転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めますは、魔術を愛する第七王子ロイドを主人公にした謙虚なサークルのWeb小説です。その第九部、エルフの国へ向かうロイドの前に、第六王子リオンが森の案内人として連れてきたのがフィオナでした。白いフードをかぶった無口なエルフの少女で、自分の過去を何も覚えておらず、「ロイド様をお連れする……それしか憶えていないんです」と言います。

この記事では、原作のWeb版(小説家になろう版)の本文をもとに、フィオナの正体、創造主クラウゼンとの関係、ロイドのメイドになった経緯、天宙城編での役目、最新話での立ち位置までを整理します。

ネタバレ警告:この記事はWeb版の第九部のうち、エルフの国と世界樹ダンジョン(第238〜250話)、フィオナの正体が明かされる第251〜252話、最新の天宙城編(第253〜257話)までの重大なネタバレを含みます。TVアニメ(第2期まで)にフィオナは登場していません。漫画版は2026年10月時点で学園編の途中です。

この記事の基準:話数と台詞は、小説家になろう版(作品コードN5657FV)の本文で確かめたものです(2026年10月26日に全257話を取得)。書籍版・漫画版・アニメとの違いは最後の節で分けて扱います。

フィオナの正体(結論)

  • 世界樹の力で作られた人形:フィオナ自身が「私は世界樹の力によって作り出された人形です」と打ち明ける(第252話)。作ったのはクラウゼンで、彼の妹の代わりとして作られた(第251・253話)
  • ロイドを誘い出す役目だった:ロイドを世界樹へ案内するはずが、向かう途中の事故で記憶を失い、リオンの御触れに応じた案内人として現れた(第238・240・252話)
  • 創造主より「ロイド様の従者」を選ぶ:世界樹ダンジョンで「人形」だと告げられても、「今の私はロイド様の従者ですから、そちらには行けません」と戻らなかった(第247話)
  • 暗殺の命令を打ち明ける:記憶が戻るとクラウゼンにロイドの毒殺を命じられ、メイドとして城に入るが、「たすけて、ください……!」とすべてを話した(第251〜252話)
  • 最新話:魔力の光で天宙城への道を示して同行し(第256話)、第257話ではクラウゼンに「もう諦めましょう」と呼びかける。クラウゼンは戦意を失ったところで話が終わる

フィオナと周囲の人物の関係をまとめたのが図1です。

フィオナとクラウゼン、世界樹の切れ端、ロイド、シルファ、リオン、ギザルム、グリモとジリエルの関係図
図1:フィオナをめぐる関係(小説家になろう版の第238〜257話から整理)

基本プロフィール

項目内容
名前フィオナ。名乗りは「……フィオナ、です」(第238話)。ロイドを「ロイド様」と呼ぶ
正体世界樹の力によって作り出された人形(第252話)。ロイドの地の文は「限りなく妹そっくりに作られたホムンクルス」とも呼ぶ(第256話)
創造主クラウゼン。フィオナは「クラウゼン、お兄様」と呼んでいた(第251話)
初登場第238話「案内人が必要です?」
外見白いフードの少女。第238話の地の文には「美しい金髪」と「腰まで伸びた長い緑髪」の両方の書き方がある。ふだんは無表情
ロイドとの関係森の案内人(第240話)から従者を名乗り(第247話)、メイドとして雇われる(第251話)
能力迷いの森に道を開く術、木々を操ってテーブルや椅子を作る力、天宙城の場所を示す魔力の光
アニメの声優TVアニメ(第2期まで)は教会編までのため未登場。声優は未発表

正体:クラウゼンが世界樹の力で作った「妹様の代わり」

「フィオナは我が作り上げた人形」(第247話)

世界樹ダンジョンの通路の天井には、フィオナと瓜二つの人形が数十体吊るされていました(第246話)。最奥でロイドが床下から引きずり出した樹人は「我は世界樹」と名乗り、「ふっ、フィオナは我が作り上げた人形なのだよ。ロイド=ディ=サルーム、破格の魔力を持つ貴様をこの場所に誘い込む為に遣わした、な!」と明かします。吊るされていた人形は「フィオナの出来損ない」でした(第247話)。

ところがフィオナは、戻ってこいという樹人の呼びかけを「……イヤ、です」と拒みます。「すみません。あなたのことはよく覚えてません。今の私はロイド様の従者ですから、そちらには行けません。ごめんなさい」。ロイドは、フィオナが自分を連れてくるよう命じられていたのは本当だろうが、記憶を失ったまま忘れていたのだと考えました。

本当の作り手はクラウゼン(第251〜253話)

