました。終盤では、ゲームをクリアした祭とともにサイレン世界へ乗り込み、最終話では2人が一緒に暮らしているように描かれます(連載当時の感想ブログ)。祭の側から見た2人の関係は八雲祭のキャラクター解説で扱っています。

イアン|同じ人に惚れた犬猿の仲

キュア使いのイアンも祭に惚れており、プロポーズは12回で全敗です。陰気で物静かなイアンと、正反対の性格の影虎は犬猿の仲です(ファンWiki)。それでも影虎は、必要なときにはイアンを頼ります。犬居事件のあと、東雲嵐の妹・千架はイアンのキュアで昏睡から目を覚ましました(日本語版Wikipedia、ファンWiki)。英語版ファンWikiは、影虎がイアンに頼み込んだと説明しています。

東雲嵐と夢路晴彦|敵から恩義を感じる仲間へ

嵐と晴彦は、犬居と組んで闇金の金庫から現金を盗んでいた窃盗グループの一員で、影虎が追っていた相手でした。事件のあと、影虎が関東衆英会の組長・三好に体を張って嘆願したことで、2人は罪を許されます(ファンWiki)。日本語版Wikipediaによると、影虎は真犯人である天戯弥勒を追うために2人の身柄を引き受けました。晴彦は反発しながらも影虎の調査に同行し、ジュナスとの戦いでは影虎の危機を救います。ファンWikiは、2人とも救ってくれた影虎に強い恩義を感じていると説明しています。

犬居清忠|影虎を罠にかけた男

窃盗グループの中心人物で、自分を追う影虎を罠にかけて山荘に捕らえ、痛めつけた相手です。正体はW.I.S.Eの構成員でしたが、天戯弥勒に記憶を改ざんされ、操られていました(ファンWiki)。

ジュナスとカプリコ|宿命のライバル

W.I.S.E第二星将のジュナスとは、現代のはるかぜ学園で激突しました。全力で逃げる自分に余裕で追いつきながら引き上げていった影虎を、ジュナスはライバル視するようになります(アニヲタWiki)。ジュナスとともにいた少女・八星理子は、のちのW.I.S.E星将カプリコです。影虎は、ジュナスが小さな子どもをだまして連れ去ったと考えていましたが、終盤の決戦でカプリコが戦えなくなったジュナスを影虎からかばったことで、その見方を改めます。感想ブログは、この場面で影虎の誤解が解けたと読んでいます。

アゲハたち|ライズの教え子

アゲハ・朝河飛龍・望月朧・霧崎兜は、影虎のライズ特訓を受けた教え子です(カブトは途中で抜け、のちにイアンからライズを習います。ファンWiki)。のちに捕らわれた影虎を救い出すのは、アゲハとエルモア・ウッドの子どもたちでした。アゲハの歩みは夜科アゲハのキャラクター解説で詳しく扱っています。

物語での歩み(巻・CALL順)

ライズの師として登場(4巻)

2回目のゲームで実力不足を痛感したアゲハたちは、身体能力を強化するライズの特訓に取り組みます(集英社4巻紹介文)。祭が紹介した講師が影虎で、CALL.26「前へ」の終わりに姿を見せ、CALL.27「ライズ」で教官として登場して、関東最強のライズ使いを名乗ります(連載時の誌面のアオリの書き起こし、連載当時の感想ブログ)。連載当時の感想ブログによると、特訓のクリア条件は影虎の顔にパンチを一発当てること。アゲハは攻撃をかわすスピードを、飛龍は攻撃に耐える守りをイメージしてライズをつかんでいきました。英語版ファンWikiによると、朧は影虎の呼吸に合わせて意識の死角に入り込み、すれ違いざまにサングラスを奪っています(CALL.28)。カブトは途中で叔父の山荘へ出かけ、特訓を抜けています(同)。

闇金窃盗事件と犬居清忠(6〜7巻)

3回目のゲームのあと、祭の呼び出しで雨宮とプールに来たアゲハの前に影虎が現れ、ある依頼を持ちかけます(CALL.45「夏空」〜CALL.46、誌面のあらすじの書き起こし)。PSIがからむ事件の手伝いでしたが、アゲハは断りました(英語版ファンWiki)。集英社の6巻紹介文にあるとおり、影虎はPSIを使う連続闇金窃盗犯たちを追っていました。英語版ファンWikiによると、影虎は嵐を追い詰めたところで犬居と対面し、嵐のトリック・ルームに閉じ込められ、晴彦の電撃を受けて捕らわれます(CALL.47〜48)。誌面のアオリも、CALL.47の終わりで影虎が罠にかかり、CALL.48で敵の能力に捕らわれたと伝えています。

