転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めますは、謙虚なサークルが小説家になろうで連載しているWeb小説です。主人公のロイド=ディ=サルームは、サルーム王国の第七王子。その中身は、決闘で相手の上位魔術に見惚れて死んだ、庶民の貧乏魔術師でした。王位には興味がなく、望みは魔術を極めることだけ。それなのに魔人と天使を両手に宿し、魔王と友達になり、天界では偽りの神まで退けてしまいます。

この記事では、原作のWeb版(小説家になろう版)の本文をもとに、ロイドの前世と死因、強さの理由、前世の骨、偽名と使い魔、最新の第257話での状況までを整理します。

ネタバレ警告:この記事はWeb版の第1話から最新の第257話までの重大なネタバレを含みます。TVアニメ(第2期まで)がまだ描いていない大暴走の結末、前世の骨の正体、魔王や天界の神との戦い、最新章の展開まで書いています。

この記事の基準:話数と台詞は、小説家になろう版(作品コードN5657FV)の本文で確かめたものです(2026年10月26日に全257話を取得)。アニメの描写をもとにした紹介ではなく、原作Web版のネタバレ解説です。書籍版・漫画版・アニメとの違いは後半の節で分けて扱います。

ロイドの正体と現在(結論)

  • 前世:魔術学園でただ一人の庶民だった魔術師。公爵家嫡男の魔術書を盗んだと疑われて決闘になり、相手の上位魔術に見惚れて無防備に受け、死んだ(第1話)。前世の名前は本文で明かされていない
  • 転生:同じサルーム王国の王家に第七王子として生まれ変わった。ロイドは、死んだ直後に転生したと考えている(第2話)。物語の始まりで十歳、第233話でも十歳
  • 強さの理由:生まれ持った膨大な魔力に、前世で積んだ基礎と城の蔵書、一呼吸に百の呪文を束ねる詠唱技術が重なる。本人は「俺はただ好きなことを好きなようにやっていただけだよ」と言う(第197話)
  • 前世の骨:大暴走の発生地にできたダンジョンのボスは、5歳のロイドが死霊魔術で動かして埋めた、前世の自分の死体だった。倒さずに封じ、実験場にしている(第149話)
  • 使い魔:右手に魔人グリモ、左手に天使ジリエル。二人の「口」を借りて三重詠唱ができる。魔獣ベアウルフのシロも使い魔(第36話)
  • 最新話:第257話では、合体ゴーレム「グレートディガーディアン✕」で天宙城に突入し、クラウゼンの戦意を失わせた

ロイドと主な人物の関係をまとめたのが図1です。

ロイドとグリモ、ジリエル、シルファ、タオ、レン、ベアル、イド、サイアス、前世の骨の関係図
図1:ロイドをめぐる関係(小説家になろう版の本文から整理。点線はロイドの推測)

基本プロフィール

項目内容
名前ロイド=ディ=サルーム。第四王子ディアンからは「ロディ坊」と呼ばれる
立場サルーム王国の第七王子。父は国王チャールズ。王位継承とは縁遠い立場
初登場第1話「第七王子に転生しました」(名前が出るのは第2話)
前世魔術学園でただ一人の庶民。使える攻撃魔術は『火球』だけだった
使い魔グリモ(右手)、ジリエル(左手)、シロ
偽名ロベルト(第11〜35話)、ロジャー(第165〜166話)
性格魔術以外に興味がない。王位にも強さにも関心がなく、人の顔を覚えるのが苦手で、魔術に夢中になると周りの話が耳に入らない
能力呪文束による高速詠唱、二重・三重詠唱、吸魔の剣、空間転移、神聖魔術、古代魔術、『気』、自作の血統魔術など
アニメの声優小市眞琴。第1話の前世のロイドは福山潤(日本語版Wikipediaが出典に挙げる公式Xの投稿による)

