ネタバレ考察

ゴーン・ガール結末までネタバレ! すべて夫ニックの計画どおり説

本記事は、躊躇なく全力でネタバレしていきます。
作品についてネタバレを読みたい人向けの記事です。
ネタバレが嫌な方は記事を読むことなく、おかえりください。
ネタバレに付き合ってくださる方、ありがとうございます!
そのまま読み進めてください。

ゴーン・ガール結末までネタバレ! すべて夫ニックの計画どおり説

実はこの作品のすべての展開は、被害者役として描かれている
夫、ニック・ダンの計画どおりだった説を提唱します。

ゴーン・ガールってどんな話?

ゴーン・ガールのテーマ

結婚とは支配であり、一対一の支配関係は相互支配である。

ゴーン・ガールの映画ジャンル

表の顔:サイコスリラー(ヤンデレ)
裏の顔:頭脳戦(ただしヤンデレ)
真の顔:ラブコメ(やっぱりヤンデレ)

ゴーン・ガールの見所

  1. 中盤、後半にある2回のドンデン返し
  2. 妻のエイミー役、ロザムンド・パイクの熱演「ネクタイ、ネクタイ」
  3. 残る解釈の余地

ゴーン・ガールの主演男優

ベン・アフレック

ゴーン・ガールの主演女優

ロザムンド・パイク

ゴーン・ガールの予告編でわかることは?

夫のニックが5年目の結婚記念日に家に帰ると、
妻のエイミーが失踪していた。
家の中には争った形跡があり、ニックは警察へ通報する。

メディアでも取り上げられ、大人数のボランティアとともに、
ニックはエイミーを捜索する。

ニックとエイミーが仲良く過ごす回想。
正反対に、ニックとエイミーがひどい剣幕で言い争う回想。
どっちが真実なのだろうか。

捜査状況が進むにつれ、ニックに不利な証言、証拠が出てくる。
世間はニックを犯人として扱い始める。
そんな世間にニックは訴える。

「ぼくは殺してない」

ニックの言葉とは裏腹に、
溺死体になったエイミー。

というところで、予告編は終わり。

予告編が適度にネタバレをして、
ぼくら視聴者に投げかけてくる最初の謎は
「さて、夫ニックは、妻エイミーを殺したのでしょうか?」
という、ミステリーっぽい導入ですね。

予告編の作りとしては、直感的に
「ああ、ニックは、妻のエイミーを殺したんだな」
と感じ、「でもどうして殺したんだろう? どうやって殺したんだろう?」
と考え、「ニックが捕まるまでの話なんだろうなあ」
と、無意識のうちに断定したくなるように、できています。
倒叙モノのミステリーっぽいですからね。

どっかで聞いたことがあるような話ですし。

それもそのはずです。
ゴーン・ガールは、有名な事件に着想を得て書かれた話なのだから。

スコット・ピーターソン事件。

夫のスコット・ピーターソンがクリスマスイブに家に帰ると、
妻のレイシー・ピーターソンが失踪しており、
懸命に捜査したところ、
レイシー・ピーターソンは、マリーナで死体となって発見されたという事件です。

無実を訴えていましたが、
夫のスコットは、第1級殺人罪でいまも服役中です。

つまり、元になった事件にならうなら
夫のニックは、妻のエイミーを殺した、ということになります。

それでは、ゴーン・ガールではどうなのでしょうか。

お待たせしました!
それでは、ネタバレ開始です!

ゴーン・ガールの結末まで躊躇せずネタバレ!

第一の謎 夫のニックは、妻のエイミーを殺したのか?

ニックは、エイミーを殺してません。

はい、そうなんです。
スコット・ピーターソン事件とは違い、
ニックは、妻のエイミーを殺してません。

第二の謎 妻のエイミーは、誘拐されたのか?

ニックがエイミーを殺してないのなら、
エイミーは、誘拐されたのでしょうか?