英語版ファンWikiによると、影虎は山荘の地下で縛りつけられ、犬居に何時間も殴られ続けました(CALL.50)。食事を運んできたのは、犬居の弟「三郎」を名乗る青年です。日本語版Wikipediaによると、組長の三好は影虎を助けるため、アゲハたちに影虎の小刀を託しました。アゲハとエルモア・ウッドの子どもたちが山荘に突入し(CALL.50「突入作戦」)、アゲハとカイルが犬居を倒します(CALL.53「痛み」)。

ところが、捕らえた犬居は弟の身を案じ続けます。英語版ファンWikiによると、ここで影虎は、犬居のただ1人の弟が20年以上前に亡くなっていると明かしました(CALL.54「兄弟」)。直後、犬居は口から弥勒のPSI「生命の樹」を生やされて絶命します(ファンWiki)。三郎を名乗っていた青年こそ、W.I.S.Eの創始者・天戯弥勒でした(CALL.55「ミロク」、誌面のあらすじの書き起こし)。集英社の7巻紹介文は、この男を、口封じのために犬居を殺した恐るべき力を持つ男と紹介しています。

はるかぜ学園とジュナス(10〜13巻)

4回目のゲームのあと、影虎は祭の依頼を受け、嵐と晴彦を連れて、弥勒が育った孤児院・はるかぜ学園を訪ねます(10巻のCALL.89「雨宮」の終わり、誌面のあらすじの書き起こし)。集英社の11巻紹介文は、弥勒の情報を求めて学園を訪れた影虎たちが、そこにいた後の星将ジュナスと激突する展開を紹介しています。ジュナスはグリゴリ実験体05号で、学園で絵を実体化する少女・八星理子を連れ出そうとしていました(ファンWiki)。

英語版ファンWikiによると、ジュナスは学園の職員を殺し、嵐も傷を負います。誌面のあらすじでは、互いにライズを使う超高速の戦いで影虎が一歩リードし(CALL.91「理子」)、晴彦の援護でジュナスをあと一歩まで追い詰めます(CALL.92「まじん」)。英語版ファンWikiによると、影虎はジュナスのPSI「阿修羅・解(あしゅら・かい)」で右腕を大きく焼かれながらも、晴彦の電撃でPSIを解かれたジュナスを蹴り飛ばしました。そのジュナスを受け止めたのが、理子が描いて生み出した巨大な「まじん」です。影虎はさらに逃げるジュナスを三日三晩追い続け、子どもを連れたジュナスには手を出さないまま、やがて引き上げました(13巻のCALL.108「闇夜の蠢き」)。

英語版ファンWikiによると、この追跡のせいでジュナスは、弥勒がグラナに挑んだ戦いに駆けつけられませんでした。ファンWikiも、はるかぜ学園の情報が影虎たちに伝わっていない歴史では、ジュナスは弥勒とともにグラナと戦っていたようだと書いています。

サイレン世界へ|祭とともにアストラル・ナーヴァへ(15〜16巻)

5回目のゲームで、アゲハたちはW.I.S.Eの首都アストラル・ナーヴァへの攻撃に踏み切ります。そこへ駆けつけたのが祭と影虎でした(CALL.133「待たせたな」)。ファンWikiによると、ゲームをクリアした祭のカードの度数が1だけ戻り、祭は、サイレン世界で雨宮が碓氷から奪ったカードを影虎に渡して、2人でサイレン世界へ来ました。カードの出どころの説明は資料で分かれ、日本語版Wikipediaは影虎が雨宮(桜子)から未使用のカードを受け取ったとし、英語版ファンWikiは祭自身が碓氷の持っていたカードを手に入れていたとしています。サイレンドリフトではなかった影虎が、ドリフトとして未来に立つのはこのときだけです。連載当時の感想ブログによると、影虎は祭の説明も待たずに公衆電話へ向かおうとし、これでやっと祭と一緒になれる、地獄でも死ぬまで付き合うと前から言っている、と告げます。祭は顔を真っ赤にしました。