前世の正体と死因

魔術学園でただ一人の庶民

第1話は、魔術師の祖ウィリアム=ボルドーの言葉「魔術師として大切なものは、先ずは家柄。次に才能。そして最後に努力である。」から始まります。前世の「俺」が通っていた魔術学園の学長が、入学式で引いた言葉です。前世のロイドは「庶民の生まれで大した才能もないと言われていた」ものの、魔術がただ好きでした。入学金は自分で働いて払い、教材は基礎の魔術書が一冊だけ。それでも毎日新しい発見があったといいます。

前世の暮らしは、後の話で少しずつ語られます。才能がなかったので、初めのうちは初歩の呼吸の修行ばかりしていたこと(第13話)、安い素材で触媒を調合していたこと(第20話)、賞金目当てで兵棋の大会に出たこと(第127話)、研究費欲しさに戦争へ志願していたこと(第129話)。前世の修行は今世でも生きていて、タオが「肺が焼け付くような痛み」と言う『気』の呼吸を、ロイドは前世の瞑想で慣れていたのか平気でこなしました(第14話)。

決闘で上位魔術に見惚れて死んだ

ある日、公爵家の嫡男の魔術書が盗まれ、疑いは学園で唯一の庶民である「俺」に向けられます。研究で忙しく人のことに構う暇はないと答えると、相手は激昂して決闘を申し込みました。戦いは嫌いでしたが、貴族の魔術を見たい気持ちに勝てず受けてしまいます。炎が渦を巻き、氷嵐が吹きすさぶ上位魔術を前に、彼は「見惚れて、無防備にそれを受け、死んだ。」。最期に考えていたのは、相手を恨むことではなく、自分を殺した魔術の術式のことでした(第1話)。後の話では、この決闘を「決闘という名の私刑」と振り返っています(第150・179・233話など)。

目を覚ますと赤ん坊になっていました。近づいてくる女性に身の危険を感じて『火球』を念じ、とっさに狙いを外すと、部屋の壁に巨大な穴が開きます。紋章から、そこが前世と同じサルーム王国の王家だとわかりました(第1話)。学園にいたころ新しい王子が生まれると聞いていたことから、ロイドは死んだ直後にこの体に転生したと考えています(第2話)。前世と今世の違いをまとめたのが図2です。

ロイドの前世と今世を比べ、前世の体が大暴走の発生地のボスになるまでを示した図
図2:前世と今世、前世の体のその後(小説家になろう版の第1〜2・9・13〜14・20・91・127・129・149・197話から整理)

前世を焼いた炎と、サイアス

前世の死因は、大暴走の章でもう一度浮かび上がります。アルベルト隊のもう一人の副官サイアス=ロー=レビナントは、シルファの説明では「サルームでも十指に入る大貴族、レビナント家の三男」で、国立魔術学園を首席で卒業した人物でした。ロイドは魔術学園が前世の母校だと気づき、三十前後のサイアスを見て「前世の俺が生きていれば、あのくらいだろうか」と考えます(第129話)。さらにアルベルトは、サイアスが学生時代、自分より優秀な生徒にいちゃもんをつけて決闘をふっかけ、とくに身分の低い者を標的にしていたと明かしました(第133話)。

第146話、山側の防衛でサイアスが一族の血統魔術『極色彩光炎』を放ちます。極彩色の炎の中には、氷嵐と豪雷が渦巻いていました。それを見たロイドは「――あれは前世での俺を焼いた炎だ。」と気づきます。ただしロイドは「ということはサイアスがあの時の……うーん、俺は人の顔を覚えるのは苦手だからな。十年以上前のことなどよく覚えていない。」と考えたところで、「……ま、どうでもいいか。そんなことより血統魔術だ。」と術式のほうへ興味を移してしまいます。ロイドは自分の血に術式を刻み、「本来の」極色彩光炎で対岸の森ごと魔物の群れを焼き払いました。周りはこれをサイアスの手柄と思い、期待に応えられなかったサイアスは修行の旅に出ます(第148話)。

