意味が分かると怖い話

【解説】意味が分かると怖い話「絶対あたる競馬」

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動画

意味こわ「絶対あたる競馬」

バイトの先輩は言った。
「もし、史上最高額を手に入れたら、全部おまえにやるよ」
いつもと同じ競馬の話だった。

この男。大ボラ吹きである。
史上最高額。4億7000万。
まったく、よく言ったものだ。

バイトの休憩中、いつも競馬情報を見ながら
「夢があるよなあ、100円が4億だってよ!」
などと、他人の万馬券で鼻息を荒くしていたことを憶えている。

鼻息の度にちらつく、左鼻の穴、1本の鼻毛と、その先におわす鼻くそも忘れていない。
あの鼻くそは、あの鼻毛と、一連託生なんだろうか。
・・・想像したくない。

お金に執着心が半端ない先輩だけれど、
すべてをギャンブルで溶かし、いつまでも貧乏生活のままだった。
貧しき拝金主義者。

だからこそ、僕は先輩の発言に興味を覚えた。
なぜなら。
Qずっと負け続けている先輩がなぜ、今日に限って、史上最高額を稼ぐなんて強気なのか。

次に、
Qずっと負け続けても金大好き星人な先輩が、なぜその金を僕にくれるのか。
全然わからない。
ならば。

今日一日競馬に付き合って、日当代わりに、先輩に教えてもらおう。

で。
第一レースが始まった。
なんとなく、見様見真似で馬券を買った僕は見事、大穴を当て億万長者になったのだ。
・・・という武勇伝で話の幕を閉じたいところだが、ふつうに外れた。

どこへ行った。ビギナーズラック。
少しでも期待した僕が馬鹿だったよ!
と、僕は先輩を横目で見た。
馬券をじっと見ている。
こころなしか顔色が悪い。

僕と目が合うときまり悪そうに、視線をそらした。
はずれたのか、はずれてしまったのか。
まだ第一レースだというのに、なんということでしょうか。
先輩のレースは終わってしまったのだ。

などと、レトロゲーム調のナレーションを頭で流し、人の不幸は蜜の味、楽しんでいると
先輩は次のレースの馬券を買いに行った。

2レース目が終わり、先輩の顔がますます青い。
そんなに金額を突っ込んでしまったのだろうか。
なかなか話かけにくい空気である。

次のレースの馬券を買いに走っていく先輩の背中を見ながら、
僕はこのまま帰ってしまおうかとおもったけれど、疑問の答えを聞くまでは帰れないと、
思いとどまった。

3レース目・・・4レース目・・・・。
先輩。さらに青くなる。
無理やり3日間、ブルーベリーアイに漬けられてしまった人のようだ。
金汚い人ではあるけれど、先輩は先輩。

僕は見るに耐えなくなり、今日は残念でしたね、先輩。
また次がありますよ、「先輩」
と声をかけたときに目に入ったのは、先輩の馬券。

え?
「当たってるじゃないですか」
「これも、これも・・・全部当たってますよ!」
僕は興奮した。

今日、もし、勝利馬を5頭とも的中させたとしたら、先輩が宣言したとおり
史上最高額の配当金になるらしいからだ。
そして、先輩の手には最終レースの馬券。
当たるのか、当たってしまうのか?
僕はさらに興奮した。

僕の鼻息がダイソンになっていた。

これあたっちゃったらどうするんだろ。
いまさらながら、本当にくれるのかどうかが気になりだした。
まあ、くれ! というほうが無理がある。
あれだけお金大好き人間である。

ウルトラ怪獣のカネゴンが人間に変身した姿だと言われても不思議ではない先輩である。
邪な気持ちは捨てここは純粋に応援しよう。
こんな場面、立ち会いたくても立ち会えるものじゃない。

先輩といっしょに最終レースを見守ろうと心に決めた僕の手に、「やるよ」
と先輩はすべての馬券を手渡し、ふらふらとした足取りで、競馬場から出ていってしまった。
ゾンビだってもうすこしまともな足取りである。

ともあれ・・・
最終レースである。
最終レースの馬券はすでに購入済み。

僕のものってことでいいんだよな?
これは僕のものってことでいいんだよな?

ドッキリカメラじゃないか? と周りを見渡すけれど、僕を写しているカメラはなさそうだ。
ってことは、僕のものってことでいいんだよな?
僕のものってことでいいんだよな?

何度も自分で自分に確認する。
ふらふらと出ていった先輩のことなんてもう気にもとめてなかった。
そして、レース終盤、最終コーナー。

先輩が買った馬が一位で通り抜ける。
このまま逃げ切れば、本当に史上最高の配当は僕のものだ。
落ち着け、落ち着け、落ち着け。

僕は、自分が買った馬券でもないし、先頭をはしる馬がどんな馬なのかも知らないけれど
馬券を握りしめ、祈ったこともない神に祈った。
とき。
ブウブウブウブウ
と、バイブレーションの音。

「あれ」
視線の先には先輩のスマホがあった。

フラフラしてたしな、落としてしまったのかな。
僕は自分も興奮と緊張でくらくらしながら、それを拾った。
先輩のスマホはロック画面に通知が出っぱなしになっていた。
不用心だなあ。

と思いながらも、ついつい見てしまう。
なんか既視感があるメッセージだった。
これは?