連載当時の感想ブログによると、CALL.134「葬送曲」で祭はグラナと、影虎はジュナスと戦いを始めます。ジュナスにとっては、10年前に追い回された屈辱を晴らす再戦です。影虎は、小さな子どもをだまして連れ去った相手としてジュナスを挑発しました(感想ブログ)。英語版ファンWikiと感想ブログによると、影虎はカプリコの巨大禁人種を一撃で破壊し、ジュナスの毘沙門・叢を全身に浴びてもすぐに再生してみせます。

決着はつきませんでした。本性を現したW.I.S.E元老院のミスラによって、ジュナスはイルミナの力を奪われ、戦えなくなります(CALL.139「崩壊」、感想ブログ)。カプリコはそのジュナスをかばい、なぜ守るのかを問う影虎に、この人を愛しているからだと答えました(アニヲタWiki、日本語版Wikipedia、感想ブログ)。感想ブログによると、影虎はカプリコにジュナスのそばを一生離れるなと告げ、自分にも守らなければならない人がいると、2人を残して祭のもとへ向かいます。

未来(サイレン世界)での影虎の運命

影虎は、アゲハたちが見た未来の歴史にも何度か登場します。現代での出来事によって未来の姿が変わるため、歴史ごとに影虎の運命も異なります。

4回目のゲームの未来|祭とともに戻らなかった

8巻のCALL.70「転生の日③」で語られた歴史では、影虎は嵐や晴彦とともに弥勒を探し続けていましたが、唯一のつながりだった犬居が死んだため手がかりを失っていました。宣戦の儀の前日、単独でW.I.S.Eを追って罠にかかり、重傷を負った祭が見つかります(ファンWiki)。英語版ファンWikiによると、祭を抱えて戻ってきたのは影虎でした。祭は高熱にうなされ、体に奇妙な紋様が浮かび、イアンのキュアでも治りませんでした。影虎はさまざまな怒りを抱えながら祭の看病を続け、宣戦の儀には行かずに終わります(ファンWiki)。

転生の日のあとに目を覚ました祭とともに、影虎はイアンや嵐たちと地上で生存者の救助を続けます。その最中にW.I.S.Eのグラナとシャイナに遭遇し、イアンたちを逃がして祭と2人で立ち向かい、戻りませんでした。当時の誌面のあらすじ(ファンWikiの書き起こし)は、転生の日のあと祭・影虎・イアンの3人が避難民を救うために犠牲になったとまとめています(イアンは2人と別れて根に戻ったあと、休まず負傷者を治療し続けて力尽きた。ファンWiki)。2人について、ファンWikiは命を落としたとされると書き、日本語版Wikipediaは行方不明と書いています。死ぬ場面そのものは描かれていません(英語版ファンWiki)。

5回目のゲームの未来|2008年夏から行方不明

5回目のゲームで訪れた未来では、歴史が変わり、イアンは生きていました。一方、ファンWikiによると、この歴史の祭と影虎は2008年夏に謎の失踪をしています。連載当時の感想ブログは、CALL.133で2人がサイレン世界に現れたことから、この失踪を2人の参戦の伏線だったと読んでいます。現代の側でも、小説2巻の公式試し読みに、アゲハたちの帰還が丸一年ずれたあいだ、イアンが八雲祭たちがいなくなったことで沈んでいたと書かれています。

考察ポイント:物語の大半で、影虎は未来を見る力もサイレンへの参加資格も持たない「現代の大人」でした。それでも現代での行動は未来を確かに動かしています。影虎が罪を許させた嵐と晴彦は、4回目の未来で天樹の根の暮らしを支えていました(嵐は人の転送、晴彦は電力の供給。ファンWiki)。はるかぜ学園での追跡は、ジュナスを弥勒とグラナの戦いから引き離しました。2度の未来で祭とともに姿を消した影虎が、最後は自分の足で未来に立ち、祭の隣で戦う。運命を書き換えるのはドリフトだけではない、という作品の主題を、影虎は大人の側から体現していると読めます。

結末とその後

崩壊していくサイレン世界から、07号は残る力でドリフトたちを現代へ送り返します。行き着いた先は、出発から1年あまり後の2009年10月25日でした(CALL.140「解放」)。英語版ファンWikiは、送り返されたドリフトに影虎も含めています。

現代では「約束の涙」をめぐる最後の戦いが始まります。連載当時の感想ブログによると、CALL.142「王冠」では、未来と同じようにアゲハと弥勒、影虎とジュナス、祭とグラナが、現代でも向き合う構図になりました。感想ブログによると、影虎は祭やアゲハたちと5人で北海道へ向かい、アゲハを斬ろうとしたジュナスを止めます(CALL.142)。最後はアゲハと弥勒が手を組んでミスラを倒しました(CALL.144「生きろ」)。

