転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めますは、魔術を愛する第七王子ロイドを主人公にした謙虚なサークルのWeb小説です。サイアス=ロー=レビナントは、大暴走の章(Web版第124〜149話)で第二王子アルベルトの隊の副官としてロイドと並んだ、大貴族レビナント家の三男です。ロイドの兵を引き抜いて張り合う嫌味なライバル役ですが、一族の血統魔術「極色彩光炎」は、ロイドが前世の自分を焼いた炎だと気づいた魔術でもありました。

この記事では、原作のWeb版(小説家になろう版)の本文をもとに、サイアスの立場と歩み、極色彩光炎の仕組みを整理し、「サイアスはロイドの前世を殺した決闘相手なのか」について、本文で確定していることと確定していないことを分けて説明します。

ネタバレ警告:この記事はWeb版の大暴走の章(第124〜149話)を中心に、第1話の前世の決闘から最新の第257話までのネタバレを含みます。TVアニメ(第2期まで)は大暴走の章より前で終わっており、公式のキャラクター紹介とキャストにサイアスの名前はありません。

この記事の基準:話数と台詞は、小説家になろう版(作品コードN5657FV)の本文で確かめたものです(2026年10月26日に全257話を取得)。書籍版・漫画版・アニメとの違いは最後の節で分けて扱います。

ほかの登場人物の正体や立場は、第七王子の登場人物一覧にまとめています。

サイアスの正体と結末(結論)

  • 大貴族レビナント家の三男:シルファの紹介では「サルームでも十指に入る大貴族、レビナント家の三男」。国立魔術学園を首席で卒業し、魔術師としてはアルベルトに次ぐ実力と言われる(第129話)
  • アルベルト隊のもう一人の副官:大暴走でロイドと並ぶ副官になり、ロイドを一方的に敵視する。ロイドが率いるはずだった兵を、格安の傭兵の紹介を持ちかけて自分の隊へ引き抜いた(第131・133話)
  • 血統魔術「極色彩光炎」:レビナント家は有名な炎魔術師の家系。第146話、冷気をまとう魔物ユキウサギに極色彩光炎を放つが、押し合いになる
  • 前世を焼いた炎:その炎を見たロイドは「――あれは前世での俺を焼いた炎だ。」と気づく。ただし、サイアス本人が前世の決闘相手だったかどうかは、第257話の時点でも本文で確定していない
  • 結末:ロイドが陰で放った「本来の」極色彩光炎がサイアスの手柄と思われ、期待に応えられずに信用を失って修行の旅に出る。「私は必ず戻ってくる。それまで勝負はお預けだ」と言い残し(第148話)、以後、第257話まで登場しない

サイアスと周りの人物の関係をまとめたのが図1です。

サイアスとロイド、アルベルト、クルーゼ、シュナイゼル、レビナント家、前世の決闘相手の関係図
図1:サイアスをめぐる関係(小説家になろう版の本文から整理。点線は本文で確定していない関係)

基本プロフィール

項目内容
名前サイアス=ロー=レビナント(第129話、シルファの紹介)。本人の名乗りは「サイアス=レビナントでございます」(第142話)
家レビナント家の三男。地の文では「有名な炎魔術師の家系」(第142話)
経歴国立魔術学園を首席で卒業し、軍学校で戦術を学ぶ(第129話)。この魔術学園は、ロイドが前世で通っていた学校
立場大暴走でアルベルト隊の副官(第129話〜)。死体の焼却には魔術師中心の隊を連れていく(第142話)
外見・年齢金色の長い髪と鋭い目つき。年齢はロイドの見立てで三十前後(第129話)
登場話初登場は第129話「自分だけの部隊を作ろう」。最後の登場は第148話「シュナイゼルの思惑」
ロイドとの関係同じアルベルト隊の副官。サイアスは一方的にライバル視するが、ロイドは張り合われていることに気づいていない
能力血統魔術「極色彩光炎」。戦う前に外す黒い革手袋は、魔力を封じる魔道具(ロイドの見立て)
アニメの声優公式のキャラクター紹介・キャストに名前はない。第1話の「貴族生徒」(子安武人)がサイアスかどうかは公式に示されていない(後述)

サイアスはロイドの前世を殺した決闘相手なのか

前世のロイドは、魔術学園でただ一人の庶民でした。ある日「公爵家嫡男」の魔術書が盗まれ、疑われた「俺」は、決闘を申し込まれます。申し込んだ「彼」は、文脈上、魔術書を盗まれた公爵家嫡男と読めます。貴族の魔術を見てみたい一心で受けた決闘で、「巨大な炎が渦を巻き、氷嵐が吹きすさぶ」上位魔術に見惚れた「俺」は、「見惚れて、無防備にそれを受け、死んだ。」のでした(第1話)。この最期とサイアスがどう結びつくのかを、本文の記述に沿って見ていきます。

