転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めますは、魔術を愛する第七王子ロイドを主人公にした謙虚なサークルのWeb小説です。第六王女アリーゼ=ディ=サルームは、ロイドの三つ上の姉で、城の離れの塔で犬猫から魔獣までを飼う動物好きの王女です。本人は「愛」と信じる不思議な力で魔獣と心を通わせ、その力を見たロイドは魔獣使いの技を身につけました。

この記事では、原作のWeb版(小説家になろう版)の本文をもとに、アリーゼの力と相棒のリル、ロイドに与えたヒント、大暴走や学園編での出番、最新話時点の状況を整理します。

ネタバレ警告:この記事はWeb版の第36話(初登場)から、大暴走(第124〜149話)、学園編(第150話〜)、最新の第257話までの重大なネタバレを含みます。TVアニメ(第2期まで)より先の展開も扱います。

この記事の基準:話数と台詞は、小説家になろう版(作品コードN5657FV)の本文で確かめたものです(2026年10月26日に全257話を取得)。書籍版・漫画版・アニメとの違いは最後の節で分けて扱います。

アリーゼの人物像と現在(結論)

  • 動物好きの第六王女:ロイドの三つ上の姉。王位継承権がなく、城の離れの塔で動物と暮らす。ロイドを溺愛し、会うたびに抱きしめる(第36話)
  • 魔獣と心を通わせる力:本人の説明は「――愛よ!」。メイドのエリスは天性の才で自覚がないと見ており、ロイドはアリーゼが自分とリルの頭を魔力でつないでいると見抜いた(第37話)
  • ロイドの魔獣使いの技の手本:ロイドはその方法をまねてシロに命令できるようになり、のちに同じ技で影人形(魔力兵)を動かす(第37・130話)
  • 相棒はレッサーフェンリルのリル:背の高さ3メートルほどの銀色の狼。ロードスト領への出陣(第63話)や学園への旅(第152〜154話)でアリーゼを乗せて駆ける
  • 最新話:最後に場面に出るのは第235話(リオンの健康診断)。第242話でロイドが名前を思い浮かべたのを最後に、第243〜257話には出てこない

アリーゼと周りの人物・魔獣の関係をまとめたのが図1です。

アリーゼとロイド、エリス、リル、シロ、ミニシロ・プチシロ、ビルギット、ワイバーン、シドー学園長の関係図
図1:アリーゼをめぐる関係(小説家になろう版の本文から整理)

基本プロフィール

項目内容
名前アリーゼ=ディ=サルーム。ロイドは「アリーゼ姉さん」、リオンは「アリーゼ姉上」、学園長シドーは「アリーゼ君」と呼ぶ
立場サルーム王国の第六王女。王位継承権はなく、好きなことをして暮らしている(第36話)
初登場第36話「魔獣を調教します」
ロイドとの関係三つ上の姉。「アリーゼは昔から俺を見つけては抱きついたり、キスしたりとオモチャにしていたのである」(第36話の地の文)
外見薄紅色の長い髪をふわふわさせ、ドレスにもファーやポンポンが付いている(第36話)
能力動物や魔獣に好かれ、心を通わせる。地の文は「動物が好きすぎるあまり心を通わせることが出来るのだ」と書く(第152話)
従える魔獣レッサーフェンリルのリル(第37話〜)。城に迷い込んだベアウルフのミニシロ・プチシロも保護した(第47話)
アニメの声優熊田茜音(TVアニメ公式サイト)

動物の塔とメイドのエリス

アリーゼが住むのは「城の離れにある大きな塔」です(第36話)。第37話の題名は「おいでよ動物の塔」。中は大広間で、外壁に螺旋階段と小部屋がある以外は吹き抜け。芝や苔、池、草むら、木々まで生えています。ロイドによると、ときどき動物園として一般に開放されており、案内役はエリスです(第37話)。TVアニメの公式サイトはこの塔を「箱庭の塔」と呼びますが、Web版の本文にこの呼び名は出てきません。

エリスはアリーゼ付きの黒髪のメイドです。アリーゼの「愛よ!」という説明を聞くと、「アリーゼ様は生まれつき勝手に動物が寄ってくる寄せ餌のような方です」と言い返し、二人は言い争いを始めます。地の文は「言い争いというかじゃれ合いというか、この二人は姉妹のようである」と書きます(第37話)。エリスの独り言によると、塔が動物だらけなので他のメイドは怖がって近寄らず、餌やりや世話も大変で、エリスには休みがありません。第47話でアリーゼが「私はこの子たち同様あなたやロイド、皆を分け隔てなく愛しているつもりですよ」と言うと、エリスは「獣も同格!?」と抗議しました。エリスが最後に登場するのは第49話のお茶会です。

