お局さまサンキュー!
「あなた、1日何回トイレ行ったら気が済むのよ」
怒られている。
現在進行形で怒られている。
わたしの職場には、一度も部署移動もなく、経理部に鎮座なさっている女性上司がいる。
もう15年経つらしいが、管理職ではない。
彼女は、主任。わたしも主任。
役職的に見ても、上司ではないのだけれど、その立ち居振る舞いは、上司のそれだ。
「朝、昼にご飯食べると、トイレ行きたくなっちゃうんですよねー、頻尿なので4回くらいかな」
あははは、と愛想笑いを返してみた。
「6回」女上司は言った。
「え?」
「6回よ」念押しするようにもう一度彼女は言った。
あなたは平均6回は、仕事中にトイレに行っている、と取り出したメモ帳を眺めながら、わたしのトイレに行った回数を、ご丁寧に、平均で示してきたのだ。
6回?
そんなに行ってる?
と、いう疑問よりも、なにより「そんなこと大きな声で言わないでよ」という怒りのほうが大きかった。
4回で頻尿って笑いをとろうとしてたのに、6回だなんていわれたらド頻尿じゃない。
明日からわたしのあだ名は、あなたのせいで、頻尿か、6回女よ、オフィスは、9階なのにね!
だからきっとうわさされる。「本当は9回なんじゃないのかしら」って。
ひどくない?
6回なのに、9回って。5割増しだよ、プロ野球選手の打率だったらギネス記録どころの騒ぎじゃないから!
まあ、プロ野球選手でも打率でもないのだけれど。
「せめて、3回にしなさいよね」
と、ため息をつき、メモ帳を閉じる女上司(仮)
なぜ三回なんですか?
と質問しようとしたところで、一度考えてみる。
・・・なるほど。
「三回休憩だから、サンキュー!」
ってことですかね?
返事はない。
もう女上司は、わたしをほっぽらかして、仕事を始めていた。
17:00。
お局様の仕事は始まったばかりだ。
なぜお局様がいる職場に未来はないのか
これはあくまでぼくの主張なのですが、お局様のいる職場には未来はないと思っています。
勘違いしないで欲しいのは、職場の、会社の未来がないという意味ではないです。
そこに、あなたの未来はない、ということです。
なぜ、お局様がいる職場に、「あなた」の未来がないのか。
お局様とい存在を理解するところからはじめて、お局様への対策を練ったあとで、まとめたいと思います。
なぜお局様を嫌に感じるのか
お局様。
もう、その言葉に含みがありますよね。
いい意味でお局様ってことはないと思います。
過去に、水曜日のダウンタウンで、「どんな悪口でも『いい意味で』を付ければ許される説」っていうのを検証してましたが、許されてませんでした。
完全に先輩芸人は失礼な後輩芸人に切れていました。
ではなく。
「なぜお局様を嫌に感じるのか」に話を戻すと、先に、書いたシーンもそうなんですが、お局様と呼ばれるような人は、だいたい問題行動をとります。
お局様の嫌な行動
- いじめる
- いじめを扇動する
- 皮肉をいう
- 噂を立てる
女性で、業務歴が長く、こういう行動をとる人たちのことをだいたい「お局さま」と揶揄するのだと思います。
お局さまを嫌に感じるのは単純明快で、「嫌なことをするから」です。
あたりまえですね。
誰でも嫌なことはされたくないものです。
でも、そんなことは子どもの頃から習っていることで、それも理解して行動に取り入れられないのはなんででしょうか。
そこで、なぜお局さまが、お局さまと呼ばれる存在になってしまったのかを考えてみましょう。
なぜあの人は「お局様になった」のか
人に嫌な行動をしてしまうにはそれなりの理由があります。
勘違いしないで欲しいのは、理由があれば、嫌なことをしてもいいというわけではないです。
ただ、敵を知り己を知れば百戦危からず、というように、逆にいえば、敵を知らなければ、対策をうちようないので、戦が危ういということになります。
嫌な人の気持ちを理解しようとすることは、抵抗感がある作業ですが、自分を守るためには仕方ないです。
心理学的に考えてみましょう。
お局様のように、問題行動を起こしてしまうのは、適応規制に失敗した結果の、適応障害です。
適応規制とは、欲求(○◯したいだとか、したくないだとか)が叶えられないとき=欲求不満を解消するための手段です。
つまり、適応規制に失敗しているということは、欲求不満が持続している状態ということです。
辛いですね。
考えてみてください。
あなたは今お腹が空いています。お腹が空いて空いて仕方がないです。
目の前には、ジュージューとおいしそうな音を立て、香ばしい匂いを立てているステーキがあります。
でも、それをあなたは食べることができません。
どんなにお腹が空いていても食べてはいけないんです。
そうこうしているうちに、後からやってきた人間がそれに手を伸ばそうとしています。
「こら!」
とか。
バシッと手を叩く!