本文で確定していること

確定しているのは、前世の自分を焼いた炎がレビナント家の血統魔術「極色彩光炎」だったと、ロイド自身が断言していることです。第146話、サイアスが放った極彩色の炎を見て、ロイドはこう気づきます。

「――あれは前世での俺を焼いた炎だ。」

続く地の文では、当時は魔術から術式を読み取れなかったが、いま発動を見ればわかるとして、「間違いなくあの時の炎である。」と言い切っています。第1話の「巨大な炎が渦を巻き、氷嵐が吹きすさぶ」と、第146話の「極彩色に燃え盛る炎の中には吹き荒ぶ氷嵐が、鳴り響く豪雷が見える。」という描写も重なります。

前世とサイアスを結ぶ手がかりはほかにもあります。サイアスの母校の国立魔術学園は、ロイドが前世で通った学校です。三十前後に見えるサイアスに、ロイドは「前世の俺が生きていれば、あのくらいだろうか」と思い、「もしかしたら同期だったかもしれないな」と考えます。ただしすぐ後に、庶民の自分には友人がいなかったので「知り合いとかではないだろうが」とも思っています(第129話)。さらにアルベルトは、サイアスの学生時代をこう明かします。「サイアスは学生時代、自分より優秀な生徒になんやかんやといちゃもんをつけて決闘をふっかけ、潰してきたんだよ。特に身分の低い者がよく標的になっていたらしい。」これを聞いたロイドは「へぇ、そういえば俺も前世で貴族に難癖つけられ、決闘を挑まれたっけな。」「もうあまり覚えてないが、あれ同じようなものだったのかもしれない。」と振り返りました(第133話)。

本文で確定していないこと

一方で、極色彩光炎を放ったのがサイアス本人だったかどうかは書かれていません。第146話のロイドは、ここで考えるのをやめてしまいます。

「ということはサイアスがあの時の……うーん、俺は人の顔を覚えるのは苦手だからな。十年以上前のことなどよく覚えていない。」「……ま、どうでもいいか。そんなことより血統魔術だ。」

本文には、サイアス説と食い違う記述もあります。第1話で決闘を申し込んだのは公爵家嫡男と読め、サイアスは「レビナント家の三男」です。「公爵」の語が出るのは第1話だけで、レビナント家が公爵家だとは書かれていません。また第1話は、致命傷になった魔術を「彼らの魔術」と書くだけで、誰が放ったのかを名指ししていません。第2話のロイドは、自分を殺した魔術を「高価な媒体を使用したごり押し」だったと振り返っており、第146話の、血統魔術の炎だったという気づきとどうつながるのかは説明されていません。サイアス本人も、前世の決闘やロイドの前世について一度も口にしないまま、第148話で旅に出ました。手がかりと食い違いを並べたのが図2です。

サイアスが前世の決闘相手かどうかについて、本文の手がかりと食い違う点を並べた図
図2:サイアス=前世の決闘相手説の手がかりと食い違い(小説家になろう版の第1・2・129・133・146・148話から整理)

なお、日本語版Wikipediaはサイアスを「ロイドの前世にあたる魔術師を殺した男」と紹介していますが、脚注はなく、Web版の本文はそこまで確定させていません。

能力:血統魔術「極色彩光炎」

地の文の説明では、名家は魔術師同士の血を掛け合わせて、より高純度の魔術を生み出します。これが血統魔術で、「レビナント家のそれは特にすごいと有名」でした(第142話)。サイアスはこの切り札を簡単には見せず、ロイドに魔術を使わないのかと聞かれても「我が魔術はこのような場で安売りするものではないっ!」と突っぱねています(第143話)。

第145話、谷底から現れたユキウサギを前に、サイアスは黒い革手袋を外して「私が仕留める」と前に出ます。手袋は、ロイドの見立てでは魔力を封じて特定の魔術を底上げする魔道具です(第146話)。サイアスのまとう炎は兵たちを苦しめていた冷気を中和し、術式は渦巻いて、氷嵐や豪雷などが織り重なった極彩色の炎になります。「喰らうがいい、極色彩光炎!」の声とともに炎を放ちますが、ユキウサギの冷気と押し合いになり、「ぐぅぅっ、我が血統魔術が魔物風情と互角だと……っ!?」とうめきます。