答えはNoです。

エイミーは誰にも誘拐されてません。
事実、誰にも殺されてもいません。

そう、
「5年目の記念日に妻、エイミーが失踪した」事件は、
すべてエイミーの自作自演なんです。

映画製作者が、予告編で視聴者をミスリードしたように、
エイミーは、捜査関係者や世間をミスリードし、
ニックを犯人に仕立て上げようとしたってわけです。

事件現場にわざと、それとなく証拠を残し、
結婚記念日のお決まり「記念日クイズ」を解いて回ると、
ニックが犯人なんじゃ? と思えるような証拠の品々がでてきます。

  1. 愛人の影を匂わせる赤い下着。
  2. かろうじて読むことができるが、焼こうとされていた妻エイミーの日記。
  3. 金銭トラブルの基となった(ことになっている)高級品が多数しまわれた納屋。

などです。

とくに驚嘆すべきは、その日記で、
デスノートじゃないですが「ジェバンニが一晩でやってくれました」的なやつです。

何が恐ろしいかって、
「ニックに怯えて過ごす300日」といった感じの内容を
ひたすら創作したモノなんですよ、これ

エイミー「私には文才があった」

といっていますが、そういう次元の所業じゃないです。
まあ、でもミステリー作家の森博嗣さんなんかは、
一時間に6,000文字くらい書き進めることができるそうなので、
文才があれば、そういうことも可能なのかもしれませんね。

ただ、エイミーが持っていた才能は文才だけじゃないんです。

悪い夫に恐怖を感じながら過ごしていたか弱い、献身的な妻
という印象を、世間に抱かせるためだけに、それを証言してくれる親友(仮)を作ります。

何をしたら相手が喜び、何をいったら相手が共感してくれるのか。
それらをすべて把握した上で、芝居を打ちます。
その内容は、自作の日記の内容と整合をとったものとします。

親友(仮)の人選も、ただ証言に使うためだけではないんです。

エイミー「アメリカ人は妊婦が好きだから」

という事実を自分に都合よく利用するために、
また、自分が殺される理由を補強するために、
自分を妊婦にするために、その証拠を作るに適した相手を
親友(仮)に選定しています。

また、妊婦の友人にして、親友(仮)ことノエル・ホーソーンの尿を収集し、
それを自分の尿として産婦人科に提出(もちろん、結果は陽性です。妊娠、おめでた判定です)。
妊娠中であるというエビデンスを作り、
その妊娠中の妻にひどいことをしていた夫というイメージを
世間に、ニックに対して作ります。

ここまで手の込んだ自作自演をして、
エイミーは何がしたかったんでしょうか。

第三の謎 エイミーは、なぜ事件を自作自演したのか?

エイミーはなぜこんなにも緻密な計画を立て、
苦労してまで事件を自作自演したのか。
しかも最終的には、予告編の水死体のカットの通り、
自分が自殺することも予定に含めて計画しています。

自作自演ならぬ、自殺自演
(まあ、自演じゃない自殺は他殺ですけど)。

自殺を自演してまで、エイミーには達成したい目的がありました。

それは

「ニックを殺すこと」

です。

もう一度いいます。
エイミーの、彼女の目的は、
ニックを驚かせることではなく、
ニックを悪者にすることでもなく、
ニックを犯罪者にすることでもなく

ニックを殺すことです。

なぜ、エイミーがニックを殺したいとまで思ったか。
エイミーの言葉を借りていえば、「私はニックに殺されたのだ」だからです。

生きてんじゃん。
バリバリ元気に知能犯してるじゃん。
デスノートの夜神月よろしく「計画通り」って顔してるじゃん。

と、ツッコミを入れたくもなりますが、
彼女の言い分は言い分で成立しているのではないかと思います。
もちろん、やりすぎだろとは思いますけど・・・

エイミーがこんなことを計画するに至った経緯は
どこにでもあるようなありふれた夫婦問題です。

浮気。

夫のニックが若い女と浮気をしているところを目撃してしまったのが
引き金になりました。

もちろん、これは引き金であって、
それまでに溜まりに溜まった鬱憤が爆発した、ということですけど。
クリミナル・マインド的にいうところの
「ストレス要因」というやつです。
※ストレス要因とは、犯罪者が犯罪を実際に犯すきっかけになった出来事のことです。

エイミーはいいました。

「ニックはあの浮気で、わたしの人生を壊したのだ。それはわたしを殺したことと同じこと」
「そう、ニックはわたしを殺したのだ。だから、死んでもらわなければいけない」
「ミズーリ州には、死刑制度がまだ残っている。そうだ、ニックを死刑にしよう」