考察ポイント:前世の決闘相手がサイアスだったかどうかは、第257話の時点でも確定していません。第1話の相手は「公爵家嫡男」と書かれ、サイアスは「レビナント家の三男」として紹介されています。一方で、母校が同じ、年齢が近い、学生時代に身分の低い生徒へ決闘をふっかけていた、という手がかりはそろっており、アルベルトの話を聞いたロイド自身も「あれ同じようなものだったのかもしれない」と思い返しています(第133話)。炎の描写も、第1話の「巨大な炎が渦を巻き、氷嵐が吹きすさぶ」と、第146話の極彩色の炎の中の氷嵐・豪雷が重なります。ただ、第2話のロイドは自分を殺した魔術を「高価な媒体を使用したごり押し」と振り返っており、血統魔術だったという第146話の気づきとどうつながるのかは書かれていません。サイアスは「私は必ず戻ってくる。それまで勝負はお預けだ」と言い残して旅に出たまま、再登場していません。

強さの理由:魔力・詠唱技術・「好き」

生まれ持った膨大な魔力

赤ん坊の『火球』が壁を吹き飛ばした時点で、前世とは別物の体でした(第1話)。グリモがロイドの右手に入ろうとした時には、体内の魔力密度が高すぎて「掌の皮一枚が限界だった……!」と悲鳴を上げています(第9話)。冒険者ギルドの測定では、魔力濃度を一割以下まで薄めても魔力値がAでした(第42話)。のちに魔王ベアルも、ロイドの「魂の器」を見れば、生まれた時から圧倒的な力を持っていたのは明らかだと言っています(第197話)。

前世の基礎と、城の蔵書

十歳までに、ロイドは城の図書館にある数百冊の魔術書すべてに目を通し、「前世で基礎をしっかりやっていたおかげか、難しい魔術書も理解は出来た」と振り返ります(第2話)。物体を操る制御系統魔術は七歳で極めており(第3話)、運動が苦手なロイドは、剣術の稽古でシルファの動きをこの魔術で写し取り、互角に見せかけていました(第2話)。第233話の導入では、恵まれた体に加えて「大陸屈指の蔵書を誇る城の図書館」や貴重な魔道具、使い切れない金を挙げています。

一呼吸に百の呪文を束ねる詠唱技術

ロイドの詠唱は「呪文束」と呼ばれる技術で、本人は「一呼吸に百の呪文を束にして突っ込んでいる」と説明します。魔人のグリモでも「束ねられるのはせいぜい二つか三つくらいっす!」と驚くほどでした(第9話)。グリモが右手の「口」になったことで、二つの魔術を同時に唱える二重詠唱が一人でできるようになり、天使ジリエルが左手に宿ってからは三重詠唱も可能になります(初めて使うのは第91〜92話の教皇ギタン戦)。ヴィルフレイ戦では、詠唱の終わりをずらして魔術を途切れなく張り直す「連環詠唱」も見せ、三重詠唱の『灰魔神牙』で四天王を消しました(第177話)。

見た魔術は吸い取って覚える

見たことのない魔術を自分のものにする手段も持っています。第48話で作った自分用の魔剣には、受けた魔術を吸い取る『吸魔』を込めました。理由は「見知らぬ魔術を撃たれた時にこれで捕えればじっくり調べれるから」。この吸魔の剣でジェイドの空間転移の術式に触れ(第62話)、のちに自分でも空間転移を使えるようになります(第71話)。サイアスの血統魔術を見て自分の血に術式を刻んだのも、天界の章の戦いで始祖の魔王の古代魔術を『吸魔』で吸い取り、その術式から「星移動」を編み出したのも(第229話)、同じ姿勢です。人からもよく学び、タオからは『気』、第六王女アリーゼからは魔獣使いの技、ディアンからは魔剣作り、ジリエルからは神聖魔術を教わりました。