その炎を観察したロイドの分析が、極色彩光炎の仕組みを明かします。ロイドの見立てでは、血統魔術は「自らの血に術式を刻むことで複雑な術式を使えるようにしている」もので、極色彩光炎は「要するに一人多重合成魔術」でした。炎の中にほかの現象が見えるのは出力が足りないからで、すべてを同じ出力で発動すれば合成魔術として成り立つ、とロイドは見抜きます。「見たところサイアスはまだあの血統魔術を使いこなせていないようだ」とも考え、長い年月のうちに使い手の質が落ちていったのではないかと推測しました。グリモとジリエルは「溜めが長すぎて実践的とは程遠い」などと低く評価しています(第146話)。

ロイドはその場で自分の血に術式を刻み、サイアスの後ろから「本来の」極色彩光炎を放ちます。ユキウサギは消し飛び、光は向こう岸の森ごと魔物の群れを焼き払いました。血に刻んだ術式はその後もロイドに残り、次の戦いでは加減したはずの『火球』が天高く燃え上がって、「どうも先刻血に刻んだ術式が強く作用しすぎるようである」ともう一段の手加減を考えることになります(第147話)。

率いる魔術師の隊は、五人一組で『火球』を五重詠唱して死体を焼き、ロイドに「流石学園のエリート卒」と感心されました(第142話)。初対面の握手では、互いの魔力を素早く等量にそろえる「魔力合わせ」でロイドを試し、自分と同程度近い魔力に驚いています(第129話)。

人間関係

人物サイアスとの関係(話数)
ロイド同じ副官。サイアスは「口添えに感謝はする。しかし君には負けぬぞ」と張り合う(第142話)。ロイドは気づかず、山側の支援が必要だと考え、血統魔術を見たい気持ちもあって同行し(第144話)、最後の「勝負はお預けだ」にも「いつの間に勝負をしていたか疑問だが」と首をかしげる(第148話)
アルベルト上官。副官として紹介し(第129話)、負けん気の強さは評価していたと言う一方、兵の引き抜きを見抜いて戦後の審議を告げる(第133話)
クルーゼサイアスの隊の練兵役。「おぬしの兵、ちと軟弱すぎるぞ?」と呆れ、サイアスの首根っこを掴んで訓練場へ引きずっていく(第133話)
シュナイゼルサルーム軍を率いる第一王子。死体の焼却を任せてほしいというサイアスの申し出を、ロイドの口添えもあって許す(第142話)
グリモ・ジリエル兵の引き抜きに憤慨し(第131・133話)、極色彩光炎も低く評価する(第146話)

ロイド本人の歩みはロイドのネタバレ解説で、上官のアルベルトはアルベルトのネタバレ解説で詳しく扱っています。

物語での歩み(第129〜148話)

サイアスが登場するのは、Web版の大暴走の章のうち第129〜148話です。話数順に並べたのが図3です。

サイアスの初登場(第129話)から修行の旅(第148話)までを話数順に並べた図
図3:サイアスの歩み(小説家になろう版の本文から整理)

副官就任と兵の引き抜き(第129〜133話)

およそ百万の魔物が押し寄せる大暴走(第126話の報告)を前に、アルベルトは私兵隊の前でロイドとサイアスを副官として紹介し、二人に兵を率いてできれば五千を集めるよう命じます(第129話)。

翌日、ロイドのもとに集まった兵は十数人だけでした。兵の話では、サイアスが解散直後の兵たちに「私の元へくれば格安で雇える傭兵を紹介しよう」と声をかけ、ほとんどが従ったのです(第131話)。勝ち誇るサイアスは「私の軍の全兵力は現時点で七千に迫る!」と胸を張りますが、ロイドの報告は「一万と二百五人です」(大半はロイドが作った魔力兵)。引き抜きを見抜いたアルベルトは、今は不問にするが「この戦いが終わったら君の審議も問われる事になるだろう」と釘を刺しました(第133話)。

大陸門と死体の焼却(第140〜144話)

決戦の地「大陸門」では、ロイドが連れてきた山賊たちを鼻で笑いますが、その中に帝国最強の軍師マルスがいると知って愕然とします(第140話)。倒した魔物がよみがえる戦場で(シュナイゼルは死霊魔術とみています)、サイアスはシュナイゼルの命令に割り込み、ロイドの隊より魔術師が多い自分の隊に死体の焼却を任せてほしいと願い出ました。血統魔術を見たいロイドが口添えし、二人は少数を連れて門へ向かいます(第142話)。クルーゼ隊の後始末を終えると、サイアスは「レビナント家の誇りを汚したまま帰るわけにはいかんからな」と、苦戦する山側の第三部隊の支援へ向かい、ロイドもついていきます(第144話)。