世界樹が崩れたあと、フィオナが根の通路を抜けて会いに行ったのは、椅子に座る一人の青年でした。フィオナは彼を「……クラウゼン、お兄様……」と呼び、地の文も二人の顔を「兄妹の様に良く似て見えた」と書きます。クラウゼンは「遠隔操作していた世界樹の切れ端のみならず、王百足《オウムカデ》までもが瞬殺されるとは思わなかったぞ」と言い、ロイドたちが戦った樹人は、クラウゼンが遠くから操っていた世界樹の切れ端だったと読めます(第251話)。

クラウゼンはフィオナを平手で打ち倒し、「お前はあくまで我が妹の代用品。役目の為に生きるだけの人形。けしてそこを違えるな」と言ったかと思うと、「可愛い妹よ」と声を和らげます。フィオナ自身も第252話で「私は世界樹の力によって作り出された人形です」と打ち明け、第253話では「私は……あの方の妹様の代わりとして作り出されたんです……」と説明しました。吊るされていた人形を思い出したロイドは、何度も作り直したのだろうと考えています。

記憶を失っていた理由(第252話)

フィオナが記憶を失っていた理由も、本人の告白で明かされます。「創造主様の命令でロイド様の魔力を手に入れるべく、世界樹の元へと案内するはずでした。しかし向かう途中に事故で記憶を失ってしまった」。どんな事故だったのかは書かれていません。記憶が戻ったのは、ロイドがフィオナを地上に残して王百足を追っていたときで、「世界樹の根が私に絡みつき、頭の中に直接……」と語っています。

世界樹が倒れたあと、フィオナも消えたのではと心配するグリモに、ロイドは「フィオナは既に一個体として完全に独立している」と答えています(第250話)。第247話の時点の説明と、第251〜253話で分かった真相を並べたのが図2です。

第247話の樹人の説明と、第251〜253話で明かされたフィオナの正体を対比した図
図2:フィオナの正体の明かされ方(小説家になろう版の第240〜257話から整理)

創造主クラウゼンとは

クラウゼンの初登場は第251話です。第253話で空の雲に映し出された姿は「金髪で耳が長く、エルフのような姿だ。黒い眼鏡のようなものを掛けており」と書かれています。

項目内容
名乗り「我はこの世界の支配者、クラウゼンなり。今この時より、大陸の王となる者だ。ひれ伏すがいい愚民ども!」(第253話)
正体本人の言葉では、天宙城で眠りについたエルフの一族のうち、ただ一人目覚めた者(第257話)。ロイドは、古い伝記にあった「エンシェントエルフ」がそれだろうと考える
目的眠ったままの一族の復活。「皆はまだ生きている。きっと復活の為の魔力が足りないのだ!」(第257話)。そのためにロイドの膨大な魔力を狙った
手口世界樹の切れ端を遠隔操作し、王百足に偽の核を運ばせて本物を手元へ移す(第251話)。天宙城から一日百人の魔術師を貢ぎ物として求め、七日の猶予を与える(第253話)
魔術『黒閃砲』。ロイドはエルフ用に作り変えられた古代魔術だと分析する(第257話)

ロイドの見立てでは、天宙城はロイドから吸い取った魔力で動いており、魔力の波長が同じなのでロイドの魔術がほとんど通りませんでした(第253話)。城と一族の来歴は、第257話でフィオナ自身が語ります(後述)。

能力

  • 迷いの森に道を開く:目を閉じて呟くと、草が倒れ枝が曲がって森に道ができる。ロイドは「血統魔術に近いように見える」と分析した(第239話)
  • 木々を操る:両手が金色に輝くと、木々が形を変えてテーブルと椅子、お茶の席ができあがる。ロイドは「樹系統魔術のみでこれをやれと言われたら、俺でも面倒」と感じ(第240話)、地の文は「フィオナの能力はエルフとしてもかなりのものだ」と書く(第241話)
  • 天宙城への魔力の光:指先から伸びる光で、雲に隠れた天宙城の方角を示す。ロイドは、創造主のクラウゼンと強い魔力の繋がりがあるのだろうと考えた(第256話)

一方で、フィオナが暗殺の命令に頷くしかなかったことについて、第253話の地の文は、契約を結んだ使い魔は術者の波長に逆らいにくいと説明し、「フィオナがクラウゼンに逆らえなかったのもそれが理由だ」と書いています。