だとか。
その相手の行動を阻止したくなりませんか?
そういうことなんです。
で。
この例は極端にするために、お局様が抱えている欲求ではなくて、本能的な欲求「食欲」が欠乏しているときの例です。
お局様が抱えていると思われる欲求は、食欲ではありません(あるいは食欲って人もいるかも知れませんが。食べ物大好きな人もいますしね)。
承認欲求です。
承認欲求とは、誰かに認めてもらいたいといった欲求なのですが、マズローの五段階欲求で考えるとわかりやすいです。
人間はまず生命を維持したい、という欲求があります。
これは、勝手に意訳ですが、生存の欲求とします。
生存ができると、次に、安全の欲求が生じます。
生存できているという状態を、長く保持したいということですね。
次に安全という状態を長く保持するために、所属の欲求があります。
多くの訳では社会的欲求となっているやつですね。
社会に所属することで、安全が守られ続ける、守りやすいということです。
そして、次にくるのが承認欲求です。
所属した社会で、認められたいという欲求のことですね。
所属した社会にい続けるには、認められ続ける必要があるということですから。
ここで、多くのお局様は問題が生じたのでしょう。
あるいは生じるのでしょう。
承認欲求よりさらに上位の欲求に到達すると、自己実現の欲求に達するのですが、そこに達することができない状況にあると考えられます。
承認欲求とは、認められたい、という気持ちなわけです。
言い換えれば、それは評価されたい、という欲求です。
しかし、なかなか他人から評価されることは難しいものです。
特に、最近は社会的に女性活躍推進、なんて叫ばれてますが、叫んでいるということは、推進しなければ、女性は活躍しにくいということの裏返しでもあります。
そんな中で、同じ部署で、昇進もできず、ずっといる女性は別の手段で評価されることで、承認欲求を満たしたい、と考えてしまうのではないでしょうか。
まあ、考えているわけではなくて、無自覚なんだと思うのですが。
自分の評価をあげる、簡単な方法があります。
それは、他人の評価を下げる、ということです。
評価というのは、以外に絶対評価ではなくて、絶対的な基準はなくて、相対的なものです。
試験の結果でもわかりますよね、偏差値使いますし。
この考え方は、相手の評価が下がれば、自分の評価が上がるということを暗に示しています。
だから、ついつい他人に対して、いじめなど陰湿なことを無自覚的にしてしまうんですよね。
実際に、他人の評価を下げるような行為をして、自分の評価が上がっていなかったとしても、上がったように錯覚してしまうということです。
しかし、これは錯覚です。
錯覚なんです。
だから、「お局さま」だなんて呼ばれ、陰口叩かれ、陰口叩かれたいることも知り、知らないふりをする。
そんな状態で評価が上がるわけもなく、誰からも認められない、承認欲求が満たされない。
適応規制(皮肉は攻撃規制に分類されると思います。失敗した適応です)に失敗し続け、欲求不満が続き、問題行動(=いじめなど)に走るわけです。
そして、苦労した(と思っている)人は、他人に同じ苦労を強いる傾向が強いです。
石の上にも三年、みたいな。
だから、お局様はあなたたちに、苦労を強いる。
あなたたちが認められれば、認められるだけ、いじめたくなる。
わかりますか。
お局さまからみて、あなたたちは、「昔の自分」なんです。
まだ、認められる可能性を持つ頃の自分。失敗する前の自分。
失敗した自分が失敗しないなんて許せない。
そういうものなんです。
そんな迷える大羊、お局様。
彼女たちに対抗する術を三つにまとめました。
お局様対策1:お局さまの承認欲求を満たしてあげる
承認欲求が満たされないせいで、問題行動を起こしているんです。
だから、簡単にいえば、その承認欲求を満たしてあげればいいんです。
しかし、いうほど簡単ではありません。
例えば、太鼓持ちのようなことをして、ひたすらお局様を褒めればいいのかといえば、そういうわけでもありません。
なぜなら、それはお局さまが求めている欲求ではないからです。
お局様が認められたいのは、お局さまより立場が上の人間です。
簡単にいえば、上司です。
そして、認められた、と分かりやすい事実は、昇進です。
となれば、お局さまの承認欲求を満たすには、基本、昇進してもらうより他ありません。
しかし。
昇進できないから、お局さまは承認欲求不満で10年以上過ごしているわけです。
彼女たちが独自の力で昇進できることは、まあ、期待できないでしょう。
ならばどうするか。
お局様を昇進させる
それは、あなたが、お局様を昇進させてあげればいいんです。
(わたしがお局さまの上司じゃないんだけど・・・)
おいおい。
と。
思ったかも知れませんが、何も、直接人事権がなくても、相手を昇進させることはできるんです。
あなたが必死にがんばって、その手柄をお局様に譲ればいいんです。
これなら、あなたの努力で、問題を解決できます。
ただ、問題があるとすると、嫌いな相手を応援する、ということになるんですよね、この方法。
しかも、相当な能力と、労力がないとかないません。
しかし、これはとてもホワイトな方法で、あなたに実力もつきますし、あなたのおかげで昇進したお局さまは、今後、あなたの味方になってくれることでしょう。
みんなハッピーですね!