ユキウサギ戦と極色彩光炎(第145〜146話)

山側では、第三部隊が山頂を捨てて谷の向こうへ退き、シュナイゼルが軍事魔術で整えておいた(ロイドの見立て)谷底へ魔物を落とします。サイアスは魔術兵に谷底へ『火球』を放たせました(第145話)。そこへ現れたユキウサギとの戦いが、前の節の極色彩光炎の場面です。ロイドが陰で放った一撃でユキウサギが消し飛ぶと、兵たちは「流石はサイアス様!」と沸きますが、「当のサイアスは困惑しきっている」のでした(第146話)。

信用を失い、修行の旅へ(第148話)

大暴走が終わったあと、サイアスは修行の旅に出ます。ロイドの地の文によれば、あの時ロイドが放った血統魔術のせいで多大な期待を寄せられたものの、それに応えられずに信用を失ったためでした。ロイドが声をかけると、返ってきたのは「私は必ず戻ってくる。それまで勝負はお預けだ」。ロイドは、帰ってきたら未知の魔術を身につけているかもしれないと楽しみにしています(第148話)。大暴走の章全体の流れはWeb版ストーリー全ネタバレ解説にまとめています。

最新話(第257話)時点のサイアス

サイアスが出てくるのは第148話が最後で、第149話から最新の第257話(2026年10月24日更新)まで、名前も「レビナント」の家名も出てきません。修行の旅の行き先、戻ってくるのかどうか、アルベルトが告げた戦後の審議がどうなったのかも書かれていません。

まだ明かされていない謎

考察ポイント:第257話までの本文で答えが出ていない点です。
・前世の決闘相手は誰だったのか。極色彩光炎を放ったのがサイアスなのか、第1話の「公爵家嫡男」が誰なのかは明かされていません。極色彩光炎はレビナント家の血統魔術なので、サイアス以外の一族の者だった可能性も、本文からは消せません
・再登場はあるのか。ロイドは勝負をしていたつもりがなく、「勝負はお預けだ」の行方も描かれていません
・戦後の審議の行方。アルベルトは手柄で罪を相殺するよう促していましたが、その手柄はロイドの一撃でした

書籍版・漫画版・アニメでのサイアス

書籍版(講談社ラノベ文庫)は、大暴走を描く5巻(2022年7月1日発売)の講談社の紹介文に「子どもと侮られたロイドの下に集まった兵士は数は少なく弱兵ばかり」とありますが、サイアスの名前は出てきません。

漫画版(作画 石沢庸介、マガジンポケット)では、配信一覧で第148話の題名が「サイアス」(2023年10月28日配信)、第199話が「極色彩光炎」(2025年4月19日)、第200話が「夢」(2025年5月3日)です。読者の感想ブログ「BLACK SWAN 2nd GIG」によると、第199話でサイアスは敵のナナシに極色彩光炎を放ち、ナナシの死霊魔術の触媒にはロイドの前世の「お兄さん」の頭蓋骨が使われていました。第200話では、サイアスがその「お兄さん」に抱いていたコンプレックスを語り、ブログはこの回をサイアスの「告白」と呼んでいます。漫画版は前世とサイアスの関係をWeb版より踏み込んで描いているとみられますが、本記事では漫画本編を照合していません。

TVアニメは第2期(第13〜24話)の教会編まで放送され、公式サイトのキャラクター紹介とキャストにサイアスの名前はありません。日本語版Wikipediaはサイアスの声優を子安武人としていますが、この記載に脚注はありません。同じページが前世の魔術師の項で出典に挙げる公式Xの投稿(2024年4月2日)では、第1話のゲスト声優として子安武人の役名は「貴族生徒」と紹介されており、この貴族生徒がサイアスかどうかは公式に示されていません。2026年10月26日時点で第3期の発表は見当たりません。

人気投票

マガジンポケットの第4回キャラクター人気投票(漫画版の読者投票。2025年6月7日発表)で、サイアスは18位(257票)でした。第3回(2024年)の公式画像は10位までで、サイアスの名前はありません。

まとめ

  • 人物:大貴族レビナント家の三男。大暴走でアルベルト隊の副官になり、ロイドを一方的にライバル視して兵を引き抜いた
  • 能力:血統魔術「極色彩光炎」。ロイドの分析では一人多重合成魔術で、サイアスはまだ使いこなせていない
  • 前世との関係:前世のロイドを焼いた炎は極色彩光炎だったとロイドは断言するが、サイアス本人が決闘相手かは、第257話の時点で確定していない
  • 結末:ロイドの一撃を自分の手柄と思われて信用を失い、第148話で修行の旅へ。第149話以降は登場しない