実写ドラマ化決定! エブリスタで連載されていた小説が原作、マンガワンでマンガ連載していた『私の夫は冷蔵庫に眠っている』について、結末まであらすじをネタバレ解説します。
あらすじを共有したうえで、考察もしたいとおもいます。
原作:八月美咲
漫画:高良百
主演:本仮屋ユイカ、白州迅
『私の夫は冷蔵庫に眠っている』の登場人物
夏奈、主人公。おとなしい弱い女性(風だけで最終的には連続殺人犯)
亮、夏奈の夫。DVで夏奈を苦しめていた。奏の双子。オレサマ。
奏、夏奈の夫。夏奈と恋に落ちたほう。亮の双子。やさしい。
蒲田、亮の同僚。実は連続殺人犯だった。
作家、隣人。マダム。亮とよろしくやっていた。
母、夏奈の母。大母性の強い子離れできない親。
『私の夫は冷蔵庫に眠っている』の結末をネタバレ!
主人公夏奈は双子を出産し、シングルマザーとして育てていく。
夫の亮と奏の埋まる畳の上で。
『私の夫は冷蔵庫に眠っている』のあらすじ
『私の夫は冷蔵庫に眠っている』の起
主人公、夏奈は夫である亮のDVに苦しんでいた。
我慢の限界に達した夏奈は、亮を殺し、物置にしまってあった業務用冷蔵庫に亮の死体を保存することにした。
しかし、問題が起こる。
夫から解放され、自由を満喫して家に帰ると、そこには殺したはずの夫がいたのだ。
『私の夫は冷蔵庫に眠っている』の承
あわてて冷蔵庫を確認する夏菜。
死体はあいかわらず冷蔵庫の中にあった。
冷蔵庫の中で死んでいる夫と、人が変わったようにやさしくなった夫との共同生活。
途中、夫の同僚の蒲田と駆け落ちして逃げ出そうとするが、蒲田は突然いなくなってしまう。彼は逃亡中の連続殺人犯だったのだ。
そして、亮をもう一度殺そうと試みるがなかなか行動に移せずにいると、
いつの間にか死体はなくなっていた。
『私の夫は冷蔵庫に眠っている』の転
なぜ、新しい亮が人が変わったかのようにやさしくなったのか。
その理由を夏奈は知ることになる。
亮は一卵性双生児だったのだ。
亮と奏。
いまのやさしい夫は自分は「奏」だという。
恋に落ちたのも、結婚したのも「奏」。
しかし、双子の「亮」に家庭を乗っ取られ、なり変わられてしまったのだと。
夏奈は、すべてを「奏」の説明を信じて、1からふたりでやり直すことを決意した。
『私の夫は冷蔵庫に眠っている』の結
「亮」と「奏」には戸籍がなく、実際はまだ夏奈と婚姻関係にはなかったのだいうことを知った夏奈。
「奏」とやり直すと決めたけじめとして、妊娠し、これから母親になることもあり、法的にも「奏」と夫婦になるため、奮闘する。
戸籍がなくても、結婚する方法もわかり、幸せを噛みしめるふたりだったが、夏奈はどうしても気になることがあった。
「あなたはほんとうはどっちなの?」
夫は応えた。
「おれは・・・」
夏奈は双子を出産した。
家に奏はいない。
双子を寝かせた畳の下には、いまでも死体が埋まっている。
「双子はいつでもいっしょにいないとね」
夏奈はやさしく微笑んだ。
『私の夫は冷蔵庫に眠っている』の感想と考察
双子オチ!
というのは、ミステリーの世界では陳腐なNG例として挙げられますが、本作「私の夫は冷蔵庫に眠っている」のようにサスペンスの場合、全然、まだ機能するものだなあ、と思いました。
どちらにせよ、オカルト、ホラー感をどれだけ演出できるか、というのが、読者の緊張感の高まりにつながるな、と。
1話を読み終わったあとなんて、ホラーなのかサスペンスなのか区別つかない状態でしたしね。
そういう意味だと赤川次郎的なのかもしれません。
赤川次郎も「わたしのはミステリー風のなにか」と自書のことを評価しているので。
赤川次郎「黒い壁」なんて、最後までミステリー的ななにかオチをつけてくれるのかとおもっていたら、けっきょくホラーでしたしね。
まあ、あれはずっこけましたが、角川ホラー文庫から出版されていたのでそりゃホラーですよね・・・電子書籍のよくないところです。
話がずれました。
で。
本作「私の夫は冷蔵庫に眠っている」ですが、最初から最後まで読んでいると一番おそろしいとおもった仕掛けは双子トリックでも、途中にでてくる殺人犯でも、となりに済むミステリー作家のおばさまの除き趣味でも、夏奈の母の子離れできない太母性でもなんでもないのです。
それは、作者から読者に仕掛けられた罠。
主人公、夏奈に感情移入させられてしまっているため、騙されてしまうことです。
何が?