魔獣と心を通わせる力

アリーゼの力と、それを見たロイドが技を身につけるまでの流れを図2にまとめました。

アリーゼの無意識の力と、ロイドが魔獣使いの技を身につけて影人形の操作に使うまでの流れ図
図2:アリーゼの力とロイドの魔獣使いの技(小説家になろう版の第36〜38・51・130・152〜153話から整理)

本人は「愛」と信じている(第37話)

使い魔のシロに細かい命令を伝えられずにいたロイドは、アリーゼを訪ねてやり方を尋ねます。アリーゼは小さく丸くなったシロを一目でベアウルフと言い当てますが、理由は「うふふー、何となくそんな感じがしたのよ」。本人も「まりょく、ってのが関係してるのよね。よくわからないけれど」とは言っています。魔獣と通じ合う秘訣も「――愛よ!」でした。続けて「私思うの。愛こそが言葉の通じない私たちを繋ぐ絆なんだって。どんな魔獣だって、こちらから愛を与えてあげれば絶対に分かり合えるわ!」と語り、「フワーッとしてパァーっとすればいいのよ」とまで言います。グリモは「よく言えば天才肌、悪く言えばお花畑でさ」と評しました。

エリスは独り言で、「アリーゼ様の力は天性の才によるもの。自覚がないが故にアンコントローラブルですが、ロイド様は確実に自覚して使われていた」と二人を比べています。

ロイドが見抜いた仕組み(第37〜38話)

ロイドは説明ではなく、アリーゼから漏れる魔力を見ていました。地の文によると「アリーゼはリルに命令を与える時、自身とリルの頭を魔力で繋げているのだ」。ロイドは、アリーゼが無意識に魔力の性質を変えて思考を読み取らせていると考え、「命じるのでなく、共有するのだ」と理解します。同じようにシロの頭へ魔力をつなぐと、シロは三周回って「オンッ!」と吠えました。アリーゼは「流石私の可愛い弟! 愛ねぇー!」と喜び、ロイドは「いえ、絶対違うと思いますよ」と返します。

第38話では、常に魔力をつないでおくのは負担なので、命令したいときだけ魔力刻印でつなぐ形に改良しています。シロの上達を見たアルベルトに「はい、アリーゼ姉さんにご教授いただきました」と答えると、アルベルトは「アリーゼに……? よ、よくあの説明で理解出来たね……」と驚きました。第130話、大暴走に向けて影人形を兵として動かすとき、ロイドは魔力を紐状に伸ばして頭部につなぎます。地の文はアリーゼの名前を出しませんが、「そう、これはシロに命令を出す時と同じ技」と書いています。操れる数についてロイドは「コントロール出来るのはせいぜい一万くらいだよ」と言います。ロイドが人から学んだほかの技はロイドのネタバレ解説にまとめています。

地の文が説明する力の種類(第51話)

暗殺者ギルドのレンの毒を説明する場面で、地の文は、生まれつき魔力を持つ人の中に、魔力の質が特異なため「自力では制御が難しいタイプ」がいると書き、「……アリーゼの動物を集める能力もその一種」と続けます。さらに「特に周囲に害を及ぼす能力の持ち主を人は蔑みの目を向け、こう呼ぶ者もいる」とあり、レンが「『ノロワレ』……御察しの通りボクはそれだ」と名乗ります。アリーゼ本人がノロワレと呼ばれる場面はありません。

リルとシロたち

レッサーフェンリルのリル

アリーゼが呼ぶと、屋根の上から「巨大な狼」が降りてきます。銀色の毛並みと金色の瞳を持ち、背の高さは3メートルほど。グリモは「こいつはレッサーフェンリルですな。ベアウルフの上位種の割とヤバめな魔獣ですぜ」と説明し、ロイドは、劣等種とはいえフェンリルを飼い慣らすアリーゼは「俺が思うより凄いのかもしれない」と考えました(第37話)。

学園編では、リルはシロとともに以前より大きくなっていました。アリーゼは「リルとシロはとっても仲良しで、よくじゃれあって遊んでいるのよ。そのたびに少しずつ大きくなっていって気づけばこんなになっちゃったわ。うふふ、これも愛の形の一つね」と笑います(第152話)。