最終話のLAST CALL「繋がる世界」では、半年眠っていたアゲハが目覚め、雨宮と07号を迎えに行きます。連載当時の感想ブログ2つによると、影虎と祭も登場し、影虎が時間の流れの矛盾を口にすると、祭は運命は自分で決めるものだと答えます。2つのブログはどちらも、2人が一緒に暮らしているように見えると書いています。

小説版で描かれた影虎

小説『PSYREN -サイレン- another call 1 紅蓮の聖誕』(SOW、2010年9月3日)には、影虎を主人公にした「闘う侠」が収録されています。ファンWikiによると、影虎が祭と出会うまでの物語で、関東衆英会の組長・三好の孫娘・鳴宮阿澄をめぐる中華マフィア「組織」との戦いが描かれます。家政婦として組に入り込んでいた黒滝に敗れ、体に風穴を開けられながらも再戦に挑む影虎は、暴走トラックを片手で止めるほどの素質を見せる一方、ライズはまだ十分に使いこなせていません。ファンWikiは、組長の三好に頼りにされていた描写から、組に残っていれば次期組長の座にいただろうと評しています。

小説『another call 2 未来は君の手の中に』(2011年3月4日)の表題作は、アゲハが赤いテレホンカードを手にしてから10年後を描く後日談です。刊行当時の読者の感想によると、フブキとイアンの結婚式をきっかけに仲間が集まる場面に、祭と影虎も登場します。ファンWikiは祭が影虎と結ばれたと書いていますが、刊行当時の感想は相変わらずの2人と伝えるにとどまり、小説で2人の関係を具体的にどう描いているかは確認できませんでした。

人気・評価

英語版ファンWikiの記録によると、連載中に『週刊少年ジャンプ』で行われたキャラクター人気投票(結果は第66・67話の扉で発表)で、影虎は596票で4位に入りました。上位は1位アゲハ、2位雨宮、3位朧で、主要人物のすぐ後ろに大人の脇役が食い込んでいます。ファンWikiの単行本一覧によると、11巻の表紙には祭やジュナス、八星理子とともに描かれました。

影虎の評価を支えているのは、登場時の印象と後半の活躍との落差です。いかにも途中で主人公たちに追い越されそうな強面の講師が、最終盤には星将ジュナスと渡り合い、作品屈指の頑丈さを見せます。TVアニメについて公式サイトは、2026年3月のAnimeJapan 2026のステージで原作のラストまでアニメ化されると明かされたと伝えていますが、公式サイトのSTAFF&CASTに載る7人にも、第2話までの出演者(ABEMA TIMESのまとめ)にも、2026年10月15日時点で影虎役はいません。

雹堂影虎の物語での歩みを、現代とサイレン世界の2つの流れに分けて巻順に並べた図
図3:影虎の歩み|現代とサイレン世界(集英社の目次・紹介文、ファンWiki、英語版ファンWiki、連載当時の感想ブログから作成。巻は目安)

まとめ

雹堂影虎の物語は、図3のように整理できます。

  • 八雲祭に命を救われ「姐さん」と慕う、ライズ特化型の生まれつきのサイキッカー。自称「関東最強のライズ使い」で、固有の技名は持たない
  • 4巻でアゲハたちにライズを教え、6〜7巻の犬居事件では捕らわれて救出される。事件後は東雲嵐と夢路晴彦の罪を許させ、2人を仲間にした
  • 11巻のはるかぜ学園でジュナスと激突し、三日三晩追い回して宿命のライバルになる
  • 4回目の未来では祭とともにグラナとシャイナに挑んで戻らず、5回目の未来では2008年夏から祭と行方不明とされた
  • 15〜16巻では祭とともにサイレン世界へ乗り込み、ジュナスと再戦。ミスラの出現で戦いは中断し、カプリコがかばうジュナスを見逃した
  • 現代に戻ったあとは北海道でジュナスと再び向き合い、最終話では祭とともに登場する

終盤に祭とサイレン世界へ渡るまで、影虎自身が未来を直接見ることはありませんでした。それでも、教え子を鍛え、罪を犯した若者を引き受け、敵の星将を追い詰めた現代での行動の一つ一つが、アゲハたちの戦いを支えていました。物語全体の流れはストーリー全ネタバレ解説もあわせてご覧ください。