浮気は当たり前ですが、よくないことです。
ただ、それだけで、殺す、殺された、死刑に値するっていうのは、行き過ぎですよね。

ただ、エイミーにとって、夫のニックの浮気は、それほどまでにショッキングな出来事だったんです。

ニックは、エイミーと出会った頃、
自分には大した才能がないことを知りながらも、
有名人で、才能溢れる美人のエイミーにふさわしい男を装って過ごしてました。

子どもも欲しいけれど、エイミーはまだ欲しくない様子。
いつ欲しくなってもいいように、と精子を凍結保存。

しかし、失業。

化けの皮は剥がれ、
それを自分で維持する努力もしなくなったのです。

家で、お菓子を食べながらゲームばかりする毎日。
それについてエイミーに自堕落な生活や、散財を咎められれば
逆ギレする。

「そういういわれ方するとやる気なくなるわ」と。

勉強していない子どもが、親に「勉強しなさい」といわれると
「今勉強しようと思ってたのに!」
「そんないわれ方したら勉強する気なくなるわ」
といって、勉強しないことを他人のせいにし、しない自分を正当化する流れと同じですね。

まあ、ニックは失業ですっかり自信をなくして
幼児帰りしてしまい、さらに自信を失い、うまく状況に適応できなくなっていってしまったというわけです。

夫がダメ男

それがエイミーのストレスになったわけではないのだと思います。
なぜなら、「ニックは能力がないダメ男だと、最初から知っていた」と
エイミーが一人語りするシーンもあるからです。

最初からダメ男だと知っていたのに、なぜ結婚したのか。
それはそれこそが、エイミーの求めている男性像だったからじゃないでしょうか。

世間のダメ男、マダオには朗報ですね。
美人で、有能な女性に需要があるかもしれません。
その結果、殺されるかもしれませんけど(笑えない)。

この話は、ゴーン・ガールの根幹で、
この話の理解度、あるいは解釈によって、見えてくる話が変わってくるかと思います。
ぼくは今から話す解釈を基にエイミーの言動や、判断、行動を見ると、
すんなり納得がいく、と感じられました。

この話というのは、

エミリーが求めている男性像のことです。

それを解き明かすには、エイミーの性質について理解することが先かもしれません。

エイミーはとにかく「支配」の欲求レベルが高い女性です。
それはずっと人生を「アメイジング・エイミー(完璧なエイミー)」に支配されてきたことからの反動かもしれません。

アメイジング・エイミーとは、エイミーの両親がエイミーをモデルにして出版した物語のことです。
明るく、元気! みんなのスター!
完璧なエイミーが活躍する物語です。

エイミーがどんなに優秀であれ、創作物には敵うわけもありません。
例として、エイミーはいっていました。

「わたしがチアリーディングの補欠でも、彼女(完璧なエイミー)はエース」

毎年開催される大勢が集まるエイミーの誕生日会。
しかし、みんなが祝うのは、「アメイジング・エイミー」の誕生日。
いったいどんな気持ちで参加していたのでしょうね。

で。

彼女は、アメイジング・エイミーに、そしてそれの創造主である両親に
人生を完全に支配、コントロールされて育ったわけです。

だからこそ、完全に支配できる相手が欲しかったのかもしれません。

アメイジングではない、エイミーのことを求めてくれる人物。
本当の自分を理解してくれる人物。
自分がしてほしいことを誰よりもわかってくれている人物を、です。

それこそが、エイミーの求めている男性像だったんです。

それがじゃあ、なんでニックだったのか?

ニックは、エイミーとある意味同じで、
ある意味でまったく逆の人生を歩んできた人物だったからです。
ニックも、人生を支配されて生きてきました。

ニックを支配していたのも、両親です。
特に、母親です。

月並みな言い方をすれば、ニックはマザコンなんですよね。

エイミーが失踪。
報道関係者がいる中で、全国に捜査協力の中継をしているときですら、

記者「笑ってください」

と、いわれれば笑ってしまう。

エイミーの捜索のためにボランティアが集まってくれれば、
笑顔で応対してしまう。
「まるで学園祭の主人公気取りね」と、エイミーの母親にも咎められていました。

それに対してニックは

「母親に、ずっと愛想よくするようにいわれてきたから」

と答えるわけです。

どんなときであれ、ニックは、母親に忠実に生きているわけですよ。

そんなニックは、エイミーにあってからは、背伸びをして、エイミーに釣り合う男性になるべく、
なることはできなくても、演じ続けるようになりました。

言い換えれば、エイミーに出会ってから、
ニックは、エイミーに忠実に生きるようになりました

エイミーには、20年来エイミーに想いを寄せ続けている相手
(デジー・コリンズという金持ちです)もいましたし、彼も客観的に見れば忠実なわけですが、
それはエイミーの求めている忠実性ではなかったんですよね。