本人の答えは「好きなことを好きなように」

第197話、ロイドに敗れたベアルは強さの理由を問いただします。「単純魔力量はともかく、その鍛え上げられた魔力線、魔術知識は努力なしでは到底成し得るはずがないだろう!」と食い下がるベアルに、ロイドは「本当だ。俺はただ好きなことを好きなようにやっていただけだよ」と答えました。魔術を極めるために使えそうなものは片っ端から取り組み、それが結果として強さにつながっただけで、「別に強くなりたくて努力したことなど、一度もないぞ」。ベアルは「ただ好きで研鑽を積み重ねてきたのだな。……勝てぬ訳だ」と笑います。

天界の章のあと、融合で得ていた神をも超える力が惜しくないのかと神に聞かれたときも、ロイドは「いや、全く」と即答しました。地の文は「そもそも俺は強さというものに興味がない」と続けます(第231話)。

考察ポイント:第1話の冒頭に置かれた「家柄、才能、努力」の言葉は、ロイドの二つの人生と対になっています。前世の彼は家柄にも才能にも恵まれませんでした。今世では王家という家柄と、生まれつきの魔力という才能を手に入れます。それでもロイド自身は、三つ目の努力を努力だと思っていません。ベアルが「力を、好敵手を追い求めた余と違い」と自分と比べたように、強さを目的にしないこと自体が、この主人公の強さとして描かれています。

大暴走の発生地にいた「前世の骨」(第149話)

前世が最も大きな形で返ってくるのが、第五部の最後の第149話です(図2の下段)。

大陸門の戦いのさなか、倒した魔物が死霊魔術でよみがえり、ロイドは遥か北に術者の気配を感じていました。このときロイドは「何故わざわざこの国を狙う?」と首をかしげています(第141話)。戦いが終わったあと、ロイドはグリモとジリエルだけを連れて、大暴走の発生地点とされながら遠すぎて調査されなかった北の地を訪れます。五年ほど前に来た時は何もない平原だった場所に、狭く深いダンジョンができていました。

最下層の大扉の奥で、骨を重ねた椅子に座っていたのは、ローブをまとった人骨です。ボロボロのローブや擦り切れたブーツは、ロイドが生前に身につけていたものでした。「この人骨は俺の前世での死体が白骨化した姿なのである」。

原因はロイド自身でした。五年前、死霊魔術を覚えたロイドは、死者の眠りを妨げるのはよくないと葛藤した末に、自分の死体なら構わないだろうと考えます。墓を掘り返し、抜けていた魂の代わりに魔術で魂を模造して埋め込み、強化の術式や崩れても再生する闇の衣を付け、「前世での悲願、あらゆる魔術を覚えさせたり」した結果、骨は言うことを聞かずに暴走しました。そこで骨を結界で封じ、誰もいないこの地に埋めて置き去りにしていたのです。死霊魔術でよみがえった死者は自分に近い存在ほど強く執着するため、ロイドは「――いや、狙ったのは俺か。」と、転生後の自分が狙われたのだと考えました。

骨は上位魔術『炎烈火球』をずらりと並べ、ジリエルは「邪神に匹敵する魔力量」と驚きます。ロイドは自作の血統魔術と軍事魔術で効率を上げた『火球』で、壊せないはずのボス部屋の大扉を溶かしましたが、骨は倒しませんでした。入口を結界で厳重に封じ、強い魔物がいるダンジョンを自分専用の実験場にしたのです。「それじゃあな」とかつての自分に別れを告げたロイドの感想は、「いやー、いい感じの実験場が手に入ってよかったよかった」でした。

第198話の「北の果てにある、名もなきダンジョン」は、ロイドが「かつて俺が色々やらかした末に生まれた超巨大ダンジョン」と説明する実験場で、第149話のダンジョンを指していると読めます。ロイドはここを魔王ベアルとの勝負の場にしています。ただし骨そのものは、第149話のあと第257話まで再登場していません。

