この記事は、5話「内なる望み」でゲラルトがジンに願った最後の願いの考察です。
原作ファンに指示されている仮説の中から「イェネファーとの間に子どもを授かりたい」説について解説します。
結論
ゲラルトの最後の願いは、「イェネファーとの間に子どもを授かりたい」ではない。
解説
ゲラルトの最後の願いの仮説として指示されることが多いものの1つとして、「イェネファーとの間に子どもを授かりたい」という願いであった説があります。
これは、その後の展開やイェネファーの過去を考えると、魅力的な説のひとつであることは間違い無いでしょう。
例えば、ドラマ版ウィッチャー5話「内なる望み」を初めてみた人も、この仮説に行き着くことが多いのでは無いでしょうか。
ジンを封じ込めようとしたイェネファーの体に浮かび上がる子宮のような文様もありますし。
しかし、海外の考察でも否定されているように、ぼくもこの考察には否定的な立場です。
まず前提を振り返ってみましょう。
- 短気で強力な精霊ジンですが、主を殺すことはできません。
- 自分を無理に使役しようとしたものを許しません。
- イェネファーはゲラルトの願いのおかげで救われました。
- ゲラルトは、イェネファーの過去を知り、願いを決めました。
- イェネファーはゲラルトの願いを知り、とても感動しました。
- そして、ゲラルトが死ぬと、同時に、イェネファーも死にました。
「イェネファーとの間に子どもを授かりたい」説が前提と合致している部分
適合しているのは、以下の4つです。
イェネファーはゲラルトの願いのおかげで救われました。
ゲラルトは、イェネファーの過去を知り、願いを決めました。
イェネファーはゲラルトの願いを知り、とても感動しました。
自分を無理に使役しようとしたものを許しません。
ゲラルトは、イェネファーの過去を知り、願いを決めました。
ゲラルトは、イェネファーが過去に奇形の少女であり、誰にも愛されず育ち、子宮を失い、子どもを産めなくなってしまったため、それを取り戻すために躍起になっていることを知ります。
そのイェネファーの願いを知った上で、「イェネファーとの間に子どもを授かりたい」と願ったのなら、それは正当性があるように思えます。
自分を無理に使役しようとしたものを許しません。
ジンは、短気で無限にも等しい力を持っていると言われています。
そのジンの怒りに触れたものを通常助けることは不可能です。
なので、イェネファーの未来についての願いをかけることで、イェネファーを生かすことはできたという意味では、正解でしょう。
イェネファーはゲラルトの願いを知り、とても感動しました。
また、イェネファーがゲラルトの願いを知って、感動した。という描写から、イェネファーの望みを叶えようとしていたということはわかります。
なので、その点においても、「イェネファーとの間に子どもを授かりたい」と願ったとう説には正当性があるでしょう。
イェネファーはゲラルトの願いのおかげで救われました。
ゲラルトの願いが、「イェネファーとの間に子どもを授かりたい」である場合、まだこの場では、子どもを授かっていないわけで、ジンが願いを叶えるために、イェネファーを殺したくても、殺せなかった=イェネファーがこの場では救われた、ということでOKでしょう。
「イェネファーとの間に子どもを授かりたい」説が前提と合致してない部分
この説が前提に合わない部分が2つあります。
短気で強力な精霊ジンですが、主を殺すことはできません。
まず合わない、というよりこの設定を活かせてない願いです。
ウィッチャーの専門家として事態に当たるというだけでなく、次の前提を守るためにも、この前提に適合する必要があります。
そして、ゲラルトが死ぬと、同時に、イェネファーも死にました。
つまり、適合していない前提の2つから考えて、ゲラルトの死=イェネファーの死という繋がりが、「イェネファーとの間に子どもを授かりたい」という願いの場合実現できないので、ゲラルトの最後の願いとしては適切でない、と考えられます。
まとめ
ジンからイェネファーを救うために、ゲラルトはジンに最後の願いを願った。
怒ったジンからイェネファーを救うには、ジンの願いの抜け穴を使わざるを得なかった。
「イェネファーとの間に子どもを授かりたい」という願いの掛け方でも、ジンの願いの抜け穴を使うことはできるが、ゲラルトの死とイェネファーの死をつなげることはできない。
もし、ゲラルトが「イェネファーとの間に子どもを授かりたい」と願ったとしたら、イェネファーが死ぬのは、ふたりの間に子どもを授かった直後、つまり、物理的に叶えることができないのだとしたら、ゲラルトの驚きの子である、シリラが「ママ」とよび、イェネファーを自分の母と認めた瞬間だったのではないでしょうか。
ジンが、子どもを授けた後、イェネファーを生かし続ける理由はないのですから。
了