ニックは、エイミーのためにエイミーの理想像を演じました。
デジーは、エイミーのためにならなんでもしてあげたいと、考えました。

ふたりの違いは、エイミーへの力のベクトル。
エイミーはいわれたことを言いなりにしてほしいわけではないんです。
いわなくてもわかってほしいんです。

支配するまでもなく、支配できている相手がいいってことです。

働こうが、働くまいが。
金があろうが、なかろうが。
愛があろうが、なかろうが。

自分の支配下にあれば、きっとエイミーはずっと満足だったんです。
でも、そうはいきませんでした。

始まりは、ニックが浮気。

ではなくて。

それよりずっと前です。

ニックの母親が末期ガンになり、それを機に
ニックはふたりで過ごしていたニューヨークを捨て、
実家のあるミズーリ州へ帰ることを決めました。

エイミーに相談もせずに勝手にです。

失業によって男として自信をなくしていたニックにとって、
自分を頼ってくれる、母親の存在は、ニックの存在にパワーを与えてくれるものだったんですよね、きっと。

ニューヨークでは、ずっとエイミーに支配されてきたニックが、
これを機に、また母親の支配に戻ってしまったわけです。
それは、エイミーの支配からの逃れてしまったことを意味します

支配する、だ、される、だということは
エイミーとしても無自覚なことなので
なんとなく不満に思っているというだけで、何がどう、具体的に不満なのか、
自分でもわかっていない様子でしたが、言い知れない苛立ちを覚えているようではありました。

ニックが自分の支配から逃れ、母親の支配下になっていたとして
末期ガンであるわけで、それは一時的なもの。
すぐに自分の支配下へ戻ってくる、と考え、違うか、感じていたのかもしれないです。

しばらくして、
ニックの母親が死にました

ニックは、エイミーの支配下に帰ってくるはずでした
しかし、何やら様子がおかしい。

あとをつけてみると、浮気をしてるじゃないですか。
しかも、自分としたことと、同じことを浮気相手にもしているのです。
ニックの浮気相手、アンディという女学生ですが、彼女の瞳を見て、
自信ありげに振る舞うニックを見て、エイミーは思ったに違いありません。

「彼女は、ニックに支配されている」

と。

それは同時に、ニックが彼女に支配されているということでもありました。
支配関係とは、する側、される側がいます。
しかし、実のところ、一対一の関係の場合、するもされるも、大差ないのです。

お互いがお互いに強く依存している。
だからこそ成立する関係性なのです。

つまり、ニックは自分以外の人間と、そういう関係を築いている。
その支配関係は一対一でしか成り立たないものである。
自分とニックの間に、その関係はもう成り立たない。

自分の幸せな人生はもうやってくることはない。
あのニックはもう帰ってくることはない。
アメージングではないエイミーはもう存在しない。

「わたしはニックに殺されたのだ」

というわけです。

だから、ニックも殺そうとしたわけです。

ふむふむ、なるほど。

と。

一見、筋が通っている気もしますが、なんでしょうか、この違和感。

そうですよね。
なんで、わざわざこんな殺した方をする必要があったのか、です。
ただ殺したいだけなら、こんなに手間をかけなくても、もっと効率よく、
ニックを殺す方法なんていくらでもあったと思うんですよ。

例えば、
寝ている間に手足を縛り付け、手足の先から少しずつ削り取り、じっくりと苦痛を与え殺すだとか、
ヒ素でじわじわと多臓器不全を引き起こして、苦しませてから殺すでもいいですし、
簡単なところでいえば、階段から突き落とすでもいいですし、駅のホームから線路に突き落とすでも、信号待ちで、車めがけて突き飛ばす、でもいいじゃないですか。
面倒かもしれませんけど、支配したいなら完全に支配してもいいですよね。
全身の骨を砕いて、紐でつないで、マリオネットのようにして
完璧にいうことをきく、いうことをきくしかない、操り人形。
アメージング・ニックにしちゃってもよかったじゃないですか。