偽名と呼び名

目立ちたくないロイドは、何度か別の名前を使っています。

名前使った場面
ロベルト第11話、城の外で魔術を試すため、『模写姿』の二重詠唱で自分とアルベルトの中間の姿に化け、出会ったタオにとっさに「俺はロ……ベルト」と名乗った。城には人形『木形代』にグリモを入れて身代わりに残した(第10話)。タオはその後もロベルトを探し回るが(第35話)、「ロベルト」の名は第35話を最後に本文に出てこない
ロジャー第165〜166話、ウィリアム学園で生徒会と学園愚連隊を掛け持ちしているのを隠すため、仮面姿で新人同士の「決闘の真似事」をした。愚連隊側のロイド本人が「ロジャー」、生徒会側の仮面の少年(中身はグリモが入った木形代)が「ロデオ」と呼ばれる。木形代の首がもげたのをごまかそうと、ロイドが『幻視天蓋』で戦い全体を幻に見せかけたため、一人で両方を演じていたこと、つまり掛け持ちがばれた
ロディ坊鍛冶師の第四王子ディアンの呼び方(第38話から)

「ロデオ」は、学園編より前の第68話で、第四王女サリアが「あなた確かロデオね。私の弟の」と弟の名前を覚え違えた名前でもあります。

使い魔と仲間

ロイドの周りには、魔術の研究のために手に入れた使い魔と、ロイドを慕う仲間が集まっています(図1)。

  • グリモ(右手):城の地下書庫の禁書に封じられていた魔人グリモワール。ロイドが攻撃魔術を数百回ぶつけて試した結果、土下座して使い魔になった(第8話)。右手のひらに「口」として住み、いつか体を乗っ取るつもりでいたが、学園編では元の主ヴィルフレイの手を払ってロイドの側に戻る(第177話。詳しくは緋のヴィルフレイの正体ネタバレ解説)
  • ジリエル(左手):天界の天使。戦いで魔力を使い果たして消えかけたところを、ロイドに魔力を注がれて助かり、契約を持ちかけた。本心はロイドの体に憑依して地上へ降りることだったが、左手のひらの口になった(第73話)
  • シロ:魔人パズズに操られていたベアウルフ。白い大型犬のような姿になってロイドに懐き、「じゃあシロで」と名付けられた(第34話)
  • シルファ:教育係のメイドで、元Aランク冒険者「銀の剣姫」。ロイドの世話と護衛を務める
  • レン:暗殺者ギルドにいた毒のノロワレ。ロイドに能力を制御する術式を刻まれ(第55話)、のちにメイドとしてロイドのそばにいる(第66話)
  • コニーとベアル:学園で出会った魔道具職人のコニーには魔王ベアルが宿っていた。ロイドは制限を外した『火球』でベアルに勝ち、コニーの頼みで友達になる(第197話。詳しくは魔王ベアルの正体ネタバレ解説)
  • タオ、イド、フィオナ:『気』の師のタオ、ロイドが作ったホムンクルスのイド、天宙城に同行するエルフの少女フィオナ

物語での歩み

第1話から最新話までのロイドの歩みを、話数順に並べたのが図3です。

ロイドの第1話から最新第257話までの歩みを話数順に並べた年表
図3:ロイドの歩み(小説家になろう版の本文から整理。区切りは本記事によるもの)

大きな流れは、ロイドが魔術を試したくて首を突っ込んだ件が、国を揺るがす事件に育っていくことの繰り返しです。そのたびに周囲はロイドを誤解して評価を上げていきます。第4話で「王位継承権などに最初から興味はございません」と答えると、父王は王位を望まず努力を重ねる姿と受け取って王位継承候補について考え直そうとし、第35話で王位継承権を辞退すると、今度は世界の覇王を目指していると誤解しました。大暴走では、総大将シュナイゼルの推薦で、十歳の身でアルベルト隊の副官に任じられます(第128話)。