僕は手に持った馬券と、メッセージを見比べた。
メッセージの内容はすべて今日のレースの内容を事前に通知していた。
いつ、どの馬が勝つのかまで。

「なにかのアプリ?」

僕はメッセージをさかのぼっていった。
わーという歓声。
僕は電光掲示板に目をやった。

「あたった」
「あたったぞおおおおおお」

と、心のなかでだけ叫ぶ。
だって、危ないじゃあないか。

こんなところで、大金を手にしたことがわかれば、どこのだれにないされるかわからない。
冷静さを取り戻そうと、手にもった、先輩のスマホをいじる。
ごめんなさい。先輩。

気を散らすためだけに、あなたのプライベートを覗き見します。
でも。

このメッセージのおかげですべて的中できたのだとしたら、先輩は僕に
バイト代として、そう、いままでの話し相手代として、
今日の配当をくれる気だったのだろうか。

この精度で、再現性があるのなら、お金なんてこれから稼ぎ放題だろう。
なるほどなるほど。
それで、あんなんも自信があったわけか。

僕はここにくるまでの疑問の答えもすべて手に入れ満足だった。
金も手に入れ、大満足した。
さて、このスマホ、パクってしまおうかな? いやいや、先輩に返さなきゃな。
僕も競馬場からさろうとしたとき、

ブウブウブウブウ。

と、着信があった。
先輩のスマホだ。
思わず取ってしまう。

「もしもし」
「もしもし」
「はい、はい・・・はい・・・え!?」

僕は電話を切った。
連絡は、警察からだった。
信じられない。

自殺。

先輩が死んでしまった。
急行に飛び込んでしまったらしい。
財布に身分証明書があったけれど、スマホがなかったためバイト先に問い合わせ、
先輩のスマホに電話をしてみたそうだ。
先輩、なんで自殺なんて・・・

僕は、電話を切ったその指でメッセージの続きをおもわず開いてしまった。
そこには、今日の競馬の結果の前に・・・
なるほど、それで先輩は・・・

僕は今度こそ、疑問を完全な形で理解することができた。
先輩の冥福を祈りながら、いただいたお金でいっそ先輩の銅像でも建てようななんて
考えていると、メッセージが更新された。

それを見て僕は思った。
「さて、この馬券は誰にあげようか」

意味こわ解説

今回の意味こわは、以下の問がすべての始まりにして、終わりです。
アルファにしてオメガです。

Qずっと負け続けている先輩がなぜ、今日に限って、史上最高額を稼ぐなんて強気なのか。
Qずっと負け続けても金大好き星人な先輩が、なぜその金を僕にくれるのか。
全然わからない。

負け続けている人間が、勝つ自信があるという矛盾と、
買ったとして、お金大好きな人が、お金を譲ってくれるという矛盾。

この2つの矛盾について、
主人公は先輩と競馬にいくことで解決しようとしました。

結果、見事先輩は競馬ですべてのレースを当てます。
そして、約束通りすべての金を馬券を主人公にくれます。

その過程で、先輩は
自殺してしまいます。

なぜ、先輩は自殺したのか。

先輩、なんで自殺なんて・・・

僕は、電話を切ったその指でメッセージの続きをおもわず開いてしまった。
そこには、今日の競馬の結果の前に・・・
なるほど、それで先輩は・・・

主人公は、先輩のスマホを見ることと、
先輩の自殺で、すべてを理解することができました。

先輩のスマホには

僕は手に持った馬券と、メッセージを見比べた。
メッセージの内容はすべて今日のレースの内容を事前に通知していた。
いつ、どの馬が勝つのかまで。

がありました。

そしてそれはすべて当たりました。

そう、すべてが現実のこととなりました。

それでは、そのメッセージの前にはなにが書かれていたのでしょうか。

そうです。
先輩の死に対する予言だったのです。

先輩はこのメッセージを見たときに「いたずらかな?」くらいに思ったことでしょう。
しかし、そのあとに続々と届くメッセージ。
しかもその内容は競馬の当り馬が載っていた。

もしも

この通知がすべて事実であるなら自分は、
通知通り死ぬことになる。

だから、競馬にむかったときの先輩の心境としては
当たれば当たるほど、落ち込んでいったはずです。

3レース目・・・4レース目・・・・。
先輩。さらに青くなる。
無理やり3日間、ブルーベリーアイに漬けられてしまった人のようだ。
金汚い人ではあるけれど、先輩は先輩。

そしてすべて当たることを確認した先輩は、
死から逃れることができないと悟り、
考えうる、一番かんたんで、苦しまない方法で死んだわけです。自ら。

だって、死ぬことが確定しているのだとしたら
苦しい死に方、したくないじゃないですか。

溺死なんて最悪ですよ。
できる限り、苦しむ時間が少なく死のうと思ったに違いありません。

そこまで、理解して、後輩ですが・・・
それはそれ、金は金、と
意気揚々と帰ろうとしたのですが、
届いた通知には、自分の名前と今日死ぬということが
書かれたメッセージを見てしまったのです。

それを見て僕は思った。
「さて、この馬券は誰にあげようか」

と、先輩が自分に引き継がせたように
誰かにせめて、お金をあげようとおもったわけです。

ぼくにはとても真似できません。
すごい精神性ですね、後輩。

なんやらかんやらで後悔のない人生だったのかもしれません。
「あなたは今日死にます」
と避けられない予言があったとして
それでも心に余裕を持って過ごせるように
なりたいものです。

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