なのに。

妻を殺した夫として、逮捕させ、死刑にする。

なんてまどろっこしい方法をとる必要があったんですかね。
それは終盤のリバーサル(どんでん返し)にもつながる疑問、謎なんだと思うんですよ。

ニックが自分を捜査する様、どんどん追い込まれていく様子、逮捕される様子を
逃亡生活をしながら、テレビでずっと確認していたわけですが、
エイミーはここまでしておいて、けっきょくニックの下へ帰るんです

誘拐された、を装い失踪し、
ニックが捜査願いを出し、自分を捜索する。
警察の捜査を経て、ニックが逮捕され、
自分の死体が、湖から発見され、ニックに死刑が言い渡される。

そんなプランを描いていたのに、
ニックの下に帰るんです。

先に話した、デジーに監禁されていた、という状況証拠を作り、
デジーを殺し、20年来のストーカーから拉致された哀れな美女が、自力で、
愛する夫の下へ帰ってきた、というストーリーを創作して、
世間を騙し、許され、賞賛され、ニックの下へ帰ってくるんです。

なぜでしょ?

第四の謎 エイミーは、なぜニックの下に戻ろうと思ったのか?

ゴーン・ガールの中で直接的に描かれた場面としては、
ニックがテレビに出演し、エイミーに語りかける言葉を聞いて、
ニックの下へ戻ることに、心が決まった、のだと思います。

集中して、一字一句漏らさず、ニックの言葉を聞こうとしている
エイミーは怖い、と感じる表情をしているかもしれませんが、
同時にとてもかわいらしくも見えます。

「ネクタイ、ネクタイ」

と、テレビに出ているニックを見ながら、エイミーはつぶやきます。

出演する際にニックが選んだネクタイは、エイミーがニックにプレゼントしたものだったんです。

ニックがエイミーに語る言葉。
ニックがエイミーに語る表情。
ニックがエイミーに騙る愛情。

エイミーには、それがニックの本心ではなく、
状況を打破するための行動だとわかっています。

それでもエイミーはうれしかった
語りでなく、騙りであったとしても

だって、ニックがエイミーが何をいったら喜ぶか、を考え
したこと、いったことは、エイミーが求めていることと完全に一致していたからです。

支配するということは、支配されるということ

エイミーは確信したに違いありません。
お互いの支配関係は健在であるということを。
アメイジングではないエイミーは彼の中で生きていたということを。

大きな困難(自分で作った困難ですが)に立ち向かったことで、
お互いに対する想いは復活したのだということを。

ってところじゃないでしょうか。
一回見たときに感じる感想は。

でも、ぼくは少しちがった印象ももっています。

ぼくの考えはこうです。

きっとエイミーは

はじめからニックの下へ帰る予定だった

です。

エイミーは自分で、自分すら騙していたんです
計画をやりきるために。

そんなことあるの?

と、思われるかもしれませんが、実際に嘘を真実だと本人が信じていると
嘘をついているにもかかわらず、嘘発見器でもバイタルに変化がないため、
見抜くことができないのだそうです、という実験結果がいくつも提示されています。

例えば、2014年に世間を騒がせたSTAP細胞の報道がありましたが、
その研究員であった彼女も、嘘をついているという認識はなかったそうです。

エイミーもそうなのだと思います。

親友(仮)のノエルに。
20年来のストーカーである、デジーに。
最愛の夫であるニックに。
事件の担当刑事のロンダに。
FBIに、医者に、テレビを通して世間に。
平気で嘘をついて、それを真実として信じ込ませるシーンがあります。

人間は言い澱みに違和感を覚え、嘘を感じとったりしたりするものですが、
エイミーのようなサイコパスは、嘘をつく、ことに対しての決断速度が
脳活動レベルで早いのだそうです。

この実験結果は、
2018年、英国の国際学術誌「Social Cognitive and Affective Neuroscience」にも掲載されています。
京都大学、ハーバード大学、ニューメキシコ大学の共同研究結果です。