シロ・ミニシロ・プチシロ

シロ(アニメの声優は松井恵理子)は、北の森での魔獣狩りでロイドに懐いたベアウルフで、名付けたのはロイドです(第34話)。第47話、シロに引っぱられて塔へ行くと、シロより一回り小さいミニシロと、さらに小さいプチシロがいました。アリーゼは「この子たち、数日前に城に迷い込んできたのを私が保護したのよ。シロの知り合いだったようだし。ねー?」と言い、ロイドは心の中で「ていうかこいつらの言葉がわかるのかよ。アリーゼ恐るべし」と驚きます。グリモは「どうやらこいつら、ロイド様を追ってきたようですぜ」と見立て、ロイドは、子供がいるため森に残ったベアウルフたちが子供と一緒に来たのだと考えます。ミニシロたちは魔物の核を咥えてきてロイドの前に並べ、これが魔剣作りの材料になります。第131話の大暴走では、アリーゼの隣に「成長したミニシロ、プチシロ」もいました。

物語での歩み

初登場から最後に名前が出る話までを話数順に並べたのが図3です。

アリーゼの初登場(第36話)から最後に名前が出る第242話までの年表
図3:アリーゼの歩み(小説家になろう版の第36〜242話から整理)

お茶会とロードスト領への出陣(第49〜64話)

第49話、タオを迎えるお茶会には、着飾ったアリーゼもリルを連れて同席し、「アリーゼ=ディ=サルームよ。ふふっ、可愛らしいお嬢さんねぇ」とあいさつします。ロードスト領でロイドが魔族ギザルムを倒したあと、アルベルトの魔剣部隊が魔人兵士と戦う場面では、「行ってちょうだいリル!」の声とともにリルが戦場を駆け、その背中にアリーゼが乗っていました。シルファによると、出撃するアルベルトにディアンとアリーゼも同行を申し出たのです(第63話)。

大暴走(第131・137話)と、説明されていない点

第131話、大暴走へ向かうロイドのもとに、シルファが声をかけた百人近い仲間が集まります。アリーゼも「私たちも来たわよー」と現れますが、地の文は「巨大な狼の魔獣になって現れたのは、第六王女アリーゼだ」と書いています。この場面にリルの名前はありません。同じ場面に「隣にはシロ」とあるので、この狼はシロではありません。また第63話と第152話では、アリーゼは狼の背に乗って現れています。ただ、姿を変える力の説明もリルに乗って来たという説明も、本文にはありません。

第137話、山賊の頭マルスが手薄な本陣を襲うと、「リル! お願い!」の声とともにリルが飛びかかります。この呼びかけの話者は書かれていません。リルはマルスの剣で一蹴され、ロイドは心の中で「なんと、あのリルを一蹴だと!?」と驚きました。直後に崖の上から飛んできた何かがマルスの剣を弾き飛ばし、タオが跳んで降り立つため(タオの修行と活躍はタオのネタバレ解説で扱っています)、リルのその後は描かれません。第131話の「狼の魔獣」と第137話のリルの関係も、本文では説明されていません。第132〜149話にアリーゼの名前は出てきませんが、第152話でリルは元気な姿で再登場します。

学園への送迎(第152〜154話)

学園へ向かう一行のため、ビルギットはアリーゼを呼び、リルとシロに運ばせます。ゴルーゲン峡谷でワイバーンの群れがリルに群がると、アリーゼは悲鳴を上げたあと「きゃんっ、もう……おイタが過ぎますよ。貴方たち。うふふっ」と言います。よく見るとワイバーンはアリーゼに釘付けで、甘えるような鳴き声を上げてまとわりついていました(第152話)。その後、ワイバーンは襲ってこなくなります。地の文によると「どうやらアリーゼがワイバーンを説得、更に他の者たちにも襲ってこないよう伝えさせたらしい」(第153話)。

学園に着くと、アリーゼは「それでは皆、私はこれで帰るからお勉強しっかりねー」とリルに乗って帰りました。学園長シドーは「しかし残念だのう、アリーゼ君も学園に入ればよかったのに。丁度つい最近、新しく従魔科が出来たところなんだがのう」と惜しみます。地の文によると、アリーゼも誘われていましたが、あっさり断っていました。アルベルトは「アリーゼは天才肌……というか座学はあまり好きではありませんのでね」と言っています(第154話)。

フェスと健康診断(第207〜242話)

第207話、ロイドが作った魔曲を扉の外で聴いていた兄姉の中に、アリーゼもいました。ビルギットが企画した野外ライブフェスへ、ディアンが「やったぜ! ゼロ兄、アリーゼ、一緒にでねぇか!?」と誘い、ゼロフの返事に続いて「楽しそうですねー。やりましょやりましょ」という声が上がります(話者は明記されていません)。フェス本番(第211〜214話)の本文にアリーゼの名前は出てこず、ディガーディアに乗り込んでいたのはディアンとゼロフです。フェス全体の流れはWeb版ストーリー全ネタバレ解説にまとめています。