じゃあ、明日から、がんばってください!
・
・
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というのが、できないから困っているというのもわかります。
それでは、このホワイトな方法より簡単な方法をお伝えしようと思います。
ただし、ブラックな方法になるため、悪用は厳禁です。
お局様対策2:お局さまの所属欲求を欠乏させる
上に行こうとしてもがいている者のもがきをやめさせるには、もう一段下に落としてしまえばいいんです。
マズローの5段階欲求は先に話した通り、下から上に上がることで、新たな欲求が生まれるというモデルで解説しています。
つまり、今発生している欲求より下位の欲求が満たされなくなれば、下位の欲求が優先され、いま発生している欲求は充足することがなくても消失するんです。
お局様は、承認欲求によってもがき苦しんでいます。
なので、お局様の今の立場を危なくする。所属の欲求の段階へ落としめてしまえばよいのです。
お局様に雇用不安を与える
物騒な言い方になってしまいましたが、所属の欲求を欠乏させるためには、雇用不安が一番です。
お局様から見れば、所属していて、認められたい組織、社会とは、今就業している会社のことです。
その会社にいられないかも知れない、となれば、認められたい! どころではなくなるということです。
ただ、気をつけて欲しいのが、雇用不安を意図的に与えるということは、パワハラに当たります。
なので、自分が相手にとって会社の中で強い立場にある場合には、実行してはいけません。
そうでなければ、むしろお局様行為がパワハラなので、問題ないでしょう。
問題ないというのは、パワハラし返すことが問題ない、といっているわけではありません。
パワハラと捉えられるような行為は、自分の立場が下でも控えた方がいいでしょう。
嫌な相手のために自分が危険を犯す必要はありません。
上司に危険は犯してもらいましょう!
・
・
・
ではなく。
お局様がやっていることを利用すればいいんです。
今の世の中は、ハラスメントにうるさい世の中です。
となれば、お局様がパワハラをしているという事実を利用するのです。
大きな会社であれば、そういう窓口を開いているので、コーポレートサイトでも、社内サイトでもよいので確認し、そこへ通報しましょう。
匿名で扱ってくれるはずです。
正当な手段で、お局様を制裁することができます。
この方法も、お局様以外はみんなハッピーになりますね。
お局様はごめんなさい。
かわいそうだとは思いますが、自業自得なので、甘んじて罰を受けてもらいましょう。
ただ、前述したような窓口が整備されていない会社もあるかも知れません。
小さい会社で、あるいは学校のような閉鎖的な空間の場合、お局様が女帝のように君臨している可能性もあります。
神戸市立東須麿小学校のような例ですね。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191021-00016325-jprime-soci
この場合には、正当な方法でお局様に雇用不安を与えることは至難の技でしょう。
別の手段を講じなければなりません。
お局様対策3:お局さまから逃げてしまう
けっきょく、これが一番です。
他人を変えることは難しいですが、自分を変えることは決断だけでできます。
また、この方法は、退職すればいいだけです。
お局様対策1:お局さまの承認欲求を満たしてあげる
や
お局様対策2:お局さまの所属欲求を欠乏させる
のように
何か、努力する必要もありません。
(でも転職するのは不安・・・)
という人もいるでしょう。
しかし、ぼくがこの方法を強く勧める理由があります。
それは、お局様は「自分」だということです。
え?
なんでお局様に困って、対策しようとしているわたしが?
と思うかも知れませんので、説明しますね。
お局様は未来の◯◯
お局様があなたを過去の自分だと思っているのと同じで、お局様はあなたの未来の姿なのです。
考えてもみてください。
お局様だって、昔はあなたのような若者だったはずです。
それが、お局様になってしまったのは、お局様の責任もあるでしょうが、十数年もの欲求不満状態を放置する会社だということです。
あなたが今いる会社は。
なので、そんな会社で努力したり、戦うことを考えるより、今すぐ転職して心機一転しましょう。
あなたがお局様をみて、嫌に思うのも、そこに未来の自分を見てしまっているからかも知れないのだから。
了