だから、嘘を人は見破ることができないのだそうです。
違和感なく、自然だからです。

しかし、エイミーのような病質者はその上を行きます。

考えてみてみれば、あたり前なのですが、
嘘で生じるバイタルの変化や、嘘をつくための決断という脳活動は、
嘘をつかなければ、生じません。
つまり、本人が嘘だと思っていなければ、生じるはずがないんです。

周りを騙す仕組みとしては、
デスノートで夜神月がLを騙すために、一度自分の記憶を一切放棄したことに似ています。

それを、デスノートなんてとんでもアイテムなしにやってしまえる人がいるんだから
恐ろしいものですね。

で。

夜神月は、記憶を失った自分がどのような行動をとり、どのような考え方から、
Lよりも早く、あるいは同時にデスノートを手に取り、記憶を取り戻す、という算段を持って、
記憶を放棄したわけですが、
エイミーも、自分が死ぬことも含めた筋書きを立てながら、結果として、死なず、
ニックの下へ帰ることができるように算段を立てていたに違いありません

カレンダーに、「生きる? 死ぬ?」というマイルストンの付箋を貼っているわけですが
あれが、自分の中で自分にもう一度考えさせるキーになっていたんだと思います。
あれが、エイミーにとってのデスノートの切れ端だったんです。

自分で自分すら騙してしまうエイミーだから。

そんなエイミーを妻にしているニックは事件の前も、事件の後も
同じ葛藤をします。

ニック「きみは何を考えているんだい」

最後の謎 ニックは、妻のエイミーを理解できたのか?

ゴーン・ガールは、冒頭のシーンとラストのシーンで同じシーンを使っています。
エイミーの頭を撫でるニック。

ニックは、
「きみは何を考えているんだ。きみの頭を解剖してすべてを理解したい」
といっています。

でも、その願いは最終的に叶うことはありませんでした

ゴーン・ガールのセントラルクエッションは実は、失踪にまつわる色々ではなく
この「ニックはエイミーのことを理解できるのか?」というものです。

で。

最終的に「理解できませんでした」で終わる。

と見せかけて、
実は、ニックは事件の前からそのずっとずっと前から、
エイミーのことを理解しているんです。

それこそ、エイミーが自分で自分に嘘をついているように、
ニックも自分で自分に嘘をついているんです。

思い出してみれば、
エイミーに声をかけたのは、ニックからでした。

その時から、ニックはエイミーに、エイミーが喜ぶ言葉を伝え、
エイミーを虜にし、夫婦になりました。

エイミーがニックの下に帰ってきたのも、
エイミーが「ニックはわたしのことを理解してくれている」と確信したからです。

ラストにかけて
エイミーがニックに黙って、ニックの登録しておいた精子を使って妊娠したと告げるシーンがあります。
ニックはそれをきいて怒ります。

が、よく思い出してください。

子どもを欲しかったのはどっちでしたか?
それを拒んでいたのはどっちでしたか?

 

そして、けっきょくエイミーが自らの意思で妊娠

今回の事件を通して、誰の望みが達成されたのでしょうか。

誰の願いが叶ったのでしょうか

有名になり、
職とお金を得て、
妻の愛を強固にし、
男の自信を取り戻し、
子どもを授かることができた。

結果を見れば、
そんな得しかしていない男は誰でしたっけ

もしかしたら、
この事件も、
それの発端になった浮気も、
ミズーリ州への引っ越しも、
失業も
すべて・・・

そう考えると、冒頭と、ラストのシーンの見え方が一変します。
ニックが奇想天外なサイコパス、ヤンデレ嫁に人生を翻弄され、
エイミーのことを理解したい、おまえはいったい何を考えているんだ?
と、葛藤しているというシーンから、こんな行間が発生します。

「きみの脳を解体して理解したい」
すべてが、ぼく(ニック)の企みだと知っているのか、を)

なあんて。

みなさんは平気ですか?
騙しているつもりが、騙されていませんか?
まあ、その場合、騙されていると気づいている、
と思わされていること自体が、
支配されている証拠、相手の企みの上なのかもしれませんけどね。

ゴーン・ガール好きに勧めたい作品

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クリミナル・マインド

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ファイトクラブ
シャッターアイランド

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