人間関係

  • ロイド:案内する相手であり、暗殺を命じられた標的。姿を消したフィオナを魔力探知で探し続け、戻るとメイドとして雇った(第251話)
  • シルファ:抱きついたフィオナを宙吊りにして「……殺します」と言うが、のちにお茶の淹れ方を教え(第248話)、メイドの教育係になる(第251話。シルファのネタバレ解説)
  • リオン:城下と冒険者ギルドに御触れを出してフィオナを見つけた(第238話)。出撃の朝のロイドとリオンの会話を、フィオナは近くで聞いていた(第256話のグリモの言葉。リオンのネタバレ解説)
  • グリモとジリエル:初めは罠ではないかと疑う(第240・246話)が、第257話でグリモは「今はもう人と変わらねぇぜ。成長してやがるんだな」と認める
  • ギザルム:フィオナとロイドのやりとりを遠くから覗き、ロイドの「周囲の人間」が力を封じるのに使えそうだと嗤う(第252話)

物語での歩み

初登場から最新話までのフィオナの動きを話数順に並べたのが図3です。

フィオナの初登場の第238話から最新の第257話までの年表
図3:フィオナの歩み(小説家になろう版の第238〜257話から整理)

リオンが連れてきた記憶のない案内人(第238〜241話)

リオンは城下に、迷いの森を案内してくれる者には望みの報酬を用意するという御触れを出しており、エルフの国へ発つ日に見つけてきたフィオナを紹介します。フィオナは「あなたが……ロイド……さま?」と確かめるといきなり抱きつき、シルファに宙吊りにされます(第238話)。ロイドは一芝居打って、バビロンが化けたエルフ「バロン」をリオンの、フィオナを自分の案内役にしました。記憶がないと言うフィオナを、ロイドは『鑑定』で嘘がないと確かめ、「記憶喪失も、俺を案内しようとしていることも真実、か……。面白い」と案内を任せます(第240話)。森林警備隊も、エルフの国の女王ビビアンも、フィオナを知りませんでした(第239・241話)。

世界樹ダンジョンで正体を告げられる(第245〜250話)

ロイドが世界樹の壁の向こうへ転移しようとした瞬間、フィオナは服の裾をつかんでついてきます。「どうしてもついて行かなきゃダメな気がしたんです」(第245話)。樹人とグリモ、ジリエルが戦うあいだ、シルファに教わったお茶を淹れるフィオナに、ロイドは「……ん、フィオナお前、笑ったか?」と気づきます(第248話)。ムカデを追ったロイドが戻るとフィオナの姿はなく(第249話)、「大事な用を思い出しました。」と書いた置き手紙が残っていました(第250話)。

暗殺の命令と「たすけて、ください」(第251〜252話)

クラウゼンは、エルフたちが「世界樹の命液」と呼ぶ液を凝縮した劇薬を見せ、一滴で王百足を灰にしたうえで、ロイドに飲ませて殺せと命じます。「殺す以外の方法は……」と言いかけたフィオナは、「人形は心など存在しない。ただ頷くのみ。」と押さえつけられ、頷くしかありませんでした。サルームの城の外をうろついていたフィオナは、何者かに虚空へ落とされてロイドの前に現れ、記憶はまだ戻らないと偽ってメイドとして雇われます(第251話)。

周りにロイドのことを聞いて回るフィオナに、返ってくるのは信頼の言葉ばかりでした。シルファは「我々はロイド様をただ信じていればそれでよいのです」と言います。再び何者かに落とされた先は、ロイドが隠れて本を読む場所でした。命液を垂らしたお茶を注ぐ手が震え、ロイドは「――随分と感情が増えてきたじゃないか」と声をかけます。大切な人に誰かを殺せと言われたらどうするかと尋ねたフィオナに、ロイドは「俺は俺の考えでのみ動く」と答え、兄姉のおかげで好きに生きられるのだから信念は曲げられないと話しました。涙を流したフィオナは「たすけて、ください……!」とすべてを打ち明けます。ロイドはお茶を飲み干し、治癒魔術を過剰に促進させたものなら「反転中和することも可能」だと言って、「こんなものじゃあ俺は殺せないな」と平然としていました(第252話)。

天宙城へ:兄を止めるために(第253〜256話)

告白の直後、森の方角から巨大な城が浮かび上がります(第252話)。雲に映ったクラウゼンを見たフィオナは「はい、クラウゼン……お兄様、です」と答えました(第253話)。合体したグレートディガーディアン✕の搭乗席の後ろの物置から、フィオナが出てきて「私も連れていって下さい!」と頼みます。ロイドは、妹そっくりに作られたフィオナは道を踏み外した兄を止めたいのだろうと考え、天宙城へ続く魔力の光を見せたフィオナの同行を許します(第256話)。