夏奈が被害者で、主人公で、困難を乗り越えていく物語と思い込まされてしまうことです。
『私の夫は冷蔵庫に眠っている』:夏奈は連続殺人犯です
この作品にでてくるキャラクターは、なにがしか、犯罪を犯しています。
夫はDV。
母と隣人はプライバシーの侵害。
でも、よくかんがえてください。
殺人を犯したのは、
夏奈だけです。
もう一度いいます。
夏奈は殺人犯です。
しかもふたりも。
つまり、連続殺人犯です。
本作「私の夫は冷蔵庫に眠っている」を読み終わった時、読後感として、夏奈を連続殺人犯だととらえたひとがどれだけいたでしょうか。
シングルマザーとしてがんばっていってほしいな
そんな感想を抱く人がほとんどだったんじゃないでしょうか。
あるいは、そんなことより、けっきょく残っていたのは亮なの奏なの?!
という疑問にばかり頭が向かったのではないでしょうか。
これはとてもおそろしいことだとおもいます。
殺人は殺人です。
でも、知り合いだから。
いい人だから。
そんなことで人間は簡単に善悪の判断を違えてしまうのです。
これがメッセージとして含まれているということを証明するエピソードが実は作中にあります。
いい人として描かれた彼。
蒲田です。
彼は、理想的な善人で、夏奈は途中、彼に駆け落ちすら持ちかけています。
しかし、蒲田は実は指名手配中の連続殺人犯なのです。
ここで、夏奈たちも、読者もみんなで
「人は見かけによらないのね、こわいこわい」
とおもい
「ああ、たすかったよかったよかった」
と思わされるわけです。
でも思い出してください。
あなたは殺人犯ですから。
そして、これからまもなくして連続殺人犯となりますから。
連続殺人犯が、周りを欺くという構図。
これは、読者と夏奈の関係そのままなのです。
なので、
女性は、DV夫が殺され、シングルマザーでがんばる女性を応援したいという気持ちになるのもわかりますが、これだけは間違えないでください。
殺人は犯罪です。重罪です。
しかも、夏奈の場合、第一級殺人です。
計画的にふたりを殺しています。
つまり、この作品で一番の犯罪者は夏奈だということを忘れずに、彼女の幸せを祈り続けられるなら祈り続けてください。
そして、もし、彼女を赦すのなら。
蒲田だって、こわいこわい、の対象だった、彼だって、夏奈のようにいろいろな事情があったのかもしれないということもかんがえてあげてみてください。
『私の夫は冷蔵庫に眠っている』:最後に殺されたのは亮と奏どっちか
亮。
前までクリアできたゲームがクリアできない
などという表現があるが、人間は、できないことを急にできるようにはならないが、できることをできなく見せることはできる。
テレビのスポーツ選手を使ったドッキリなんてわかりやすい典型じゃないでしょうか。
一流アスリートが、じじばばの格好して、できないふりして、突然できるってやつです。
そして、亮が収集していたものを、けっきょく奏は隠し持っていたこと。
これは、表では、捨てたとしていて、裏では捨てることができなかったということですよね。
そして、隣人も、夏奈の母が依頼した調査会社も、奏をなのっている彼を亮だという。
なので、彼が奏であった可能性は限りなく少ないでしょう。
なぜ急にやさしくなったのか
夏奈のことが大好きだから。
きっと亮はもともと夏奈のことが大好きだったんです。
でも、夏奈が好きなのは奏だと知っていた。
子どものこともそうです。
自分の子なのか、奏の子なのかわからないですし。
なので、あんな態度になってしまっていたのだとおもいます。
だから、奏がいなくなって。
夏奈が自分だけのものになって。
やっと素直になれたのでしょう。
ほんとうは最初から亮だって、夏奈にたいして奏がしていたように接したかったのです。
それを夏奈が叶えてくれた。
脳が震えるほどの衝撃だったでしょう。
だから、それからは自分が望む、夏奈が望む自分になって行きていくことを決めたに違いないのです。
まあ、けっきょく殺されてしまいましたが・・・
『私の夫は冷蔵庫に眠っている』のまとめ
この記事では、『私の夫は冷蔵庫に眠っている』について結末、あらすじ、登場人物、考察をまとめました。
ぜひ、みなさんの感想も聞かせてくださいね!