第232話では、ロイドに予定を求めて並ぶ列の中にいます。第235話、医療大国アセンブラから戻ったリオンは、兄姉の体を一人ずつ心配し、アリーゼについては「アリーゼ姉上はいつも動物に囲まれ過ぎて何らかの感染症の危険があります」と言って、健康診断を行うと告げました。アリーゼはサリアと連れ立って来て、「小さい頃、一緒にやりましたねサリア姉さん」と話しています。

最新話(第257話)時点のアリーゼ

アリーゼが場面に出てくるのは第235話が最後です。第242話では、聖王が森の動物に「森の反対側」を理解させられなかった話を聞いたロイドが、「……いや、動物誑しのアリーゼ姉さんならできそうだけれども」と心の中で思うだけです。エルフの国への旅(第237話〜)や天宙城(第253〜257話)の場面に、アリーゼ本人は登場しません。

まだ明かされていない謎

考察ポイント:第257話までの本文で答えが出ていない点です。
・第131話の「巨大な狼の魔獣になって現れた」の意味。第63・152話ではリルの背に乗って現れていることから「に乗って」の書き違いとも読めますが、本文に説明はありません
・第137話でマルスに一蹴されたリルが、どう回復したのか
・アリーゼの力の正体。地の文は制御の難しい特異な魔力の一種とし、ロイドは無意識の魔力の性質変化と見ています。本人は魔力が関係すると口にするだけで(第37話)、仕組みを理解する場面は、最後に登場する第235話までありません
・エリスは、ロイドが「アリーゼ様を超える魔獣使いの技」を身につけて集まる動物を追い払ってくれることを期待しました(第37話)。ところが第47話では、ロイドを追ってきたベアウルフたちをアリーゼが塔で保護しており、エリスは「ロイド様とアリーゼ様、ダブルで魔獣が増えていくのではっ!?」と嘆きます。動物を追い払う話はその後出てきません

書籍版・漫画版・アニメでのアリーゼ

書籍版(講談社ラノベ文庫)の公式紹介文でアリーゼの名前が出るのは10巻(2025年7月2日発売)です。ロードスト領の世界樹を齧っていたスライムのラピは、魔物の頂点を決める超獣祭に出るため魔力を高めようとしていました。紹介文はそのあと「さらに、あらゆる動物と心を通わせることができる第六王女アリーゼと従魔契約を結びさらなるパワーアップに成功する」と続きます。ラピや超獣祭はWeb版の本文に出てこない、書籍版の展開です。

漫画版(マガジンポケット)の配信一覧では、第15話の題名が「おいでよ動物の塔」(2020年10月3日配信)、第16話が「アリーゼの力」(2020年10月10日配信)です。

TVアニメでは、公式サイトのあらすじでアリーゼの名前が出るのは第6話「姉と魔獣と魔剣と兄と」で、魔獣と心を通わす秘訣を知るため、ロイドが姉の第六王女アリーゼを訪ねる回です。公式のキャラクター紹介には「専属メイドのエリスと一緒にサルーム城の中にある「箱庭の塔」で、大好きな動物を多数飼いながら気ままに暮らしている」「本人は愛情による信頼関係にあると信じている」とあり、Web版の第37話の描写と重なります。声優の熊田茜音は公式サイトのコメントで「アリーゼにとっての『愛』を、ここにぜひご注目いただきたいです!」と語っています。放送クレジットの記録では、エリスの声は丸岡和佳奈です。

人気投票

マガジンポケットの第4回キャラクター人気投票(漫画版の読者投票、2025年)で、アリーゼは31位(48票)でした。第3回(2024年)は公式画像に載る10位までに入っていません。

まとめ

  • 人物:ロイドの三つ上の姉で、城の離れの塔に住む動物好きの第六王女。ロイドを溺愛している
  • 力:動物や魔獣に好かれ、心を通わせる。本人は「愛」と言い、ロイドは頭どうしを魔力でつなぐ仕組みだと見抜いた
  • ロイドへの影響:その仕組みをまねたロイドはシロに命令できるようになり、のちに影人形の操作にも同じ技を使う
  • リルとシロたち:レッサーフェンリルのリルを従え、ミニシロ・プチシロを保護した。学園への旅ではリルとシロで一行を運んだ
  • 説明のない点:第131話の「狼の魔獣」の姿と、第137話で倒れたリルのその後
  • 最新話:最後に場面に出るのは第235話、名前が出るのは第242話。第243〜257話には登場しない