最新話(第257話)時点のフィオナ

2026年10月24日掲載の第257話「潜入、天宙城。前編」で、ロイドたちは天宙城の内部の広間にたどり着きます。巨大な樹がそびえ、棺のような石の中にエルフたちの姿がありました。フィオナは「墓地です。ここは、かつて存在したエルフ族たちの……」と言い、城の来歴を語ります。大地の異変で住めなくなった地上を捨てたエルフ族は天宙城で空へ逃れ、地上の監視のために「私のような人形」を作った。それが今のエルフたちだといいます。フィオナは、棺の中の人々を「まるで今にも動き出しそうなのに、死んでいるんですよ。この方たちは」と言いました。

現れたクラウゼンは、一族のうち自分だけが目覚めたこと、皆はまだ生きていて魔力さえあれば復活できると信じていることを語ります。フィオナは「もう、やめて下さいませ。クラウゼン様……!」と呼び方を変えて止め、「今の私はロイド様の従者としてきています。貴方を止める為に……もう諦めましょう。」と訴えました。クラウゼンは「ガラクタ風情が……」と怒り、棺の一つにはフィオナにそっくりな少女が眠っていることも分かります。

逆上したクラウゼンの『黒閃砲』をロイドは指先で止め、「この辺で降参しないか? 悪いようにはしないからさ」と持ちかけます。グリモとジリエルが威圧を放つと、クラウゼンは「ひ――っ!? ば、化け物……!」とへたり込みました。第257話はクラウゼンが戦意を失ったところで終わり、その後のクラウゼンとフィオナはまだ描かれていません。

まだ明かされていない謎

考察ポイント:Web版の第257話までの本文に答えがない点です。
・記憶を失った「事故」が何だったのか(第252話)。初対面でロイドに抱きついた理由も、ロイドたちの推測があるだけで明かされていません
・棺に眠るフィオナそっくりの少女は誰か(第257話)。クラウゼンは第251話で「さぁ、もう少しで会えるぞ。我が妹よ」とつぶやいています
・眠る一族は生きているのか。クラウゼンは「皆はまだ生きている」と言い、フィオナは「死んでいる」と言います(第257話)
・空へ逃れたはずの天宙城が、なぜエルフの森の地下に眠っていたのか。クラウゼンは「地下に潜って数千年」と言いますが、経緯は説明されていません
・フィオナを二度ロイドの前へ落とした術者。本文は名指ししませんが、第252話でそのやりとりを遠くから覗いていた影はギザルムと明記されており、ギザルムの仕業と読むのが自然です

考察ポイント:フィオナは、ロイドが作ったホムンクルスのイドと同じく、作られた側の人物です。創造主の役に立ちたくて力を磨いたイドに対し、フィオナは創造主に背いて、自分で選んだ相手に仕える道を選んでいます(イドについてはイドのネタバレ解説を参照)。

書籍版・漫画版・アニメでのフィオナ

書籍版:講談社ラノベ文庫の9巻(2025年4月2日発売)の紹介文に「サルームの王城に、記憶をなくしたエルフの少女フィオナがやってくる。」とあります。10巻(2025年7月2日発売)の紹介文では、ロードスト領で世界樹を育てることになり、「フィオナによれば、世界樹の枝葉や根を齧るものがいるらしい」とあります。Web版にはない展開で、公式の紹介文にクラウゼンと天宙城は出てきません(2026年10月26日時点)。

漫画版:マガジンポケットの連載は、2026年10月24日配信の第226話「大いなる魔術師の片腕」の時点で学園編の途中です。

TVアニメ:第2期(第13〜24話)の教会編までで、フィオナは登場していません。2026年10月26日時点で、第3期の発表は見当たりません。

人気投票

マガジンポケットの公式キャラクター人気投票(漫画版の読者投票)の公式結果画像(第3回=2024年5月実施、10位まで。第4回=2025年5月実施、49位まで)に、フィオナの名前はありません。どちらも漫画版が学園編に入る前の投票です。

Web版の物語の全体像はWeb版ストーリー全ネタバレ解説にまとめています。

まとめ

  • 正体:世界樹の力によって作り出された人形。クラウゼンが妹の代わりとして作った。樹人はクラウゼンが操る世界樹の切れ端だった
  • 記憶喪失:ロイドの案内を始める前、向かう途中の事故で記憶を失い、世界樹の根に絡まれて取り戻した
  • ロイドとの関係:案内人から従者を名乗り、メイドとして雇われる。暗殺を命じられたが「たすけて、ください」と打ち明け、ロイドは毒入りのお茶を飲み干しても平然としていた
  • クラウゼン:天宙城で眠る一族のうち、ただ一人目覚めたエルフ。一族の復活のために魔力を求め、「大陸の王」を名乗った
  • 最新話:天宙城に同行してクラウゼンを止めようとし、第257話はクラウゼンが戦意を失ったところで終わる