本人の知らないところで、過去の行いが事件になって戻ってくるのもロイドの特徴です。前世の骨のほかにも、幼い頃に作って放っておいたホムンクルスは隣国で仮面の天才少年イドになって現れ(第104〜121話。放っておいた当時を「その時は俺もまだ六歳だった」と振り返る、第113話)、3、4年前にエルフの国へ出かけたときの火事は、エルフのあいだで「救国の英雄」の伝説になっています(第237〜241話)。各章の流れはWeb版ストーリー全ネタバレ解説で詳しく扱っています。

最新話(第257話)時点のロイド

第九部(第233話から)で、ロイドは皆が長生きできるよう、長寿の秘訣を学びにエルフの国へ向かいます。そこで出会ったフィオナは、古代のエルフ・クラウゼンが世界樹の力で作った人形でした(第252〜253話)。世界樹ダンジョンでロイドの魔力の一部は吸い取られており、空に浮かんだ天宙城は「俺から吸い取った魔力で動いている」ため、魔力の波長がロイドと同じです。ロイドは「俺の魔術も碌に効かなかったよ」と打ち明けています(第253話)。

そこで用意したのが、ディガーディアとイドのレオンハートの合体でした。出撃の朝、ロイドへの劣等感から留学したと打ち明けたリオンは「――勝てよ。ロイド。お前は僕の自慢の弟なんだからな」と送り出します(第255話)。完成した「グレートディガーディアン✕」(ロイドいわく略してグレディガ)に、ロイドはイドと乗り込みました(第256話)。

最新の第257話「潜入、天宙城。前編」で、ロイドはグレディガで天宙城の壁を掘り進み、エルフたちの棺が並ぶ広間にたどり着きます。フィオナが天宙城の来歴を語るあいだも、ロイドは棺の装置の分析に夢中で話を聞いていませんでした。一族の復活のために魔力を求めるクラウゼンに、ロイドは「俺の研究対象《なかま》になるんだったら、住む所くらいは用意してやるぞ?」(《なかま》は原文のルビ)と声をかけ、かえって怒らせます。クラウゼンが全力で放った『黒閃砲』を、ロイドは魔力障壁を解いたうえで指先で止め、エルフ用に作り変えられた古代魔術だと分析しました。「この辺で降参しないか?」という言葉に続いてグリモとジリエルが威圧を放つと、クラウゼンは「ば、化け物……!」とへたり込み、戦意を失います。

第257話の時点で城内にいるのは、ロイドとグリモ、ジリエル、フィオナ、突入の衝撃で気を失ったイドです。魔王ベアルは里帰り中で不在です(第253話)。一方、聖王と手を組んだギザルムは、第252話で遠くからロイドの様子をうかがい、ロイドの「周囲の人間」を「奴の力を封じるのに使えそうじゃあないか」と考えています。題名が「前編」なので、続きは次の話以降で描かれると考えられます。

まだ明かされていない謎

考察ポイント:Web版の第257話までで、ロイドについて答えが出ていない点を挙げます。
・前世の決闘相手がサイアスだったのか(第146話)。サイアスは第148話で旅に出たあと登場していません
・前世の名前。本文では明かされていません
・北のダンジョンに封じた前世の骨のその後。第149話以降、骨は描かれていません
・サリアが音楽を始めたきっかけになった、ロイドが生まれた日の空の爆発(第214話)。本文ははっきり書きませんが、赤ん坊のロイドの魔術と読める描写です
・ギザルムが、ロイドの周りの人間をどう使うつもりなのか(第252話)。第256話でも、王都を守る聖王のそばにいる黒い影が「折角見つけた奴の弱点だ。ここは温存し、しかるべき時に切り札として使うべきだろう。」と考えています
・第231話でロイドが「今度は魔界にも行ってみたいな」と考えていること。書籍11巻では魔界のパーティに招かれますが、Web版にない展開なので、Web版の答えとは限りません

書籍版・漫画版・アニメでのロイド

書籍版(講談社ラノベ文庫)

講談社の書籍1巻の紹介文は「決闘で相手の魔法に見とれてしまい俺は命を落とした――はずが、なぜかサルーム王国の第七王子・ロイドとして転生していた。」で始まり、「知識と才能に恵まれたロイドの魔術はすさまじい勢いで上達していき」と続きます。9巻の紹介文には「またもやロイドの過去のやらかしが明らかに!?」とあります。10巻と11巻はWeb版にない展開で、11巻の紹介文では、ロイドが魔界で研究して手に入れた魔術「時間遡行」を使い、荒廃したサルームの原因を調べます。

漫画版(マガジンポケット)

漫画版(作画 石沢庸介)は、2026年10月24日配信の第226話の時点で、学園編を描いています。講談社の漫画1巻の紹介文は、主人公を「魔術を極めたい!」というたった一つの想いを残して死んだ男として紹介し、「前世とは異なる桁違いの魔力量」を挙げています。漫画版の大暴走(スタンピード編)は、140万体の魔物と7体のSS級ダンジョンボスなど、Web版にない要素を加えて大きく描き直されています(講談社の巻紹介)。マガジンポケットの配信一覧では、第199話の題名が「極色彩光炎」(2025年4月19日)、第200話が「夢」(2025年5月3日)です。読者の感想ブログ(BLACK SWAN 2nd GIG)によると、漫画版では敵のナナシの死霊魔術の触媒にロイドの前世の「お兄さん」の頭蓋骨が使われており、第200話ではサイアスがその「お兄さん」に抱いていたコンプレックスを語っています(Web版の第149話の前世の骨とどう対応するのかは、感想からは読み取れません)。

TVアニメ

TVアニメでロイドを演じるのは小市眞琴です。公式サイトのキャストコメントで、小市眞琴はロイドを「魔術一筋10年(+前世)。だけどしっかりヒーローなんです!」と紹介しています。第1話の公式あらすじは、前世を「魔術を愛しながらも、才能と血統に恵まれず、魔術に焼かれて息絶えた魔術師」と書いています。日本語版Wikipediaが出典に挙げる公式Xの投稿(2024年4月2日)によると、第1話の前世のロイドを演じたのは福山潤です。アニメは第2期(第13〜24話)の教会編までで、大暴走や前世の骨はまだ描かれていません。2026年10月26日時点で第3期の発表は見当たりません。

人気投票

マガポケのキャラ人気投票(漫画版の読者投票)では、第3回(2024年5月実施)でシルファに次ぐ2位(4,979票)、第4回(2025年5月実施)で1位(3,231票)でした。第4回には「前世ロイド」も25位(109票)に入っています。

まとめ

  • 前世:魔術学園で唯一の庶民の貧乏魔術師。決闘で上位魔術に見惚れて死に、第七王子として転生した(ロイドは死んだ直後の転生と考えている)。前世の名前は明かされていない
  • 前世の炎:サイアスの極色彩光炎を「前世での俺を焼いた炎」と気づくが、サイアスが決闘相手かは第257話まで確定しない
  • 強さ:生まれ持った魔力、前世の基礎と城の蔵書、呪文束と二重・三重詠唱、見た魔術を吸い取って覚える姿勢。本人は努力したつもりがない
  • 前世の骨:5歳のときに死霊魔術で動かして北に埋めた自分の骨が、大暴走の発生地のボスになっていた。倒さずに封じて実験場にした
  • 偽名と使い魔:ロベルトとロジャー。右手にグリモ、左手にジリエル
  • 最新話:第257話で、グレディガで天宙城に乗り込み、クラウゼンの戦意を失わせた